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サバイバル九州ゾンビワールド  作者: 夕凪 響
乾坤一擲、徳之島自給自足
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Dollars and Cents

 「おいおいヤマダ、そんなもん船の上で抜くんじゃねぇよ」

 シブヤさんが俺達に近付いてそう声をかける。

 周りを見渡すとじろじろと見られていることに気付き、慌てて鞘に戻すが、鞘に戻すのも一苦労だ。


 自分の手を切りそうになった。


 「すみません貰い物でつい・・・」


 「へぇー良いもん貰ったな」


 「ステンレス製らしいです」


 「ところで2人とも酔い止めとか持ってないよな?」


 「ないです」「飴ちゃんなら」

 そう言ってイチゴは個包装の飴玉を3つシブヤさんに渡した。


 「メグミちゃんですか?」


 「ああ乗り始めから気持ち悪いみたいで、すまねぇな」

 そう言うとシブヤさんはメグミちゃんの所に戻っていった。


 「寒いけど風が強いね」

 イチゴが帽子を押さえそう言った。


 「座れるところでも探すか」

 落ち着いてきたイチゴにそう言い俺達も座れるところを探して船の上を歩く。


 2階建てのフェリー船で全長は約20メートル、高さは5から6メートル程が海上にでている。

 船の1階後部にはバイクや自転車を止める場所があり船の前後に階段が備えられている。

 1階は屋内の様な作りで2階は屋根だけがあり船の中心部分に20席程の市民球場のようなプラスチック作りの椅子が並んでいる。


 シブヤさん達は1階の船首近くの座席にミヤザキさんとメグミちゃんと座っているが調子が悪そうで挨拶だけして直ぐに立ち去る。


 船を見回って2階に戻ってくる、乗船直後は2階の手すりにもたれかかり周りを見ていた人達も1階に移動したようで2階の席にも人はまばらだ。


 階段から近い席に腰を下ろしてイチゴとはなす。


 「3時間くらいだったか?」


 「ううーん?そうだっけ?」


 「始めに江島に集合だったのが松島に変更になって3時間くらいだったろ?」


 風除けになっている座れそうな所を見つけてイチゴと2人座る。


 「見て見てマサシ海に橋がかかってる」


 「西海橋だな下から見ると大きいなー」


 「ところで松島ってどんなとこ?」


 「小さな島らしいぞ、そこに離島とか避難してた人達を集めて、そこから大型のフェリー使って徳島に移動するって」


 「ふーん?避難してた人達ってどのくらいいるのかな?」


 「始めは江島っていう小さめの島で予定されてたけど松島に変更になったって事は予定より多かったんじゃないか?」


 「そうだな生き残りは当初ハウステンボスの約500人に各離島に30人から50人くらいの集まりが3から4グループだって話しで、700人くらいの予定だったんだが自衛隊の確認で1000人近い人数の避難者を発見したため松島に変更したらしい」


 そう言いながらカワカミさんが飲み物を片手にナカムラさんと階段を昇ってやってくる。


 「まだ到着に2時間くらいあるらしい飲み物の配給だそうだ」

 カワカミさんが常温の黒い炭酸飲料とオレンジジュースを手渡しながら続ける。


 「移送と集合の立地は江島が良かったみたいだが港の規模と島の大きさ、感染者の処理で松島に変更になったそうだよ、それに離島の途中下船を希望する人もいなかったみたいだ」


 「そう言えば移送はまだ数日続くんですよね?」


 「いや、人数の多い僕たちハウステンボスが最後らしいぞ、島に滞在中の食料や宿泊滞在できる建物も、そうはないみたいだから松島に着いたら直ぐに乗り換えだ」


 「大きな船に乗り換えるんですよね?」


 「ああ、この船も燃料を集約するため江島に着いたら手放すはずだ」


 「もったいなく無いですか?」


 「船の数より燃料の数だろうな・・・それに徳之島周辺には元から船が多くある、どうしても必要になるだろう船を選定して運ぶだろうね」


 「なるほど」「なるほどー」


 「まぁ着いたら急いで降りて、直ぐに乗り換えて船の中で昼食になるだろうね」


 「昼食は船の上ですか?」


 「ああ、2日がかりの移動になるみたいだからね」


 「え?2日も船の上ですか?」


 「鹿児島から徳之島まで船で25時間程で航行してたらしくて今回は松島からの移動だから30時間程を見積もっているらしい」


 「うわぁーメグミちゃん大丈夫かな?」

 イチゴが呟くように言う。


 「この船は小さいから揺れも激しいけど大きい船だと揺れも少なくなるらしいし座席だけじゃなくて横になれるスペースもあるそうだから、たぶん乗り換えた後は楽なんじゃないかな?」


 「そうなんですね」「船が大きいと揺れが小さくなるんですか?」


 「まぁ、あくまでまた聞きだけどね」

 そう言うとカワカミさん達は飲み物の配給に戻り、周りの人達にジュース等を手渡し1階に戻っていった。


 それからイチゴと海を眺めながら話していると海の上に黒い島影が見え始める。

 席を立ち手すりにもたれかかり見ていると黒色にしか見えなかった島影に緑の色が付き、そのうち岩陰が見え緑の合間に灰色の建物や瓦屋根が見え始める。


 「ねぇマサシ!あれが松島かな?」


 「うん、真っ直ぐ向かってるから、そうだと思う」

 島の周りを船は少し周り、白く高い塔のようなものや風力発電のプロペラのような物が見える場所に進んでいく、200メートルを超えるフェリーが白い塔等が立つ敷地に隣接し物資の積み込み作業を行っている。


 「あの船大きいな」「ねー今乗ってるのの10倍くらいありそうだよ!」


 イチゴと話している間にも船は島に近づき港にいる人達の表情も確認出来るようになる。


 船は横付けに港に入ると船首と船尾を綱で固定し金属製のタラップを降ろす。


 バイクを押して港に降りる、道には軽トラックが五台ほど並んでいた。

 その横には声を張って案内する男性がいた。


 「ハウステンボスから来た避難者の方は乗り換えがすでに始まっています!」

 「ここは松島吉原港です!ここから西の火力発電所内の船着き場まで移動をします、軽トラの荷台に乗り込んでください!」


 男性の案内に従いそれぞれ軽トラに乗っていく。

 各々の武器、槍や盾に弓等と荷物のリュックを軽トラの荷台に載せ、軽トラの後輪に足をかけて1人ずつ荷台の運転席近くから腰掛けていく。

 人が乗った軽トラから出発して向こうの港に下ろし、ピストンで運ぶらしい。


 「バイクの人達は軽トラについて行ってください!」


 言われるままにCB223のエンジンをかけて、軽トラの後ろについて走る。


 緑の隙間を細い道路が縫うような道を進むと5分ほどで到着する。


 開け放たれたフェンスのゲートを超えて建物の間を進むと開けた空き地があり

、大型フェリーが空き地から続くコンクリートの岸に繋がれ浮かんでいた。

 そこからこちらに乗船を待つ人達が列を作り並んでいる。

 物資の積み込みは終わったのか人間だけがゆっくり船の中腹に開いた乗船ようの入り口にかけられた階段を昇り少しずつ船内に吸い込まれている。


 CB223のエンジンを止めてバイクの搬入口を探す。

 「イチゴバイクの搬入できそうな所かわかりそうな人いたら教えてくれ」


 「はーい!」

 そう言うとイチゴはキョロキョロと辺りを見回し始める。

 俺もじっと見ていると後ろからKLX250に乗ったシブヤさんがやってくる。


 「物資の積み込みを切り上げて人をのせてるみたいだな」


 「シブヤさんバイクどうしたんですか?」


 「いや欲しくなってよ、探索のついでに取ってきてたんだ」

 タンデムシートにはメグミちゃんがシブヤさんにしがみついている。


 「このタイプのフェリーだと船尾か船首に車を入れる搬入口があるはずだからしばらくは待ちみたいだな」


 そう話していると後ろから軽トラがやってきたので尋ねてみるとハウステンボスからくる船からの物資等とまとめて積むので人が乗り終わるまで待機との事だった。

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