Dancing Days
スマホのマップで確認してみると市外方面に二カ所、筑後川の向こうか山側に避難出来そうな場所がある。
山側は自衛隊の駐屯地や陸自の幹部学校が近くて安全そうだけど市内が近い。
筑後川の川向こうは久留米のベッドタウンのような宮の陣、もし感染者が溢れていたら宮の陣は恐ろしい事になっているだろうな。
いっそ国分の駐屯地まで逃げられれば・・・
いや先ずは移動手段の確保か。
まずは最上階まで行って付近の確認と一階駐車場の確認だな。
大通りの210号線に出るとゾンビの集団にぶつかりそうだ。
マンション内で移動手段を見つけられなければ210号線にでてバイク専門店の赤髭男爵で足を確保しないと。
モトクロスとかオフ車でゾンビを避けつつ移動がいいな。
自衛隊採用のKLX250は信頼性が厚いが、静音性と耐久性考えるとCRF250あたりが欲しいな。
とりあえずある物を探すか。
その後、屋上まで階段で上り付近を確認する。
「あぁークソッ、もしかしてもうマルボシ食えないんじゃないか・・・?」
安くてうまい行きつけのラーメン屋の方向を見てふと気づく、三号線方面からは黒い煙が立ち上っていた。
「はっ!九州が全滅したらどこで豚骨ラーメン喰えばいいんだよっ!?」
・・・おいおい四国の豚骨醤油も嫌いじゃないが、肌色の濃厚豚骨スープがサバイバルしてくれないと生き残ってもしょうがねぇぞ。
タイホーとかヒロセとか我が儘言わないからせめて、せめて、うまかっちゃんだけでも・・・
イチランとかニワカですもんね。
あぎゃんかと有り難がるとは観光客か味音痴やんけん。
(おいの個人の感想ですぅ)
美味しか久留米ラーメンばサバイバルせんと!サバイバルさせんとにゃー!
三号線方面の黒煙はたぶん久留米の誇るゴムとタイヤの工場と大学病院。
さらに九州を南北に縦断する三号線そのものが原因だと考えられる。
工場、病院のすぐそばには県内では中洲に次ぐ歓楽街の文化街が軒を連ねている。
周辺にはマンションやアパートなどの集合住宅が建ち並ぶ。
確実にどれか、もしくは複数でクラスターが発生したんだろう。
市内を越えて長門石まで抜ければいいんだろうが人口が密集している割に防衛力が低そうだ。
警察署一つで病院・工場・幹線道路・歓楽街に集合住宅、人口の密集度合いが不味そうだ。
向こう方面の探索や避難はやっぱり無いな。
屋上と四階はクリア。
現在の時刻は昼前11時すぎ、六階と五階を見て部屋に戻って昼飯にするか。
「さっき見つけた牛肉と玉ねぎで牛丼作ろう。」
先ずは六階の各部屋をノックしてみる、四部屋ともに反応は無し。
一応、声を出して呼びかけてみる。
「誰か居ませんか!?一緒に避難所にむかいませんか!?」
人気が無くがらんとしたフロアに声だけが残り風の音だけが返事をしている。
各部屋のドアをひねると一部屋だけ開いた、様子を窺いながら中に入るがゾンビも人もいない。
この部屋の主は男性らしく無造作にスーツやジャケットがかけられておりネクタイやベルト、クリーニングから帰ってきたシャツがソファーのうえに投げおかれている。
めぼしい物もないのでテラス伝いに隣室へ向かう。
隣もゾンビも人もいない、こちらも部屋の主は男性のようでスーツなどがかけられている。
ただこちらの部屋主は几帳面な性格なのか壁かけのカレンダーに細かくメモが書かれ、机の上も整頓されている。
机の上に鍵が2つおかれ付箋が貼られていた。
「ホンダの鍵か・・・えっと、定期検査オイル交換CB223赤髭男爵3月2日、前後ブレーキゆるめ」
オフ車とは行かないが、とりあえず使えそうな足を確保かな?ブレーキゆるめか・・・
他にめぼしい物はフルフェイスのヘルメットとマグライトは、正直他人が使ったフルフェイスは無理だな・・・耳のとこの臭いとか口周りとかもうアレだよアレ。
残りの二部屋はとりあえず無視して五階の探索を続ける。
五階の四部屋ともにノックして見ると二部屋から反応があった。
━━━ドンドンッドンッドン━━━
「ぁぁぁう゛ぁぁう゛ぁぁ」
音とも声とも言えない不快な鳴き声を上げながらドアが振動して蝶番がはじけそうな勢いで叩き出す。
自分で驚くくらい心臓が跳ねる、そっと息を殺して階段まで戻る。
そこで隣の部屋からも同じくドアを叩く音とゾンビの鳴き声が聞こえ始める。
━━━ドンドンッドンッドン━━━
「う゛ぁぁあぁぁっうぅぅぁぁぁっぅ」
━━━ドンドンッドンッドン━━━
━━━ドンドンッドンッドン━━━
「2体同じ側かよっ!」
慌てて転びそうになりながら六階に上がり部屋に入り急いでドアを閉める。
大きく息をつき喘ぎながら部屋にあるペットボトルの水を飲むと少し落ち着いた。
ちょうどこの下の部屋に2体か・・・
個人の感想ですぅ
そう言えばゾンビの生態を研究するためにYouTubeで【せぶんでいずとぅだい】の動画をひたすら見続けました。最近一番怖いのは髪を洗うときに目をつぶることです。