Sheer Heart Attack
やめれば良かったなんて事はよくある後悔だ。
ただ後悔ですんでるうちはまだまだ挽回の余地は残されてるもんだと思いたい。
それは反省してうんたらとかナンセンスな言葉を続けたくなるもんだが、“普通“はそんな後悔しないように選択するもんなんだろうと思う。
ハンバーガーのサイドにナゲットを注文したい、食べたいんだが、それをやっちまうと胸焼けに胃もたれで苦しむ事になる。
行動の前の深呼吸、ワンクッション、御一考ってやつだな。
盗みをやれば窃盗罪、人を殴れば傷害罪。
“普通“は考えなくても教育されてりゃ分かり切った事で誰もが誰かの為のルールのなかで、あんたの為のルールであるものの中で生きてる。
そう後悔しない為、お互いにルールは守った方がスマートだ。
ヤマダマサシの手記より
シブヤさんが混乱覚めやらぬ現場で班員に声をかけている。
「おいっ!噛まれた奴がいるって聞いたけど誰だ?」
周りにいた班員が震えながら指を指すとレンガ作りの通路に首を噛まれ血溜まりを作る男性が見えた。
目は白目を剥いてビクビクと震えながら口から血混じりのあぶくを垂れ流し「ぅぅぅぅ」と静かに唸り始めている。
「ちっ糞がっ!」
そう言うとシブヤさんは鉄パイプ槍を持って近付き何度か声をかける。
反応はなくしばらく様子を見ると、飛び起き近くにいたシブヤさんへと襲いかかる。
シブヤさんは鉄パイプ槍を静かに彼の頭に突き刺すと周りから悲鳴にも似た声が漏れる。
「糞っ!糞っ!」
シブヤさんが毒づきながら周りを見渡す。
「あと2人はどこだ!どこを噛まれた!」
1人の女性が手を挙げフラフラとシブヤさんの前に現れるその場に座り込む。
「スズキ・・・」
「ツイてなかったです、左手首を噛まれました」そう言うと左手を見せと手首の内側にジュクジュクとした傷口から真っ赤な血が滲み出ていた。
「どうして欲しい・・・?」シブヤさんが問いかける。
「・・・ぅぅ」彼女は静かに泣き始めた。
それを見てシブヤさんも俯き吐き出すように言った。
「縄で縛って様子を見る、猿ぐつわをして足と手を縛って門の部屋に監視を立てろ・・・傷の治療もしてやれ」
「うぁあああぁぁぁ」彼女は声をあげて泣き出し両側に班員が付き添いオレ達がハウステンボスに来たとき外傷を確認した部屋に連れて行かれた。
「・・・あと1人は誰だ」絞り出すようにシブヤさんは周りに尋ねるが誰も喋らない。
しばらくするとカワカミさんミヤザキさんが走ってくる。
「シブヤ被害は?大丈夫か?」
「3人噛まれたらしい、橋は班員の判断であがってる、外に群れ多数たぶん500くらいの規模だ・・・」
「500っ・・・噛まれた者は?」
「1人はすぐにゾンビ化したから俺がやった、スズキが噛まれたが意識がしっかりしている、小屋に縛ってから入れて監視を立てている」
「あと1人は・・・?」
「不明だ」
「分かった後は引き継ごう」
「・・・ああ済まない」そう言うとシブヤさんはゾンビ化した隊員の亡骸を運び「弔ってくる」と言ってアートガーデンへ向かった。
「みんな、他に噛まれた者はいないか?見た者は?」
そう尋ねられ周りにいる隊員はお互いに顔を見合わせる。
そこかしこで「アイツ橋の所にいたから・・・」とか「あいつ腕にバンダナなんて巻いてたか?」等お互いを疑う声ばかりが聞こえてくる。
「分かった!誰も見ていないんだな?」
「・・・」誰も答えず沈黙が場を支配する。
「誰も見ていないんだなっ?・・・混乱して情報自体が誤っていた可能性がある、ただ用心して1人で行動する事を控え警戒を怠らないように、この時間見張りに出ていた者は報告にくるように、他の者は解散し待機、以上」
カワカミさんがそう言うと三々五々に集まっていた班員は解散していった。
オレ達も戻ろうとするとカワカミさんから呼び止められる。
「ヤマダ君キシダさん」
「はい」「はい」
「悪いんだけどシブヤの様子を見に行ってきてくれるか?」
「わかりました」
そう言うとカワカミさんとミヤザキさんは見張りの班員と当時の状況について詳しく話していた。
イチゴと並んで歩きながらシブヤさんを探す。
「スズキさん無事だといいな・・・」
「・・・うん」
「噛まれた人見たか?」
「ううん見てないマサシは?」
「いやオレも見てない」
「誰も噛まれてないと良いね」
「そうだな」
シブヤさんはアートガーデンの端にゾンビになった班員の横で1人、穴を掘っていた。
「シブヤさん」
「おお、お前らどうした?もう解散したのか?」
「はい、あれから他に噛まれた人が3人って言うのも誤情報かもしれないって話しになって解散しました」
「そうか」
「ただカワカミさんが警戒して2人一組で行動するようにって」
「なるほどなぁ」
「手伝いますよ」
そう言いながら近くに置いてあるシャベルを手に取り穴を掘る。
「そりゃカワカミさんも言わないだけで確実に噛まれた奴が居るって思ってるんだろうな」
「オレもそう思います」
「ええ?あれで終わりじゃないの」
「噛まれた奴がわからないんじゃどうしようも無いしな、それなら誰が噛まれてても対処できるように整えるしか無いからな、たぶん夜間の見張りに加えて見回りの夜番も作るんじゃないか?」
「そこまでは話してなかったです」
「仲間を疑わなきゃいけないのはキツいからな、それとなく対処する事になるだろうな」
「そうですね」
「あと外のゾンビの数は異常だな」
「かなり大きな群れですよね」
「今だってここから見える範囲にも結構な数があつまってるよ!」
言われて運河の向こうを見るとフラフラと徘徊するゾンビ達が複数見えている。
「問題はあいつ等がどっか行ってくれるかどうかだな、あんな数は相手に出来ないから探索にも行けやしない、このままじゃジリ貧だ」
穴を掘り終わり元班員の亡骸を埋め木の棒を突き刺す。
みんなで「なまんだー」と唱え簡易の葬儀を済ませ間借りしている建物に戻った。
午後の時間を使って道具のメンテナンスをしているとシブヤさんが「バイクのオイル換えにきたぜ」っとふらっと現れる。
イチゴもソードオフショットガンの銃身を外しブラシ掛けをして何か油のような物を塗っている。
聞いてみたら班員にザバゲーに詳しい人がいて教えてくれたそうだ。
オレもランタンハンガーとナタを磨いて油を塗ったり、アウトドア用品をザックから取り出し磨いては整頓をする。
しばらくするとシブヤさんが「オイル換え終わったから試走にちょっと借りるぜ」っと言ってCB223に乗って出て行った。
イチゴとソファーに座ってのんびりしているとシブヤさんが帰ってきた。
「おうオイル交換してブレーキも調整しといた、ブレーキパッドもしばらくは持つだろう」
そう言って釣り竿とワームとルアーをくれた。
「そこの運河は海だからチヌとかクロが釣れる、食料確保だ」
そう言って帰っていった。
ちょっと三章が予想より多くなってきたので章を分けます。
章タイトルを変更しました。
それにともない五章で終わる予定だったのが六章終わりになります。
_| ̄|○
12万文字くらいで終わる予定なんですよ・・・?
お知らせ↓
サブタイのルールが崩壊しました。
佐世保の後半にこそ必要なのでこのまま女王で・・・




