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サバイバル九州ゾンビワールド  作者: 夕凪 響
百年河清、佐世保滞在
24/57

Yeah

 昨夜は気付けば寝ていたのか同じベッドで丸まっていた。


 朝起きるとイチゴの顔が近くにありドキッとした。


 すでにイチゴは起きていたのか目をあけてこちらを上目遣いに覗き込んでいる。


「おはよ」「うんおはよ」


 そう朝の挨拶を交わすとイチゴは強く抱きつきもう一度「おはよ」と耳元で囁いて直ぐに離れていった。


 毛布をたたみ名残惜しくベッドから離れ着替えを済ませ2人で顔を洗いに外にでる。


 どうやら噴水に水を溜めてみんな顔を洗っているようで真似して顔を洗い、飲用の水を少量使い歯を磨く。


 アトラクションタウンのトイレだけでは足りないのでアムステルダムシティのトイレへ出掛けて用を足す。

 戻ってくるとナカムラさんが台車にお弁当と朝食のスープとパンを運んでいた。


「ナカムラさんおはようございます」


「ヤマダさんおはようございます」


「早いですね」


「調理班は皆さんよりちょっとだけ早起きになりますから」


 そう言って彼女は笑っていた。


 元はステーキハウスだったらしい、探索班が食事するため使っている建物にお弁当などを運び入れるのを手伝い、ついでにパンとスープを2人分受け取り、間借りしている建物に戻るとイチゴが待っていた。


 「ただいま」「おかえりー」そう言いながらパンとスープを渡すと「寒いね」と言いながら表にある椅子を建物の中に入れながら朝食を取り始める。


「ソファーとかも欲しいな」


「うん、あと鏡とか」


「あとウォーターサーバーは確実に欲しい」


「タオルとかもホテルに行ったら貰えるかな?」


「いやタオルはお土産屋さんにまだ置いてあったと思うけど?」


 そんな事を話しながら朝ご飯を食べ終わるとシブヤさんが呼びに来てくれる。


「はようっ!」


「おはようございます」

「おはようございます!」


「おうお前ら片づけ行くぞー弁当もなくなる前に貰い行っとけよー」


 それだけ言うと足早に歩いていく。



 手早く片付けをしてシブヤさんの後に付いてお弁当を貰い昨夜の片付けに行く。


 フラワーロードに通じる門の所に行くとすでに橋は降ろされておりカワカミさんが指示を出し片付けが始まっていた。


 カワカミさんに近付き声をかける。


「おはようございます何をしたら良いですか?」


「ああ、おはようシブヤがゾンビの運び出ししてるからそっちに行ってみてくれ。

 こっちはバリケードの修理とミヤザキさんが見張りをしているから昨日みたいな集団が来なければ安全に作業は出来るはずだ、シブヤはあそこだな」


 そう言ってカワカミさんは指さすと作業に戻っていく。

 

 シブヤさんの所に行くと「2人でゾンビを持って駐車場のゾンビを積み上げてるところに運んでくれ」と指示を貰ったのでイチゴと2人で一体ずつ運び出す。


 「なまんだー」「なまんだー」2人でそう言いながら運んでるとゾンビの運び出しは直ぐに終わる。


 シブヤさんも運び終わったらしく元は人間だったモノを積み上げた山を前にして。


「そろそろ火葬か土葬しないと不味いな」


 なんて言い出した、すでに200~300体程の元人間の山が積まれており、そのどれもが目や鼻などに生者を嘲笑うような暗い穴を空けて横たわっている。


「そうですね精神的にも物理的にも」


「火葬するにも灯油がもったいないし土葬するにも穴掘る場所と重機がなー」


「水葬は何が起こるか分からないですもんね」


「そうだなゾンビを魚が食べてそれがめぐって・・・とかな」


「リフトアップ出来る3トントラックあたりにのせてもう少し遠くに運ぶのが現実的ですけど、これをもう一回積み直すのは・・・」


「もったいないけど灯油使って燃やすか」


 そんな事を話していたらミヤザキさんが近付いてくる。


「そうね早く処理しないと、これ以上増えると処理に困るわね」


「おはようございます」「おはようございます!」


「おはよう」


「特に、この中に知り合いや家族がいる人がいると精神的にかなり不味いでしょうね、ちょっと待ってて相談してくるわ」


 ミヤザキさんはそう言うと見張り役の数人に声をかけると足早にフラワーロードに駈けていった。



 少しするとカワカミさんがやってきて「あーこれは確かに」とか言いながらシブヤさんに「ミヤザキさんがタケハラさんに灯油を都合して貰いに行ってるからちょっと待っててくれ」と言うとフラワーロードに戻っていった。


 それからしばらくすると台車に灯油をのせたミヤザキさんが戻ってくる。


「取り敢えず150リットル貰えたから燃やしましょう」


 手分けして灯油を半分かけて火をつけると真っ黒な煙を出して赤い炎が彼らを焼く。

 人間が焼ける臭いが辺りに充満し唇に、人が焼けた脂が付着すると気分が悪くなる。

 イチゴを見ると気分が悪いのか口に手を当てている。


「イチゴ大丈夫か?」

「うん、朝ご飯が出てきそう」


 そう話しているのをシブヤさんが聞きつけて「後はやっとくから探索行くまで休んどけ」っと言ってくれたのでイチゴと間借りしている部屋に戻りイチゴを休ませる。


「何かいるか?」


「ううん、ちょっと座っとけば大丈夫そう」


 そう言っていたのでソファーっぽいものを空いてる部屋から運び入れて2人で座りゆっくりする。


「洗濯ってみんなどうしてるのかな?」


「後でミヤザキさんに聞いてみるぅ」



 話してるとだいぶ落ち着いてきたみたいで顔色も良くなっていた。



 たぶんゾンビの山の中に家族を思い浮かべてしまったんだろうと安易に考えながら後ろから彼女を抱きしめ「大丈夫か?」と尋ねると「うん」と返事が返ってくる。


「シブヤさんに聞いときたい事もあるし手伝い行ってみる」


「うん、わかった、もう少ししたら私も行くね」


「うん伝えとく」


 そう言ってフラワーロードに向かい歩き出す。

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