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サバイバル九州ゾンビワールド  作者: 夕凪 響
百年河清、佐世保滞在
20/57

Love of my life

 アムステルダムシティエリアの広場の一角にあるパフェ店に着くとカワカミさんは従業員用のドアにノックする。


「タケハラさん居ますか?」


「いるぞ!入ってくれ」


 中から酒に焼けたような渋い男性の声で返事があった。


 カワカミさんがドアを開けて中に入る、オレ達もバイクを停めて中に入る、


 中にはいると長方形の八畳ほどのスペースに椅子やテーブルが入れられ灯油ストーブが灯されていた。

 調理用の台やガスバーナー等は撤去されており代わりに部屋の端には無線機や地図などを載せたテーブルが置かれてあり端には寝袋とマットが畳んで置かれている。


 部屋の中にいる男性が声をかけてきた。


「おう!新人が2人か!俺はタケハラカズオ消防に勤めていた、よろしくな」


 そう言うと右手を出し握手をする。


 その男性は40代くらいだろうか。

 180Cmほどの身長に詰め込めるだけの筋肉を搭載し、髪を短く刈りそろえ男臭い顔に山男のような、もみあげと繋がる髭もそのままに厚手の焦げ茶色の革ジャンを羽織り濃いオリーブ色のカーゴパンツの裾を編み上げのブーツの中に入れたタフな男だった。



「まぁ適当に座ってくれ」


 タケハラさんに促され適当に椅子を選び座るとタケハラさんはパフェ屋の商品を受け渡す小窓から顔を出し近くにいたであろう人に「すまんお茶を4人分頼む!」と言い席に戻ってきた。


「よし、お前ら名前から頼むついでに何が出来るか得意な事も教えてくれ」


「はじめましてヤマダマサシ28歳です。

 趣味は登山とキャンプ、バイクが運転出来るのと、ここに来るまではこのランタンハンガーを槍にして戦ってました」


「キシダイチゴです!

 趣味は料理でアーチェリーを大学でやってたから弓使ってゾンビ倒してました! 

 あとこの元猟銃ソードなんだっけ?」


 自己紹介の途中で聞かれ話しを繋ぐ。


 「ここに来る最中、人に貰った散弾銃をソードオフ改造して近距離用にしてます。

 弾は残り何発だったっけ?」


 そのまま話しの流れをイチゴに返す。


 「38発だね!まだ一発しか試し撃ちしてないのでこっちはオマケです。

 弓なら15メートルくらいなら外しません。」


 そう言って自己紹介を終えるとタケハラさんが話し出す。


「銃持ちか!弾が見つかったら都合しよう。

 物資の調達や防衛でそのままカワカミさんの班に入って貰えるとよさそうだな」


 「そうですね、ヤマダ君もかなり慣れてるみたいです。

 2トントラックとバイクで物資調達に行けると良さそうです。

 タケハラさん彼等は昨日の緊急放送を見てないみたいなので、その説明もお願いします」


「なに?分かった」


 タケハラさんが話し出そうとすると、ドアがノックされトレイにお茶をのせた20代くらいの女性が入ってきた。


「ヨウヘイお兄ちゃん片付けじゃなかったの?」


「ミライこの方達が避難に来られたんで案内してるとこだよ」


「ふーん、はじめましてナカムラミライですよろしくお願いします」


 そう言うとお茶を置いて来たときのように戻っていく。



「話しの途中で従妹がすみません続きをお願いします」


カワカミさんがそう言うとタケハラさんが一つ咳をし話し出す。


「昨夜テレビで緊急放送があった、

 九州だけで留まっていたゾンビ化感染が山口県や新潟県等、複数の県で確認され現在事態の収拾にあたっているらしい。

 そのため九州への避難移送が滞り延期が決定。

 そしてそれに伴い各避難所独自での生存行動が要求された」


 そう言いながらタケハラさんがさらに続ける。


「つまりはどうにもならんから助けに行けるようになるまで頑張れって言って、匙を投げたって事だな。

 ただ感染者が出たくらいで移送計画が延期になるとは思えんから事態は報道されているより逼迫していると見て間違いないだろう」


 タケハラさんの話しを聞くにつれイチゴがオレの服のをつかんでくる。


「それであんなに物資を集めていたんですね」


「ああ、アートガーデンにあるやつだな。

 今ウィンズという場外馬券場の中を片付けて集積倉庫にするため作業を進めている。

 ここには元々から避難していた者やヤマダ達みたいに避難して来た者だけじゃなく、ワッセナーという住宅地が100戸ほどある。

 ワッセナーの方は別荘地として利用されていたから実質空き家が多く、アメリカ軍関係者の避難も行われ総勢500人を超える人間が集まりハウステンボスは大混乱だ」


 その上と彼は静かに続ける。


「昨夜から電気の供給も停まりハウステンボス自体が行っていた太陽光発電では電力も足りない為、無線機や最低限必要な場所に送電出来るように作業を進めている」


「電気が止まれば直ぐに浄水場も停まるだろう。

 ここは海に囲まれ運河もあり安全ではあるが、まず水が手に入らない。

 電気が無ければ冷凍の食材が使えなくなる。

 ガスも今ある分を使い切れば火もおこせなくなるだろう・・・」


「こんな事を言ってもなににもならん、すまんな。

 カワカミさんの物資調達班でよろしく頼む。

 部屋はどこが空いてたかな?」


 そこでカワカミさんが口を開く。


「調達班の説明と一緒に空き部屋の案内もやっときますよ」


「悪いが頼む。

 俺はガスの確保と暖房の確保を生活班と話してくる。

 あとは食料か夜間の灯火も問題になるな・・・」


「よしヤマダ君キシダさん行こうか」


 そう言とカワカミさんはタケハラさんに軽く頭を下げてからオレ達を促し部屋を出る。

 オレ達もカワカミさんに続き部屋を出ながらドアを出る際、タケハラさんに「よろしくお願いします」と頭を下げ部屋を跡にした。

すみませんカワカミさんの一人称を私と俺で使い分けて社交性を表現しようとしましたがわかりづらいので「僕」に統一しました_| ̄|○

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