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第45話 ガーウィン戦①

「滅びよ」

「!!」


 大剣はガーウィンの周囲を浮きながら、10個に分裂する。

 まるで奴を守るかのように10分割された聖剣が浮かんでおり、そして光を放ち出した。

 全方位に放出される、さながらビームのような攻撃。


 俺とゴンはそれらを回避しながら相手に接近していく。


「おおおおおおおいいいいいい! やめろ! やめろぉおおお! 聖堂なのだぞ! 我らのご先祖様方が眠っている場所なのだぞおおおおお!」


 ケイロスバーン王が背後で泣きわめいている。

 なんなのだろうと思いながら観測したが、どうやらガーウィンの光で聖堂が破壊されていく光景が彼を狂わせているようだ。


「レオ。お前は真っ直ぐ行ってガレオンを叩け」

「お前はどうするつもりだ?」

「あいつをぶん殴ってくる」

「お、おう……」


 ゴンは青筋を立てながら王を指差す。

 どうやらあの声はゴンには耐えがたいものらしく、黙らせないと気が済まないようだ。 

 いいぞ。やってこい。

 俺もちょっと癇に障っていたところだ。


 しかし。


「お父様! うるさいです!」

「あひゃっ!!」


 ゴツンッとリーシャが王の頭を殴りつける。

 一瞬で気絶した王を後方に引きずって行きながら、リーシャは俺にウインクした。


「……役立つじゃないか、あのお姫様。ちょっと見直したぜ」

「役立つって言うのか? あれは……」


 戦力にはなっていない。

 しかし、彼を黙らせてくれた功績はデカい。


 俺は光を回避しつつ、武器を構える。


 風の槍(ウインドランス)敏捷の槍(スピードランス)


 瞬速で奴の懐に入り込み、風を巻き起こす。


「【エアカッター】!」


 通じるといいのだが……

 そう考える俺であったが、なんと攻撃はあっさりと効いてしまった。


「ぐふっ」


 奴の腹部がズタボロになっていく。

 しかし活動を止めようとはしない。

 だが引き気味に奴を見据えていると、なんと傷がみるみるうちに塞がっていくではないか。


「人間の限界を超越した回復力か……だったら話は簡単だ」


 ゴンもガーウィンの懐まで入り込み、ニヤリと笑う。


「どつき倒す」


 連続でゴンの拳がガーウィンの腹に炸裂する。

 鈍い音が何度も地下に響き、相手は口から血を吹き出していた。


 大剣が俺たちの方に向き、光を放とうとする。

 俺は両手に防御の槍(ガードランス)を持ち直し、大剣に向かって回転させた。


「喰らうかよ!」


 俺の槍に阻まれ四散する光。

 それらは天井や壁を破壊していく。


 すると背後で王がガバッと目覚め、また大声で叫ぶ。


「聖堂がぁあああああああ! 頼むからやめ――」

「お父様がやめて下さい!」


 ゴツンとまた殴りつける音が響く。

 ナイスだ、リーシャ。


 光を弾き返した俺は、そのまま大剣に槍を突き刺す。

 だがその攻撃は大剣に効果は無かった。


「【天聖剣】は神器と呼ばれる、この世界における最強級の武器の一つです! 破壊することは不可能なのです!」


 リーシャが後ろからそう叫び教えてくれる。


「だったらこいつを直接やるしかないってことか」


 俺はガーウィンの方に視線を戻す。

 

「…………」

 

 どうやってこいつを止めようかと考えようとするが、ゴンの会心の一撃が何度も決まっていたのか、口と鼻から大量に血を吹き出し、痙攣を起こしている。

 おま……俺にやり過ぎるなって言っておいて、お前はそんなかよ!


「ゴ、ゴン……もういいんじゃないか?」


 白目を剥いたまま気絶してしまったガーウィン。

 大剣もカランと地面に落ちる。


「ん? ああ。もう落ちてたのか」


 ゴンは手を止めると、ジワーッとガーウィンの腹部から血が滲み始めた。

 おおう。死ぬ寸前だったんじゃないのか?

 ゴンは力に関しては俺より上だからな……

 痛々しいその腹を見ながら俺はゴンの肩に手を置く。


「ま、今回も楽勝だったな」

「みたいだな」

「レオ様……」


 リーシャもホッとしたのか、ケイロスバーン王を片手で引きずりながら近づいて来る。


「……レオ様」

「お前、またオレは無視か?」


 ゴンがリーシャにそう言葉を投げかけるが、リーシャは反応を示さない。

 俺もまたか、とそう思ったが――どうやら違う。

 驚愕しているリーシャ。

 そして彼女は叫ぶ。


「レオ様! 危ない!」

「え?」


 ガーウィンの方に振り向く。

 すると白目を剥いたままのガーウィンは、強大な光を放ち始める。


「魔王の力を探知。危険――きけきけけけけけけけけきけけけけけけきききき」

「うおっ! 何だよこれは!」


 ガーウィンの放つ光。

 ドーム状に広がっていくそれを、俺は防御の槍(ガードランス)で防ぐ。

 ゴンは俺の後ろに回り込み、それをやり過ごす。


「暴走か?」

「そうかもな。もっと叩き込んでおくんだった」


 舌打ちをするゴン。

 俺もゴンに同調し、うんうん頷く。


 リーシャは王を物陰に放り投げ、自身も同じ場所に逃げ込んでいた。

 光は聖堂一杯に広がって行き――周囲にあるものを全て薙ぎ払ってしまう。


「なんちゅー威力だよ……俺とゴンじゃなきゃ死んでたな」

「だな。ったく、面倒な相手だ」


 ガーウィンの傷口が塞がっていく。

 攻撃力は増していたようで、防御の槍(ガードランス)がボロボロになってしまった。


 俺はそれを足元に投げ捨て、新たな槍を二本手にする。


「よいしょっと!」


 攻撃の槍(パワーランス)を投擲し、奴の腕を狙う。

 しかし槍は弾かれてしまい、カランカランと地面を転がる。


「……防御力まで上がってんのかよ」

「よし。元の世界に逃げるか」

「確かに俺が消えたらこれも収まりそうだけど……やられっぱなしってのも面白くないだろ」

「同感だ。とりあえずこいつをぶっ飛ばす」

「おう。それにこいつを倒さないと首輪が爆発するしな」


 俺とゴンはガーウィンを睨み付け、全力で駆け出した。

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