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放課後ご褒美

「それじゃあテスト返しするぞー」


「「「「「えー!」」」」」


「今回も百点の奴にはご褒美と、三十点以下の奴には先生とのやり直しが待ってるからお前ら覚悟しとけよー。それじゃあ出席順が早い奴から取りに来ーい」


 低学年では一番遅い時間の授業である五時間目、ニヤニヤと意地悪そうに笑いながらそう言った先生の前に、嫌そうな声を上げながらも生徒達は並ぶのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 うーん百点、百点、百点、オール百点!わかってたけどちゃんと取れてるのが分かると安心するな。


「ほーい二人共ー、テストどうだったー……って聞くまでもないか」


「そう言うちよよんは余裕そうだなー、また全部百点だったのかー?」


「まぁねー」


 流石に中身大学生が小学二年生の内容で百点取れないなんて事は無いのだよ叶奈ちゃん。


「今度こそちよちーよりっていっぱいお勉強したのにー……ほんとちよちー頭良すぎー」


「うあ~二人共やめて~」


 帰りの会も終わりガヤガヤと賑やかな教室の中、俺は百点のテストを見せ机に突っ伏してたいた叶奈ちゃんと頬を膨らませた綺月ちゃんに髪の毛をわしゃわしゃとされる。


「それでそれで?今回のご褒美はなんだったんだ?」


「あ、それ私も気になるー。千代ちゃんなんだったのー?」


「まだ私も見てないんだー」


「う、うん」


 そう二人に急かされ、謎の緊張感の中二人に見守られながら俺は手に持っている茶色い封筒を開ける。すると中には一枚の紙が入っており────


「紙?」


「一枚だけ?」


「なんか書いてあったりしないのか?」


「えーっとなになに……ご褒美引換券、これを持って保健室まで来てください……だって」


 俺はその紙に書かれていた内容を読み上げる。


 うーむ……女子小学生、先生、保健室、放課後、ご褒美このワードだけ聞くとどうも薄い本が厚くなりそうな……ゲフンゲフン!と、とりあえず。


「二人共さ、よかったら一緒に来てくれない?」


「ふふふっ」


「いひひ」


「?」


「私はいいよー。かなちーはー?」


「もちろんついて行くぞ!もしかしたら先生から叶奈達も何か貰えるかもだしな!」


 俺が珍しく少し不安げにそう言ったからか、二人は顔を見合わせて軽く笑い合うと、元気にそう言ってくれた。

 そんな二人と共に保健室へと向かいながら、俺はいい友達を持つことが出来たなと、そうしみじみ思うのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 コンコンッ


「はーい」


「失礼しまーす」


「こーんにーちわー」


「我らの先生に呼ばれて来たぞ!みよよよよ先生!」


 ノックの後ガラガラガラと音を立て、先生の返事を聞いた俺達はそれぞれの個性が出る挨拶と共に、保健室へと入る。


「だからそのみよよよよ先生って呼ぶのやめなさい!全くもう、あだ名を付けてくれるならせめてもう少し可愛らしいあだ名を……」


「はっはっはっ、いいじゃないですか美代先生。生徒からあだ名を貰えるなんて先生冥利に尽きるじゃあないですか」


「だからといってよく先生が保健室を保管所にしてるのには相応の対価を貰いますからね。今週は暑いので三つお願いしますね」


「くぅー……!三人は将来、こんな見返りばっかりな大人の女性にならないようにぃっ!?」


 うおぉぉぉぉ……見事なまでに先生の脇腹へスコーンと綺麗に美代先生の肘打ちがクリーンヒットした…………あれは痛そうだ……!


「先生がやられてるー……」


「あれは……痛そうだぞ…………」


「見返り無しでお願いを聞く人はいませんのよ先生。ほら三人共、そこに突っ立ってないでこっちにいらっしゃい」


「「「は、はーい」」」


 浮かべている笑顔がどことなく怖い美代先生にそう言われ、恐る恐ると俺達が近寄って机を挟んで先生達と反対側に座ると、ようやく復帰した先生は冷蔵庫から何かを持ってくる。


「この間校長先生から「物を上げるのはやめなさい」って怒られたが、これならバレないだろうと思ってな。お前達三人はいつも一緒だからな、念の為三人分用意してて正解だった」


「先生それって……」


「もしかして……」


「食べていいのか!?」


「もちろんさ!とはいえ、ご褒美ゲットの千代ちゃんと、いつも頑張ってる綺月ちゃんはともかく、叶奈ちゃんはもうちょい勉強頑張ろうな?授業中寝てるの先生にはバレてるぞー」


「うぐぅ……!あ、明日からは頑張るぞ!」


「ならばよし。さっ、三人共、ご褒美が校長先生にバレて俺が怒られないよう、さっさと食べちゃってくれ」


「「「はーい!」」」


 先生にそう言われ、俺達はぺろぺろとご褒美のアイスクリームを美味しい美味しいと言い合って食べるのだった。

 こうして、令和ではなかったようなテスト後のちょっとした楽しみと共に時間は進み、気がついた頃にはあっという間に夏休みになっていた。

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