学生三姉妹
「あーもうほら千保、女の子なんだからもっと身嗜みを綺麗に────」
「はいはいはい、分かった分かった。いってきまーす」
うーむ、相変わらず千保お姉ちゃんは母様に喧嘩腰だなぁ。
「まったくあの子ったら……千胡、千代、弘紀は先に行ってるから二人も気をつけて行ってらっしゃい」
「「はーい、いってきまーす」」
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「もーほんとお母さんきらーい!よーちゃんむぎゅうってしてやるー!」
「むうぁー」
千保お姉ちゃんや、確かに俺は抱きつかれるのは嫌じゃないが、流石に歩いてる最中にやられるととても動きずらい!
それに身長差もあるから手が脇にくい込んで腕が変な風に上がるぅー。
「こーら、見苦しいから千保ちゃんやめなさい。それに千代ちゃんが変な風になってるわよ」
そう言って二番目の姉を叱るのは千胡お姉ちゃん。
割と色々と出来ちゃうハイスペックなお姉ちゃんだが、最近では体重計に乗ってため息をついたり、お胸のサイズを気にしたりしている年頃の娘さんである。
「おっと、ごめんよよーちゃん」
一番上の姉にそう言われ、ぱっと手を離し離れたのは二番目の姉である千保お姉ちゃん。
今年から4年生だと言うのに身長は6年生の千胡お姉ちゃんと同じくらいで、最近では少しお胸もお膨らみになってきた育ち盛りであり────
「でもほんと、よーちゃんに癒して貰わないとやってられなーい!」
絶賛反抗期中のお姉ちゃんだ。
「まぁ千代ちゃんって可愛いからねー、お姉ちゃんも癒してもらおうかな?」
「か、可愛いって……千胡お姉ちゃん恥ずかしいよー」
それに中身男だし、可愛いは流石に恥ずかしい!
「でもよーちゃん本当に可愛いから、男子にもモテモテじゃないのー?好きな子とかいたりしないの?」
「もー!居ないってば!」
そう言いながら肩より少し長い髪を指で弄り、恥ずかしそうにはにかむのは────
俺が男と付き合うなんて、ある訳ない。
小学二年生となった花宮千代、つまり俺だった。
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「理科」
「カニ」
に、に、にー
「……にんじん!あっ」
「はーいよーちゃんの負けー」
「はぁうぁー」
また負けた……昔っからしりとりだけは弱いんだよなぁ。
おっと。
あれから四年もの月日の間、兄姉達が個性豊かに育って行くと共に「女の子」として育てられた俺は────
「千胡お姉ちゃん、スカートめくれて見えちゃってるよ」
「えっ!うそっ!?わわわっ!ありがと千代ー!」
うむ、もう女の子の下着を見ても何も感じなくなってしまった……家族だからとかもあるかもしれんが、これは男として由々しき問題な気がする……が。
「ドジっ娘可愛いからなんでもいいやぁ」
「「どじっこ?」」
順調に「精神」的にも女の子として成長していた。
…………成長したかったかは別として。
「可愛くて魅力的な女の子って事だよー」
「そ、そうなの?」
「そうそう」
そしてチョロ可愛い。
「で、本当の意味は?よーちゃん」
「どじな娘っ子と書いてドジっ娘と読む」
「んなっ!?」
「なーるほどー、それは確かにこーねぇにピッタリだ」
「あーんーたーたーちー……」
あ、やっべ。
「待ちなさーい!」
「「きゃー!お姉ちゃんが怒ったー!」」
「こらー!とっ捕まえてやるー!」
にっげろっ!にっげろ!がっこーへにっげろ!
そんなこんなで、小学校二年生となった俺の幼女としての生活が賑やかに騒がしく幕を開けたのだった。




