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私の正体

「……前々からなんか変わってるとは思ってたけど。そういう事だったんだね、よーちゃん」


 令和から女の子として昭和の時代に新たに生を受けてから十数年、俺はいつもは優しい姉に見たことも無い目を向けられつつ、最大のピンチを迎えていた。


 まずいまずいまずいまずいまずい!

 いつからだ?!あのノートのことを千保お姉ちゃんが知ったのは一体いつだ?!どこまで読まれた!?いや、今はそんな事よりも……


「え、えー?私、お姉ちゃんがなんの事言ってるのかわかんなーい」


「とぼけないでよよーちゃん。ウチ、知ってるんだからね。実はよーちゃんが……」


 バレた……?バレたのか……?俺が男だったって事が……!?


「未来人だって事!」


「…………………………はい?」


「だーかーらー!よーちゃんが実は未来人だって事!ウチ知ってるんだからね!」


「……え、えぇー……っとー……ちなみにその情報源は?」


「このよーちゃん本と雑誌マーだよ!」


「はぁ……」


 まさか千保お姉ちゃんがオカルトマニアだなんて、思いもしなかったわ。


「…………えーっと……ちなみに、もし仮に私が未来人だったとして、千保お姉ちゃんは私を問い詰めて何がしたいの?」


「それはもちろん!未来のお菓子をいっぱい作ってもらうの!」


「な……なっ……」


 なんじゃそりゃあぁぁぁぁあ!


 アニメでよくあるような妹を返してやら出ていけといった展開を想像していた俺は、まさかものっすごいキラキラした目でそう言われると思っておらず、跪きガックリと頭を垂れる。


「えーっと……えーっとぉ……」


 これは一体……どうするのが正しい選択なんだ?

 というかとぼけ続けたら騙せたんじゃ……というか、もしバレたらとか色々考えてたけどこういうのは想定してなかったぞ……と、とりあえず……


「お姉ちゃんはそのノートどこまで読んだの?」


「最後まで!」


「あー……」


 読んじゃったかぁー…………そうだなぁ……そうだよなぁ……こうなるともう隠すだけ無駄だよなぁ……仕方ない、正直に話すしかないか。


「分かったよお姉ちゃん、正直に話すよ」


「ほんと?」


「ほんとほんと」


 でもその前に……


「やったやった!未来人からお話聞ける〜♪」


 私は未来人じゃ無くて、転生者だって事教えなきゃね。


 ーーーーーーーーーーーーーー


「えーっとつまり、よーちゃんは未来人じゃ無くて転生者で、よーちゃんは未来から来たよーちゃんじゃなくて、よーちゃんとして生まれた未来の人ってこと?」


「んー……んー?まぁーそういった認識で間違いはないー……のかな?」


 あの後隠し通せないと諦めた俺は、千保お姉ちゃんがどこまで知っているのか聞き出した後、十分程時間をかけ自分が未来人ではなく転生者であるということをみっちり説明していた。


「でも本当に口止め料がお菓子と面白い未来の話だけでいいの?」


「うん!逆にこれ以上何を求めると言うのだ!」


「んーまぁ確かに知ってるだけで他にどうしようもないけど、てっきりお金とか要求されるんじゃないかって」


「そんな可愛い妹からお金を巻き上げたりするもんですかっ!お姉ちゃんをなんだと思ってるのっ!」


「万年金欠」


「うぐっ!」


「私二四万ノ借金有リ」


「うぐぐっ!で、でも!弱みにつけ込むのはお姉ちゃんのやることじゃないもん!」


 そういう所はしっかりしてるのがウチの姉のいい所だよなぁ……ん?というか……


「これ全部読んだんだよね?」


「うん」


「なら私が元は男だったのも知ってるんだよね?」


「うん」


「その…………気持ち悪いとか思ったりしないの?体は女の子でも中身は男だったんだよ?」


「うーん……でもウチが知ってるのは女の子のよーちゃんだけだしなぁ。別にそんな事は全く思ってないよ?というかそもそも十年以上も一緒に生活してるんだから」


「でも……」


「それに、よーちゃんはウチとこーねぇに手を出したりした事ないでしょ?揉みあいっこも割とここ数年になってからだし。だから、ウチはよーちゃんの事そんな事思ったりしないしー……それっ!」


「ひゃんっ!」


「これからもずーっとよーちゃんの事大好きだよー!んー!やっぱりよーちゃん最高っ!」


「胸を揉むな顔を埋めるなスリスリするなーっ!」


「ふっふっふっ、秘密にしてあげる代金だよー!」


 こうして、俺の秘密は千保お姉ちゃんに知られる事になったものの、今までと変わらず守られ続ける事が出来たのであった。

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