大切な家族達
「んーしょっ……と」
もう小学六年生になって数ヶ月経つというのに未だ身長の伸びる気配のない俺は、いつものように少しだけジャンプして飛び乗るように椅子へ腰掛ける。
「さて、それじゃあ何となくだけどまとめてみるとしますか!」
そう言うと俺はグイッと伸びをして、お世辞にも女の子らしいとは言えないシンプルな秘密と書かれたノートに現在ほぼ毎日のように関わっている人達の名前を書き出していく。
そう、今日俺は父様との関係が一歩前進した事で変わって行くであろうこれからの事も兼ね、色々と書き出してみる事にしたのだった。
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さて、先ずは誰から書いたものか……といっても最初は家族からだな。となるとやっぱり最初はこの人でしょう。
我等が父様花宮浩!六月三日生まれの御歳四十七歳の頼れる父様だ!
あの太平洋戦争の時に戦争に出ていたらしく、左目の所にある特徴的な傷はその名残だという。これはきっと押入れから軍服が出てきた事から確定だと思う。
この時代にしては意外に柔軟な思考の持ち主で女だから男だからといった考えはあまり無く、普段は優しい父親で俺達三人娘も大好きな父様だ。
でも仕事の事に関しては家族を守るという責任感からか、口を出されることをとても嫌っていて、たとえ家族でも口を出されると露骨に嫌な顔をしていた。
特に女である俺や母様、姉達には嫌な顔所か不機嫌になってたけど、この間の俺の家出後はそんな事も無くなって嬉しい限りだけどね。
それにこうなる前も雰囲気が悪くなった後にお店のお菓子をあげて仲直りしようとしてきたりしたし、結局はとてもいい父親だ。
「うっし、父様書けた。それじゃあ次、やっぱり父様を書いたなら隣にはこの人を書かねばなるまい」
誕生日は三月六日、年齢は秘密な我等が母様!花宮一恵!
旧称は狭山で、実は結構な名家。実家は山を幾つか持ってたりするレベルだ。そして優しいけどそれ以上に厳しいお母さん、昔の日本、と言っても今まさにその時代なのだが、そんな時代の女性を体現したかのような人だ。
身長は一番上の姉である千胡お姉ちゃんより少し高いくらいなので多分百五十七とかそれくらいである。
……それでも俺より頭一つくらい高いんだけどね。
キリッとした顔つき、体つきもよく細いがでかいという父様が大好きなタイプだが怒らせると周りの雰囲気がよく切れる名刀のように……これ以上は書かないでおこう。
名家の長女として育てられたからか、女は女らしく、夫の三歩後ろで三歩前を予測して動けと厳しく教えられて育ったそうで……
その結果当然女とはそうあるべきと思っている節があり、俺達娘達には厳しい癖に、息子であるあの兄は自由にさせている。
だが実際はとても優しいお母さんであり、なんなら兄よりも俺達娘を愛してくれているんだと思う。
「これだけでも結構書いた気がするなぁ。でも書かないといけない相手はいっぱい居るぞー」
という訳で次はこの人、花宮長次郎!俺のおじいちゃん!
紛れもなく戦争を生き残った威圧感の凄いガタイのいい強面!身長はあんまりこの時代じゃ見ない高さで、多分百七十はある。
ガタイのいい強面と組み合わさって最強感が出てるくらいだ。
今年で七十四歳だというのに毎朝乾布摩擦をやっているくらいに元気、俺にはとても甘いが男はこうあるべき、女はこうあるべきという概念が強い。
その為実は俺とは割と揉めてたりするが、だいたい後で気まずそうにおじいちゃんから俺にご機嫌取りに来たりする。
正直、カワイイ。
礼節に厳しく、よく兄をしごいてるのを見るが、正直そろそろ歳だから体は大切にして欲しい。
いや、元気だからそれが一番なんだけどね。その調子で是非とも俺の成人式までは生きてて欲しいものだ。結婚式?父様とするからムリー。
「それじゃ次はおじいちゃん繋がりでアイツを書くとするか」
残念な事に今の俺の兄である長男の花宮弘紀。
中学三年生になり余計はっきり分かるようになってきたおじいちゃん譲りのガタイのいい体格と、祖父の強面と母のキリッとした顔つきが合わさった全体的に威圧感の強い容姿。
この時代が男尊女卑な所もあるからだろうが、俺様俺様な性格で俺達姉妹を見下している節、いや、完全に見下している。なんなら母様も見下してる。
よくくだらない悪さをしておじいちゃんに叱られている花宮家の問題児だ。
正直頭がそこまで強いわけではない為か成績は悪く、未だ小学生なのに自分のさせて貰えない店の簿記を父様にさせて貰ったりしている俺によくちょっかいをかけてくる。
んで、だいたいおじいちゃんに殴り飛ばされる。昭和って怖ぇ。女に産まれてよかったよ。まぁだからって非行じみたことはする気ないけど。拳骨はたまに入れられるし。
そして実は長女である千胡お姉ちゃんの双子の弟だったりもする。
という訳でここからは姉達を紹介しよう!まずは双子の片割れ、頼れるけれど頼れない、家事ポンコツな我等が姉、花宮千胡だ!
一見The!生徒会長!みたいなクールビューティな本当に個性的な我々弟妹をまとめるしっかり者のお姉さん。
全体的に勉学運動等が人並み以上に優れているけれど、正直特出した事がない事と、貧乳がコンプレックスらしい。
身長は百五十くらいだそうで、俺達三姉妹共通のまるまゆタレ目だが、目とかは細めで柔らかな印象がある。髪はセミロングで俺よりも少し短い。
でもそれが何だかしっくり来るのがクールビューティーなんだろうなぁ……お胸気にしてる所もポイント高い。だけどこの人がポイント高いのはこれだけじゃないんだよなぁ。
色々な事に秀でてはいるが、料理や裁縫といった家事は少し、否かなり苦手。料理は誰かついてないと謎物質と化し、お裁縫は現代アートが出来上がる。
そして甘いものに目が無く、よく俺の作るハイカラ、といってもちょっと可愛いクッキーやケーキ、マフィンなんかのお菓子に目がない。カワイイ。
そしてあの兄の双子の姉であり何がとは言わないがトリプルエーである。我等姉妹の呼び方は千代ちゃん千保ちゃんだ。
続きまして現在絶賛反抗期、産まれる時代が今でよかった二番目の姉、花宮千保だ!
現在中学一年生!……のはずなんだけど、高身長、ボイン、面倒臭がり屋、家族唯一の茶髪といった諸々が重なっておりどことなくギャルっぽい。
家族一目ざとく、少しの違いにも気がつく。身長はおじいちゃんの血を濃く継いだからか、百六十台と花宮家女性陣の中ではダントツで高い。
髪はボブでこちらも地味に花宮家女性陣唯一の短髪だ。
で、よく母様に怒られてる時に俺が通りがかって盾にされるんだよなぁ。勘弁してくれ。
苦い物と最新の物が好きで、少し周囲から浮いていて、千胡お姉ちゃん曰く学校でも少し浮いている存在らしい。だが友達は多いそうで……不思議である。
多分もう少し生まれるのが遅かったらギャルになっていたに違いないが、とってもウブで男の人の裸を見ただけで顔を真っ赤にしちゃう可愛らしい一面もある。
どこで繋がったのか、機械いじりや専門的な技術など、その手の人と太い人脈がある。どうやってそんな人脈を作れたかは本当に謎である。
俺達姉妹の呼び方はこーちゃんよーちゃんだ。ちなみに何がとは言わないが現段階でEである。しかも昨日キツいとか言ってたからまだ育つようだ。
「ふぅ、結構書いたな。俺の事も書いとこうかなぁと思ったけど、今日は疲れたしこんなもんでいいか。続きはまた今度ーという事で」
「千代ー、ちょっと来てもらっていいですかー?」
む、この声は母様。何か用事かな?
「はーい今行きまーす」
母様に呼び出されパタンとノートを閉じた俺は、そう少し大きめの声で返事をすると、椅子からぴょんと飛び降り自室を後にしたのであった。
どうも皆様こんにちは!
布団を剥がされてただの机となってるこたつです!
いやーついに「昭和TS」も100話を迎えましたね。
これも日頃読んで下さり、暖かく面白い感想を送ってくださる読者の皆様のおかげです。
この場を借りて改めて感謝を伝えさせて頂きます!
本当にありがとうございます!
さてさて、いよいよ長かった小学生編もラスト間際になって参りましたが、現在中学生編を書くか書かないかで悩んでおります。
高校編がボリューミーなだけに中学生編まで入れたら流石に長すぎるんじゃないか?
そんな考えであります。
そこで、宜しければ皆様にもご意見を頂けないかと思い、ここに書かせていただきました。
良ければご意見、お待ちしております。
それでは皆様、これからもどうか「昭和TS」を末永くよろしくお願いします!




