大賢者の研究所
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種族:ベヒモス
レベル:488
[スキル]:〈振撃Lv6〉〈属性咆哮Lv5〉〈恐怖の魔眼Lv4〉〈硬化Lv6〉〈再生Lv6〉〈火炎耐性Lv6〉〈筋力増強Lv6〉〈咆哮Lv6〉
[魔法]:〈火炎魔法Lv2〉〈土魔法Lv6〉〈隷属魔法Lv5〉
称号:森の主
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ベヒモスが〈隷属魔法〉?特殊な隷属・命令系のスキル持ちだと予想してたんだが。
かなりレベルが高いな。さっき戦ったゴブリンキングLv230が最高だったんだが一気に倍近く羽上がったな。それに火炎耐性とはな…手加減し過ぎると倒せなくなるかもしれないが手加減しないと森を焼いてしまう。
折角だしあのスキルを使ってみるか。
「さて、使いこなせるか分からないがやってみるか」
「主殿、危険を感じたら即座に私が攻撃します。」
「心配し過ぎだ。まぁ、いいだろう。」
「ご主人様、頑張れぇー!」
奪ったステータスも含め、今の俺の基礎ステータスだと逆立ちしても勝てない。だから念のために3つのスキルを発動させた。
俺の体を覆うように緋色のオーラが漏れだし鎖状の赤い雷のようなものが全身から迸っていた。そして段々と体の表面の至るところから高熱を発しているかのように蒸気が吹き出る。
「これが〈紅炎之神体〉の発動した通常状態か…まだまだ上げられるな。」
俺はどんどんと魔力…いや、神力を注ぎ込んでいった。
すると髪の毛が白くなり、所々から炎が溢れ、背中に少し大きめの天使の輪に似た光る輪が現れた。そして、俺の体は遂に神々しい光を放ち始めた。
~~ピコーン~~
(称号:太陽神を取得しました。)
「なるほどな。まさに太陽神だ。言うなれば紅炎之神体オーバーヒートってところか?よし、殺るか。」
俺は天駆を使いベヒモスへ急接近し、"滅火"を上段から下段へ思いっきり振り下ろした。
ヤバッ!
その一振りに思いの外、力が込められていた。しかも"滅火"から炎が漏れだしていた。
ズバーン!!
~~ピコーン~~
(レベルアップしました。)
(レベルアップしました。)
(レベルアップしました。)
…
(スキル〈飛翔斬〉を取得しました。)
(スキル〈炎熱斬〉を取得しました。)
(スキル〈魔力斬〉を取得しました。)
(〈神闘気〉による発生スキル〈絶対領域〉を取得しました。)
「やべぇ、オーバーキルだ。」
ベヒモスが真っ二つになりベヒモスの後ろ1km近く地面が切り裂かれていた。
「流石です!!ご主人様!!」
「さ、流石にやり過ぎじゃない!!?」
ユヅキは恍惚な表情をし、ローザはやり過ぎて逆に引いている。俺もやり過ぎたとは思うが、またまだ本気じゃなかった。
俺は〈紅炎之神体〉を完全に操るため〈神闘気〉と〈連鎖支配〉を使ったのだ。
〈連鎖支配〉は"あいつ"に貰った力だが、その話は後にしよう。
このスキルは、自分を中心に連鎖的に支配していくものだ。だから時間を掛ければ可能だが、短時間で広範囲の支配は不可能なのだ。
しかし俺自身だけならこのスキルを使用してスキルと力、熱量を素早く簡単にコントロールする事が出来たのだ。
体内に〈紅炎之神体〉で太陽エネルギーを宿し、体外を〈神闘気〉を纏うことでほぼ完全に体への負荷を無くした。それに、さっき手に入った〈絶対領域〉は最上位の感知系スキルだ。これを合わせればより強くなるだろう。
<スキルを解除するとその込められたエネルギーが外に漏れだします。ここら一帯が火の海と化します。>
え?まじかよ!
<"滅火"に熱を吸収させるのが最善です。>
俺は体内に宿された熱を全て刀に移動させるように意識した。先程までの神のような姿は一瞬で掻き消えた。
これでいいか。知らず知らずに解除していたら大惨事だったな。
「この先に遺跡みたいのがあるが行ってみるか?幸いまだ時間はあることだし。」
「主殿についていきます。」
「私は行ってみたい!ちょっと、気になるしね。」
俺もローザと同じだな。こんなところにベヒモスが居るなんて事はまずあり得ない。それに何かを守るようにしていたから、その遺跡に何かあるのは確実だろう。
「よし、なら行こうか。こっからは面倒だから、マップありで早めに片付けよう。」
「はっ!」
「了解♪」
そこまで遠く無かったが、俺は二人を連れて転移で遺跡の前まで移動した。マップを開き魔物が居ないことを確認できたが、一応の為ストレージから武器を取り出しておいて腰に刀を差しておいた。
ゆっくりと進み途中トラップがあったが難なく避けることができた。その際に〈危機感知〉〈罠探知〉〈罠解除〉というスキルが手に入った。中々便利だ。
罠を全て解除しながら遺跡の中を歩き回っていると大きな部屋にたどり着いた。沢山の本が山積みになり、そこら中に研究資料が散らばっていた。
「色んな研究していたようだな。それに、ここ数年人が出入りした形跡もない…」
椅子や机、食器何かもあったが一人分しかなかった。これだけの研究をたった一人でやるなんて相当なもんだ。
「ん?これは…」
「何かありましたか?主殿…」
「どーったの?えっこれって…」
俺達が見つけたのは、"人造ベヒモス"と"魔法スキルの付与"に関しての研究資料だった。
「人が魔物を…しかも、ベヒモスを作ったのか」
あのベヒモスが知性の無い魔物は使えない筈の隷属魔法を持っていた原因が分かった。
「この研究は途中で廃棄になっているようだが、研究施設の防衛にベヒモスを使うことにしたのだろう。ここの研究者が少しはまともでよかったな。」
「だよねぇー!こんな研究をどっかの国が見つけたら悪用するだろうからね。他にも"人造スライム"や"心を持つ人型ゴーレムの製造"なんて物もあるよ。」
普通は研究しても成果が出す事が出来ずに終わるものばかりだ。
「主殿、ここに居た研究者はマーリン・ファウストと言うらしいです。」
「えっ!あの大賢者の?」
「誰だそれ?」
「ご主人様、知らないの?」
ローザによると、その人物はどうやら単独で魔王や邪神を倒したり、どれもオーバーテクノロジー並みの研究成果を幾つも出している数千年前から存在する大賢者のことらしい。
数百年前には七賢者と呼ばれる七人の弟子を育て、その弟子は世界中で有名になるほどの存在らしい。そして、今は行方不明になっているそうだ。
<ですが、十年程前までここに居たようです。>
「すごい奴もいるんだな。」
「ご主人様の方が凄いと思うけど…」
ローザが何やら言っているがスルーして、先程から俺以外には見えていない扉の前に立った。
「どうしたのご主人様?」
「主殿、何かありましたか?」
「お前らはこの扉が見えていないんだろ?」
「え?扉なんてあるの!?」
「私は見えません」
やはり見えていないのか?
<この扉は魔道具と呼ばれるものです。この扉は、この壁の向こうにある出入口の無い部屋に繋がるものです。>
俺は、資料を全部ストレージに入れ終えると扉に手をかけた。
その部屋には、何処までも黒く巨大な"戦斧"や血が蠢いているかの様に怪しく光る"魔槍"、青い光をうっすらと纏う"聖槍"、何らかの加護を感じる"弓"と"弓銃"。
そして、一番目を引くのは鞘と柄が全体的に純白で金の装飾がしてある"剣"が在った。
「ユヅキ!ローザ扉は見えているか?」
「ご主人様が、扉に触ったら見えるようになった。」
「私も同じです。」
「にしても、凄い武器だね。少ないけど宝石や金貨何かもあるね。」
この世界の相場ってどのくらいなんだ?
<黒金貨→1億
白金貨→1000万
大金貨→100万
金貨→10万
大銀貨→1万
銀貨→1000
大銅貨→100
銅貨→10
鉄貨→1となっています。黒金貨や白金貨は国同士で戦争時の賠償などで使われるため一般では出回りません。>
ふむ、なるほど。じゃあ、俺の目に映る黒と白の貨幣は偽物何だな。
<はい。それが、黒金貨と白金貨です。>
…貰ってもいいのかな?
<大丈夫だと思います。数十年間も放置していた研究所なので物を奪われても仕方がありません。もし、忘れているのならばただのバカです。>
まあ、いいか。俺は部屋にあった全ての物をストレージへ入れた。
「よし、帰ろっか。」
「はい!」
「分かりました。」
俺達は転移で研究所から出た。
「この遺跡は一応壊しておくか…」
「その方がいいと思います。」
「ん~、どっちでもいいんじゃない?全部ストレージに入れたんでしょ?」
ユヅキは俺の事をずっと見ていたから俺がしていたことを気づいているのだろう。
「いや、魔物の培養機はそのままにしてある。こんな遺跡?研究所?に何もないのはおかしいだろ?他にも必要ない物をアミンにピックアップしてもらったからそれらもそのままだ。」
「なら、壊した方がいいね?でも、どうやって壊すの?あの魔法は、全部灰にしちゃうから使えないでしょ?」
まさに、その通りだ。だが、ベヒモスの〈振撃〉があるから一瞬で潰せるだろう。〈振撃〉は、震源の力によって生じる振動を強化してぶつけるものだ。震源がある程度強ければこのくらいすぐに潰せるだろう。
具体的には、飛翔で飛び、上空から〈身体能力強化〉〈身体強化〉〈筋力強化〉〈硬化〉〈筋力増強〉に俺の筋力ステータスを乗せて本気で殴り、それに〈振撃〉を加えれば研究所ごと潰せるだろう。もしものために〈手加減〉を使っておく。やりすぎは良くないからね。勿論、闘気や神闘気何かは使わない。
「二人とも離れておけよ。手加減ありの全力で殴り付けるからな。」
スキルを発動させ、俺は拳を振り上げ全力で空気を殴った。
ズドーーーーーン!!
「あちゃ~。また、やり過ぎたかな?」
研究所、遺跡は良い感じに壊せた。しかし、遺跡を〈手加減〉の対象にしたせいなのかは分からないが、対象外の周りの木々が〈震撃〉の余波によって吹き飛び大地が抉れていた。
ローザの方を見ると、ユヅキが影を出してローザを守っていた。
やべぇ~、やらかした。
「二人とも無事か~!」
「大丈夫です、主殿!」
「もう!死ぬかと思った!!」
ユヅキは平然としていたが、ローザは物凄く怒っているようだ。
「悪かったって」
「もう…しかたがないな♪」
ローザの頭をぽんぽんと撫でてあげるとすぐに機嫌がよくなった。代わりにユヅキが羨ましそうに見てきたがスルーする。今度やってあげよう。
「よし、帰ろっか。」
レベル上げに来たつもりが面白いものを発見できたし、結構収穫もあったから良しとしよう。お腹が空いたから早く帰ってアンナさんの料理が食べたいな。
~~◯◯◯◯視点~~
中央大陸から遥か東のカルトリア大陸。そこにある大国の大きな屋敷にウルス達の事に気づいた存在が居た。
「あれ?あの研究所が壊されてしまいましたか。すっかり、忘れていましたね。壊してくれたことには感謝しないと行けませんが、あそこで行っていた研究や武器を悪用されるのは嫌ですねぇ~。どうしますかね…取り敢えず、様子見をするしかないですね。」
その極一般の日本人みたいな風貌の中年のおじさんが独り言を言った。
「最近は表に出ていないですから、何かあったら私が動くしかありませんね。この国に迷惑をかけたくありませんし。」
邪心の魂の結晶を完全に浄化し、杖に埋め込んだ魔法の杖を弄っていると部屋に近づく三つの気配を感じとった。
「マーリンさん!ご飯出来ましたよ!」
「おっさん!早く来いよ!」
「ご飯だよー!!」
三人の女性はその中年のおじさん…世界最強の大賢者と呼ばれる"マーリン・ファウスト"の大切な人達だった。
「ははは、分かりました。直ぐ行きます。」
「また、変な研究してたのか?」
「酷いですねぇー。少し過激では有りますが、素晴らしい実験ですよ。」
「ほんとか?」
やっぱり信じてもらえてませんね。まあ、変な実験もやっていますが、危険なものは…少しはあるかもですね。
「ふふふ、マーリンさん?また、危険なことしているんですか?」
マーリンは、その女性の般若を思わせる気配にビクッとしてしまった。
「い、嫌ですねぇ~。そんなことはしていませんよ。」
「はぁー、分かりました。取り敢えず信じますが、見つけ次第お仕置きですからね。」
「は、はい。」
かのマーリン・ファウストもその女性の前では手も足もでなかった。
「早く、ご飯!」
「いくぞ、おっさん!」
「マーリンさん、早くしないとご飯が冷めてしまいますよ。」
その平穏な光景を見て微笑んだ。
奪ったスキル:〈振撃Lv6〉〈属性咆哮Lv5〉〈恐怖の魔眼Lv4〉〈硬化Lv6〉〈再生Lv6〉〈火炎耐性Lv6〉〈筋力増強Lv6〉〈咆哮Lv6〉〈火炎魔法Lv2〉〈土魔法Lv6〉〈隷属魔法Lv5〉
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名前:ウルス・ルシフル(ウルス・ドラゴン)
年齢:15
種族:滅人【世界神(滅竜神)】、唯一神(太陽神)
レベル:254→498
[スキル]:〈飛翔斬Lv10〉〈炎熱斬Lv10〉〈魔力斬Lv10〉〈危機感知Lv10〉〈罠探知Lv10〉〈罠解除Lv10〉〈硬化Lv10〉〈再生Lv10〉〈火炎耐性Lv10〉〈筋力増強Lv10〉
[オリジンスキル]:〈絶対領域Lv10〉
称号:太陽神
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