アリア
私はとある一般的な村に住んでいる村娘です。私は昔から何をやっても何も出来ませんでした。そのせいで、村の人達に厄介者として扱われ、最初は庇ってくれた両親や弟も私を他の村人と同じように扱うようになっていきました。
そして遂に、この村の借金返済のために私は奴隷商人に売られました。
奴隷商人の所へ連れてかれ、私が"忌み子"であることが分かりました。その時から奴隷商人からも役立たずと様々な暴力を受けました。最初のうちは、殴る蹴るでしたが段々とエスカレートしていき両腕両足を切断されました。
何故、私はこんな目に遭っているのだろう?私が何か悪いことをしたの?酷いよ…神様助けて。
それから暫くたった後、こんな状態の私を買うという方が現れたらしいです。その時、私は死を悟りました。
恐らく何かの実験や魔物の餌、人前では言えない趣味を持った方などそういった目的で私は使われるのでしょう。
もしも、なにも知らない人が哀れに思って連れ出したとしても私は長く持ちません。それに、もし治る手段があっても私は"忌み子"だから何の役にも立てない。
私を買う人はどうやら女性のそれも美人の方のようだった。その女性はあまり見かけない服装をしていた。その人は終始無言でお金を奴隷商人に渡すと私を抱えて奴隷商館から出ていった。
奴隷商館が在った町から離れ、人目のつかない場所に来るとその女性は懐から取り出した腕輪型の魔道具を発動させた。高級品である魔道具を始めて見た私は何の魔道具なのか分からなかったが、その女性の足元から魔方陣が浮かび上がり私達を呑み込んだ。
私は魔道具の実験として使われるのだと、改めて死を実感した。
だが、まだ私は死んでいませんでした。目を開けると私は、先程の森とは打って変わり神々しい創造神様の石像がある神殿に居ました。その石像の前には巨大な台座のようなもがありました。
混乱している私は辺りを見渡してみると、先程の女性の他に私と同じような傷をおっている子達が二人いるのが分かりました。
「貴女達には、とあるお方にお仕えしてもらいます。」
無言を貫いていた女性がそう口にした後、台座の方向に向き片膝をついき頭を垂れた。
私達は不思議に思っていると創造神様の石像の周りから神々しいオーラに包まれ、そのオーラが渦巻き私達を呑み込んだ。
なんと暖かく心地よいのか…
神々しいオーラが一点に集まり、黒髪黒目の青年が現れ台座の上に横たわった。そこで、私は身体の異常に気づいた。
「えっ…身体がな、治ってる…」
「目が見える…ひっく、ひっく」
「な、私の身体が…う、うわーーーん」
私達は暫くの間泣きじゃくっていました。
「貴女たち、この方が私達がお仕えする"ウルス・ドラゴン"様です。元世界神で"滅竜神"とも呼ばれていました。現在は、唯一神で太陽神でもあるお方です。」
その言葉を聞いて私は心底驚きました。
世界神とはこの世界を作った三柱のお方達の総称です。全てを創造した"創造神"様、全ての秩序を創り支配した"支配神"様、全てを滅ぼすことができる"滅竜神"様の御三方です。その内の一柱が目の前にいらっしゃることにとても驚き、歓喜しました。
そして私は思い知りました。私が生まれたのはこの御方に仕える為なのだと…。
私達はウルス様…いや、ご主人様に付いていくと宣言をし、承諾を貰いました。その後は色々なことが起きて私は混乱していました。現在の唯一神様と炎の女神様への謁見やあの伝説の第一使徒様に会ったりなど今までにない経験に混乱してしまったのです。
第一使徒のクレア様が住む天空城を見て驚きましたが、私はその後の〈天歩〉や〈天駆〉を習得しろと言われた時に私は習得が出来ませんでした。
やはり"忌み子"だからと思いましたが、前よりも身体が上手く動かせたことに驚きました。
後で聞いてみれば、習得できた一人は私と同じように"忌み子"だったそうです。それ聞き、余計悔しかったです。
クレア様に支えているアンナさんに色々な事を教えてもらうことになりました。部屋に案内された後、アンナさんの手伝いをしながらご主人様に仕えるものとして恥ずかしくない様に指導も受けました。
次の日の朝、ご主人様のために早起きをして朝食の準備を手伝いました。やはり昔よりも色々なことが出来てとても楽しかったです。
ご主人様の権能?という《管理者》様から色々な事を聞きました。世界神であったご主人様が転生した理由やご主人様の力に関する事、これからの目的などを聞きました。
その中に"忌み子"である私達がなぜこんなに色々出来るようになったのか?その理由を知りとても嬉しく高揚してしまいました。
私達はご主人様の眷属になったことで"忌み子"という称号が無効化され強くなったそうです。
眷属にはまだ上の称号があり上へ行けば行くほどご主人様との繋がりが深く強くなると聞き、私は最上位の"筆頭眷属長"を目指そうと心に決めました。
その後クレア様からの提案で私たちにも修行をつけてもらうことになりました。
今朝新たにご主人様の眷属になったローザちゃんとサクラさんも一緒に修行するそうです。私たち五人を相手にアンナさん一人が修行をつけてくれるみたいです。
修行場所はご主人様と離れるみたいですが、修行経過によってはご主人様と同じ修行に参加出来るみたいなので頑張らなければなりません。
「これから、わたくしアンナが貴女達の修行を見ることになりました。早速ですが修行内容を説明します。簡単に言うと死んでもらいます。」
その言葉を聞いた私達は皆同様に戸惑い、混乱しました。
「それだけでは説明不足ですね。この空間には特殊な魔術が掛けられています。そのお陰で時間の経過が遅く、死んでも蘇ることが出来るのです。勿論一度死ぬ訳ですから死の恐怖を肌で感じることになります。ですが、必ず強くなれます。貴女達はどうしますか?」
私は恐怖と共に安堵しました。私が普通の修行をしてもご主人様の役に立てるほど強くなれないのではないか?と思っていました。ですが、一同死んでしまう。それ程の修行をすれば必ず強くなれると思ったからです。
「私はやります。ご主人様の眷属としてお側に仕えるには強くなければなりません!」
「勿論、私もやるわ。ウルス様の役に立ちたいもの。」
「僕も同じだよ!ご主人のために死ぬくらい大丈夫!」
「一度死んだような身でありんす。主はんの為ならこの命惜しみなどせんでありんす!」
「せっかく助けてもらったんだから、もっと強くなって恩返ししたいもんね!ビバ、レベリングだよ!!」
皆私と同じ気持ちだったみたいだ。友達の居なかった私には、皆で切磋琢磨出来るこの場所がとても居心地がよく嬉しいです。
「ふふ、よい返事です。私は今から…いえ、これから修行が終わりと判断するまで毎日15時間貴女達を攻撃します。協力してもいいので私に一発攻撃を当てて下さい。」
それを聞いた私はあまりにもアンナさんに不利すぎて逆に心配をしてしまいました。
「もしかして、私の心配をしていますか?こう見えても私は強いですよ?」
どうしても私は、メイド服を着た優しいアンナさんが強いとは思えなかった。
「なら、戦闘経験がお有りのサクラさんからかかってきてください。」
「本当によいのでありんすか?」
金色の髪と狐耳をしたサクラさんが可愛く首を傾げた。
「ええ、私の方が数十倍は強いので」
それを聞いてムキになったのかサクラさんは手を前につきだし手を横に振ると綺麗な色をした花びらが舞い上がりその中からご主人様が持っていたような刀?と呼ばれる武器が現れた。
「綺麗な"桜"ですね。しかも妖刀ですか…」
「初見で分かるのでありんすね。これが私の武器"八重桜"でありんす。」
あの花びらは"さくら"と言うのですか。お名前と同じなのですね。
「では、いくでありんす。」
サクラさんが刀を構え私の目では追えない速度で何回か降るった。そうするとアンナさんに向けて空を斬るように斬撃が飛んでいった。しかし、アンナさんに当たる前に粉々に砕けてしまいました。
それにサクラさんが驚いている間にアンナさんが一瞬で近づき、お腹に向けておもいっきり殴り付けました。
シュッ!…ズパーーン!!
サクラの上半身が一瞬で吹き飛んでしまいました。
「これが、死ぬということです。」
完全に死んだ筈のサクラさんが光だし、あっという間に元の姿に戻っていました。しかし、殴られた箇所の服は治っていませんでした。
「わ、わっちは…」
「貴女は今死にました。私の拳の感触やぶっ飛んだ身体の痛覚など色々感じたはずです。勿論、死の恐怖も…どうしますか?修行を続けられますか?」
「わ、わっちはやるでありんす!」
あれを私も受けるのですね。アンナさんへの認識を完全に間違っていました。
「アンナさんはどのくらい強いのですか?」
思わず私はそう訪ねてしまいました。
「そうですね…貴女達は現在のステータスを知っておくべきでしょう。ウルス様からは許可を頂いているので皆様はご自分のステータスを確認してください。アミン様に聞けばいいと、ウルス様から言われております。」
私はそう言われたのでアミン様に念話で尋ねた。
私のステータスを見れますか?
<はい、畏まりました。アリアのステータスを開示します。>
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名前:アリア
年齢:16
種族:ヒューマン【天使】→天使
レベル:1
[スキル]:〈天使化Lv1〉〈魔力操作Lv1〉〈魔力感知Lv1〉〈身体能力強化Lv1〉
[エクストラスキル]:〈勇者の器Lv1〉〈聖印Lv1〉
[オリジンスキル]:
[魔法]:〈空間魔法Lv1〉〈生活魔法Lv1〉
称号:忌み子、先祖帰り、勇者、滅神の眷属
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え?私は天使なのですか?それに、勇者って?
<はい、種族は先祖帰りによるものです。貴女の先祖の誰かが天使族だったのでしよう。マスターの眷属となったことでハーフから完全なる天使になりました。称号の勇者は〈勇者の器〉というスキルの影響です。〈勇者の器〉は先天的に手に入るスキルですので、今まで忌み子の称号によって無効化されていたのでしょう。>
これならご主人様のお役に立てるかもしれない。
<マスターの事を第一に考える…いい心がけですね。では、餞別としてアンナ様のステータスをお見せします。マスターからは許可をとっているので>
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名前:アンナ
年齢:1405
種族:鬼人族
レベル:1005
[スキル]:〈魔力・闘気・気配操作Lv7〉〈魔力・闘気・気配感知Lv7〉〈魔力・闘気遮断Lv6〉〈武術Lv-〉〈身体能力強化Lv8〉〈衝撃波Lv4〉〈料理Lv10〉〈裁縫Lv10〉〈掃除Lv10〉
[エクストラスキル]:〈一撃必殺技Lv4〉〈追加攻撃Lv6〉〈無詠唱Lv-〉〈従える者Lv10〉〈完璧超人Lv10〉〈神闘気Lv5〉
[オリジンスキル]:〈慈愛の拳Lv10〉〈料理王Lv10〉
[魔法]:〈力魔法Lv9〉〈生活魔法Lv10〉〈回復魔法Lv7〉〈神聖魔法Lv4〉
称号:虐殺の鬼神、完璧メイド、メイド長
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えっ!こ、こんなに強いのですか!?
<はい、頑張って下さい。>
「そろそろ宜しいですか?では、殺り合いましょう!」
そう言い残しアンナさんは私が反応すら出来ない速度で接近して私の腹をおもいっきり殴った。
シュッ!…パーーン!!
私は初めて"死"を体験した。
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名前:アリア
年齢:16
種族:天使
レベル:1
[スキル]:〈天使化Lv1〉〈魔力操作Lv1〉〈魔力感知Lv1〉〈身体能力強化Lv1〉
[エクストラスキル]:〈勇者の器Lv1〉〈聖印Lv1〉
[オリジンスキル]:
[魔法]:〈空間魔法Lv1〉〈生活魔法Lv1〉
称号:忌み子、先祖帰り、勇者、滅神の眷属
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