表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~The tale of Ruin~  作者: 流川アヤ
第1章
3/13

唯一神と炎の女神



「よし、四人ともこれから宜しくな。帰る場所があるなら、旅をしながら寄るがどうする?」

 三人はまだ子供なので(外見は俺も同じくらいだが)心配して待っている人とか居るかもしれないからな。


「私は、親に捨てられたのでありません」

「私の家は弱肉強食でしたので弱い私は捨てられました。なので、ありません」

「集落ごと家族は、皆殺しにされて僕は奴隷になったから私も居ないよ」

 ふむ、ここまで重い話だと思わなかったが、色々と大変だったみたいだな。あまり触れないでおこう。


「そう言えばここは何処なんだ?」

「ここは、中央のミルド大陸にあるセントラル神王国です。」

 ユヅキがミドル大陸と言うと、アリア達が物凄い驚いた顔をしていた。


「なんで驚いているんだ?」

「私は西のカシスト大陸から来ました。」

「私が最後に居たのはリトア大陸ですね。」

「僕は中央大陸に近い南の大陸だったよ!」

 成る程、三人はそれぞれ違う大陸から連れてこられたのか…。


「どうやって連れてきたんだ?」

「ゼウス様から貰ったこれを使いました。」

 そう言いながらユヅキは腕輪を差し出した。

ーーーーーーーーーー

名前:転移の腕輪

レア度:伝説

分類:腕輪

能力:遠距離転移(残存回数×0/使用回数×7)

称号:創造神の創作物(おもちゃ)

ーーーーーーーーーー

 ってことは、もう使えないのか。

「他に、ゼウスから何か貰っていないのか?」

「はい、私はありません。ですが、主殿に渡してあると言われています。」

 ん?何か渡されたか?

<ゼウス様が《世界収納(ストレージ)》内に何かを入れていました。>

 あの野郎、俺の権能に干渉したのか。

 俺は《世界収納(ストレージ)》内部を意識すると幾つか(・・・)入っているのが分かった。その中から特に強い力を発している二つの武器を取り出してみた。

ーーーーーーーーーー

名前:太陽刀・滅火

レア度:創世

分類:刀

能力:所有者固定、炎熱・魔力無限吸収、炎熱・魔力無限蓄積、炎熱・魔力放出、不壊、全種族特攻

称号:太陽斬り、神殺し、魔物殺し

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

名前:宵闇(ヨイヤミ)

レア度:創世

分類:刀

能力:所有者固定、不壊、全種族特攻、形態変化:第一形態

称号:陰月の神刀

ーーーーーーーーーー

 これはかなり凄い武器だな。

<はい、"太陽刀・滅火"は太陽の中心にある太陽石から創られており、"宵闇"は月の欠片という物から創られています。両方とも存在さえ余り知られていない神話級の超レアな鉱石です。>

 これがあいつの言っていた餞別の一つか。有り難く頂戴しよう。


「この刀はユヅキが使ってくれ」

 そう言って宵闇をユヅキに渡した。俺が使うよりもユヅキが使った方が良いと思うしな。

「よ、よろしいのですか!?これ程の刀を頂いて…」

「俺が使うよりも良いだろう」

 《世界収納(ストレージ)》内には、まだミスリル製の沢山の武器や回復ポーションなどが入っていた。先程の武器にはかなり劣るが、全体的に質はかなり良かった。


「これは、アリア。こっちは、リーベル。そしてこれがシアだな。」

 そう言って次々にミスリル製の武器を渡していった。アリアは剣、リーベルは斧、シアは槍とそれぞれに合う武器を選抜した。


「わ、私は忌み子ですから戦闘は…囮くらいにしかなれません」

 成る程、自分のステータスのことをまだ知らないのか。


<マスター。私が紹介がてらステータスを教えましょうか?>

 アリア達と話せるのか?

<《魂ノ系譜》でマスターとの間に魂の絆が出来ているので可能です。>

 なら、頼んだ。


「え、頭に声が…」「あら?」「ん?」

 最初の内はかなり驚いていたが段々と喜んだり泣いたりしていた。




「ん?終わったか?」

「はい、ご主人様。私達の命だけでなく、忌み子という呪縛からも救い出して頂き、本当にありがとうございます。」

「ありがとうございます。一生お側に置いてください!」

「僕も神狼族の誇りにかけてご主人様のために働く!」

 思っていた以上に感情が高ぶっているな。アミンが余計なことを言ったのか?

「あ、ああ。そうか。なら、これか宜しく頼む」

「「「はい!」」」

 

「まずは、ここから出ようか。」

「その前に主殿に会わせたい方が居るのですが…」

「誰だ?」

「この国を統括している現・唯一神です」

 唯一神か…。会っ方が後々融通を利かせてれるかもしれないな。


「分かった、会おう。案内してくれるか」

「はい、分かりました」

 俺達はユヅキについていき先程まで居た神殿から出た。出るとその目の前には白い大きな城があった。


「これが唯一神が住んでいる城か?」

「はい。唯一神や十字軍、異端審問会、王族、貴族、教会の上層部の他に使徒が出入りしています。」

 最近はそんな組織があるのか。この国は唯一神が納めているのに王族何てものも居るんだな。

「ふむ、昔よりも組織が増えているな。俺が知っているのは、この国を創世教の教皇が治めていたような気がしたが…」

「そうなのですか?千年ほど前までは変わっていなかった筈です。教皇や教会の者達は別の場所に居ます。基本的に唯一神の下で教皇と王族がそれぞれ派閥を作っています。」

 俺がいない間にかなり世界が変わってしまったのか。なら、俺が居ない間に何があったか知るのも旅の目的に追加だな。

 




 俺達が、歩いている時に何人かの騎士を見かけたが、ヒューマンとしては一人一人が実力者だった。流石は唯一神に仕えることだけはあるな。

 それから暫くユヅキに付いていくと、魔力の帯びた宝石や金属で装飾された大きな扉に行き着いた。

 その扉の前に立っていた兵士が此方に歩いてきた。


「貴方様は、ウルス様ですね?話は伺っております。唯一神様がお待ちですのでどうぞ中へ」

「わかった」

 俺が近づくと自動でその扉は開かれた。扉の先には、神々しい力を発する玉座や見事なまでのシャンデリアなど、全てが絵になる程美しい光景だった。

 そして、その玉座に座っている髭の生やした老人が唯一神だろう。



「カッカッカッ!よくぞ参られた!待っておりましたぞ!」

 いきなり玉座から立ち上がり、豪快に笑いながらこちらに歩み寄ってきた。


「こんなところでは話しにくいだろう!先程まで、仕事中だったのだ!すまない!」

 声がおっきい…

「儂の部屋に参られよ!ヴァーミリオン、先にこの方の案内を頼む!儂は書類を片付けてから直ぐに行く!」

 そう唯一神が言うと壁際に立っていた者の中から赤髪の異質な雰囲気を醸し出す女性が前に出てきた。


「はい。では、ウルス様こちらにお越しください。…あのジジイ私の仕事を増やすな。自分でやれよ」

 え、めっちゃ悪口言ってるよ…。

「ん?何か言ったかの?」

「いえ、何でも御座いません。…地獄耳ジジイが仕事しろよ」

 うわー。より、不機嫌になったよ。

「では、此方です。付いてきてください」


 ヴァーミリオン()()に付いていき、謁見の間から出て少し大きな部屋へと案内された。

「すみません。此方が呼び出したにも関わらず、対応が遅れてしまい申し訳ありません。」

「いや、大丈夫だ。」

「ふふ。あら、そうですか?それにしても、本当に久し振りですね」

 話している途中にいきなり声の質が変わった。


「ん?」

「まだ、気付きませんか?やはり、転生して怠けたのでは?」

 このルナの様に刺々した物言いは…

「私の大切な、大切な妹を奪ったゴミクズ風情が、私を忘れたのかしら?」

 こ、これは、間違いない。

「ま、まさか。ヴァーミリオン・スカーレットなのか?」

「そうよ?分からなかったかしら?」

 こいつは、氷の女神であるルナの姉・炎の女神ヴァーミリオン・スカーレットだ。昔から「私から妹を奪った」と事あるごとに言ってくるが、俺に正面から突っ掛かってくる者は殆ど居ないのでとても新鮮だったからよく覚えている。


「いや、何で天界に居ないんだよ!」

「本当に耄碌したようね。よくご覧なさい」

 目に魔力を込めて見ると作り物の人形であることに気づいた。

 天界から遠距離操作をしているのか。にしても、高性能な人形だな。ゼウスが創ったのか?


「で、なんでこんなところに居るんだ?」

「仕事よ!唯一神のお目付け役として私が選ばれたのよ!」

「はぁー、お前と話すと疲れるんだよな。俺は世界神だぞ?少しは敬ったらどうだ?」

「はあー?愛しの妹を奪っておいて何言ってるのかしら?それと、お前って呼ばないでよね!」

 め、めんどくせぇー!少しルナに似てるがここまでしつこくない。こいつはツンデレのツンしか無い。デレが無いだけで、ここまでウザく感じるんだな。


 その時、勢いよく扉が開き先程の老人が入ってきた。

「すまぬの~!待たせたのじゃ!ん?何の話をしておったんじゃ?」

「何でもありませんよ?さ、本題に入りましょう…糞爺、タイミングが悪りぃんだよ」

 ヴァーミリオンは、この唯一神にいつも悪口言ってるのか?


「それもそうじゃの。話というのは、貴方の種族に関することじゃ」

「俺の正体を知っているのか?」

「うむ、そちらも知っておるが、唯一神に関してのことじゃ」

「ほう。そっちの事だとは思わなかったな。世界神のことで何かと聞いてくるかと思ったのだが」

 俺の予想とは少し違かったようだ。


「その様な危ない橋は渡らぬよ。で、唯一神に関することじゃが、お主には唯一神として権力は一切与えられない。」

「ああ、いいぞ。」

「ぬ?そんだけかの?」

 ああ、そんだけのことに緊張していたのか。まぁ、世界神の機嫌を崩さぬ様にと思っての話だったのだろう。権力を欲しがる奴が多いからな。


「何だ?何か期待してたのか?生憎だが俺は昔から此方には顔を出さなかったから唯一神がどんな存在なのかも知らないし興味もない。寧ろその権力とかで、面倒が増えそうだから無い方がありがたい。」

「カッカッカッ!流石ですな!」 


「だから、話す必要もないと言ったでは無いですか。」

「儂の心配は杞憂に終わったようじゃの。ヴァーミリオンの言った通りのお方じゃったな。お主の妹が惚れるのも頷けるの」

 うわ、この爺さん盛大に爆弾を踏み抜いたよ。


「はぁ?この糞爺ぃ!脳に虫が湧いてんのか!?燃やすぞ!」

 最早、ヴァーミリオンは取り繕わずに悪口を言いながら“緑の焔”が吹き荒れた。

「カッカッカッ!青春だの!」

 この爺さんは爺さんで全然聞いていないな。


「おっと、自己紹介を忘れていたな。儂はダグラス・F(フル)・クラークだ。」

「俺はウルス・ド…唯のウルスだ。宜しく」

「そうか、ウルス殿よろしくじゃ!」

「ああ。」

「暫くの間、何かと不便だと思い、ウルス殿を預かってくれる者を呼んだんだが会うかの?」

「それもそうだな。こいつらの面倒もあるしな。」

 先程から緊張で何も喋らず棒立ちで固まってる三人を見ながら言った。


 ユヅキはまだしも、この子達三人を一緒に"古き迷宮"に連れていくのは、実力的にまだ不安だからな。

「それなら丁度よい。近接戦闘に関して奴より強い者を儂は知らん。それに、第一使徒でもあるからな。」


 第一使徒?

<今現在10人いる世界神(ゼウス)の使徒のトップに座す者です。世界神の使徒は、他の使徒とは違って普通では倒せない邪神や悪神、魔神族といった者達を倒すことを目的とする者達です。中には冒険者や王族、歌姫何かも居るようですが、唯一神や教会が能力で選ぶ英雄的な存在の事です。>

 なるほど、そのトップとなればかなり強いだろうな。この体での戦闘は少し不安が残るから一通り教えを乞うのが賢明だな。


「ぜひ、会わせてくれ」

「分かったのじゃ。儂は席をはずすが、暫くすればここに来るだろう。のんびりしておくのじゃ。」

「ああ、色々とありがとう。世話になった。」

「気にするでない。では、達者での。」

「では、私も失礼します。…次はルナを連れてこいよ。」

 やっぱり、素直じゃないな。


「三人とも少しは緊張が解けたか?」

 俺が固まってる三人に聞くとピクッと反応した。


「申し訳ありません。ご主人様」

「すみません、ウルス様。」

「僕も緊張で何も出来なかった。」

 まぁ、仕方がないな。神力が溢れて常人では、堪えきれないだろうしな。


バンッ!

 話をしていると再び扉が開いた。扉から黒い軍服を着ている黒髪長髪の美女は、布で覆われた大きな十字架の様なものを背負って入ってきた。



ーーーーーーーーーー

名前:太陽刀・滅火

レア度:創世

分類:刀

能力:所有者固定、炎熱・魔力無限吸収、炎熱・魔力無限蓄積、炎熱・魔力放出、不壊、全種族特攻

称号:太陽斬り、神殺し、魔物殺し

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

名前:宵闇(ヨイヤミ)

レア度:創世

分類:刀

能力:所有者固定、不壊、形態変化:第一形態

称号:陰月の神刀

ーーーーーーーーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ