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昼は冒険者/真夜中は暗殺者  作者: きっと小春
剣と魔法の時代
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フィルとファル

冒険者の街フィレオの北門から出ると、直ぐに結界の覆われた巨大カルデラとアーチ型の石橋が目に入る。


すこし詳しく説明すると、巨大カルデラは、狭い箇所でも直径87kmある。


アーチ型の石橋が接続される砦は、カルデラの内側の斜面に合わせて、幅5km、奥行き3km、高さ300mの1ブロックが5つズレながら重なっている。


また1ブロックの内部は第十層に分けられているため、砦は全五十層となる。


アーチ型の石橋は、砦への待ち合わせ場所としても使われているため、早朝のこの時間は非常に人が多い。


既に、ドワーフ、人間、エルフという珍しい組み合わせの三人組は着ていた。


「フィルさん、モドーラさん、ヴァルレルさん、おはようございます。お待たせさせてしまったようですね…。すいませんでした」


「気にすることはない。それよりも、昨晩は寝れたかの?」


「はい、ぐっすりとは、いきませんでしたが…」


ホモンクルスには睡眠など必要ない。ここは初心者としてのセオリー通りということにする。


「まぁ、初めてなら仕方ないね。いいかい? 砦に入ったら、私たちより、前に出るんじゃないよ」


真剣な顔でフィルは注意してきた。


「はい。怖くて、前になんて出れませんよ」


「はは、そうだね。よし、出発しようか」


ヴァルレルは俺の腕を掴むと、先に進み出そうとするが、何かを見つけて歩みを止めた。


ヴァルレルの視線の先には、若い冒険者パーティが楽しそうに入り口を目指している。


パーティーの構成は、男3と女1で、こちらと同じだった。


「ヴァルレルさん、お知り合いですか?」


「あぁ、フィルの妹、ファルを砦内に置き去りにしてきた連中だよ」


「あのクソガキども、捜索依頼も出さずに、もう新しいメンバーを加えてやがる」


モドーラさんが、怒りのあまり、そのパーティーに近づく。それを制したのはフィルであった。


「ヴァルレル、モドーラ。ありがとう。ファルは、まだ砦内のどこかで必死に頑張っているさ」


うん? ファル? スワン=ファルのことか?


俺が首の骨を折って、砦の外壁から突き落としたファルのことかな?


ファルの暗殺が、どのように依頼されたかなど知らない。


だが、ただの初級冒険者に暗殺依頼を出すなんて、ちょっと不思議だなとは思っていた。


なるほど、なんとなくだが、理解できた。

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