ライナスの家
ライナスとレグナルの住む家は、ライナスの実家だった。去年両親を亡くしたライナスの元に、レグナルが転げ込んだとのこと。私とシリスは二階の部屋を割り当てられた。シリスと同じ部屋だけど、そっちの方が安心する。
ベッドが2つ。タンスが2つ。化粧台に、ウォークインクローゼットまであった。
「意外と、ライナスの家って大きいね。お金持ちだったの?」
「兄弟が多かったからな。今は、別の街に全員行っちまったけどな」
荷物を置いた私は、一階の部屋を案内される。
「な、何よ…これ…。台所がカオス状態だ」
「あぁ…。洗い物とか…、苦手でな…」
私って…。もしかして…。このために連れてこられたの? と真剣に悩む。
「おい、レグナル。酒買いに行こうぜ! 案内しろ!!」とシリスは大はしゃぎだ。
ライナスは外で薪割り、私は…台所の掃除と食器洗い…。
ライナスは、人間の28歳だ。まぁ性格も顔も真面目。レグナルは、エルフの年齢不詳。性格は明るく、ああ見えても細かいとこまで気にかけてくれる。顔はどうなんだろう? 人間の感覚では神秘的な顔としか言えない。シリスはドワーフの女の子。こちらも年齢不詳。絶対に言わないらしい。見た目は私と同じ背丈だが、妖艶なボディーラインで男の子じゃなくてよかったなと、レグナルにからかわれるが、何がよかったのか?よくわからない…。
2時間。それは台所を片付けるに使った時間だ。はぁ。疲れた〜。
「おお! がんばったな。エミリア。ご褒美に風呂を用意しよう」ライナスは満足そうに言った。
「えっ!? この家、お風呂があるの?」
「あぁ。だが、水汲みを手伝ってくれ」
「勿論!」
もう…何十回と、お風呂に水を入れたのだろうか…。これって筋トレじゃないっ!!
でも、湧いた湯船に、ゆっくりと体を沈めると…。あぁ…と声が漏れるほど気持ちいい。
左手には、3つの指輪が、人差し指、中指、小指についている。冒険者になるなら、持っていきなさいと、最後にお父さんから渡された指輪だ。
家族が今何処で何をしているのか…。まったく知らない。多分、もう会うこともないのだろう。
「エミリア!! お風呂に入ってるんだって!?」
ガチャリとシリスが入ってきた。
「ふ〜ん。私も後で入ろうかな」
「でも、お水くみ大変だよ?」
「もう入ってるなじゃない??」
「えっ!? だ、駄目だよ…これ…汚いから」




