本日は赤字
この先の大広間は、第三層に行くためには必ず通る道なのです。
「ちょっと、別の通路で待機していようか、ここで待つのは危険な気がする」
MTの騎士ライナスが一時撤退を提案すると、同じくとレグナルも賛成した。
「この先の十字路を左だ。そして突き当たった場所でレッサーゴブリンでも狩ろうぜ」
「まったく、貴族が羨ましいわ」」と元貴族のSTの両手剣の剣士シリスが項垂れる。
十字路を曲がり、しばらく1分ほど歩いた時、後方から怒号と銃声が聞こえた。
”どけっ!! 道を開けろ!!”
バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!
「ふぅ…。こっちには来ないだろう。あそこで待っていたら巻き添え喰らってたかもな」
MTの騎士ライナスが、ため息を吐きながらも安堵する。
「どうするの? ライナス。大広間に戻る?」
「いや、この先でレッサーゴブリンを倒して帰ろう。なるべくゆっくりとな」
一匹のレッサーゴブリンを相手に、立ち位置や攻撃のタイミングを全員で確認する。砦を攻略するはずが、いつの間にか練習の日になっていた。13匹を倒した後、今日は帰って酒が飲みたいと、シリスが騒ぎ出す。
「消耗品は、ランプの油ぐらいか。でも食事代と宿代で赤字だね」と私が呟く。
「だからさ、一緒に住もうぜ? っと誘ってるのに…」
「いやいや、性欲の塊のレグナルとじゃ、エミリアも処女を守りきれないって怖がってるんだよ」
ケラケラと笑うシリス。もうっ! 処女は内緒だったのに…。
「おい、13歳の子になんて、手を出すわけ無いだろっ!! 宿屋の方が危ないってんだ」
珍しくレグナルが慌てる。本気で心配してくれてるんだな…。
「シリス、エミリア。本気で考えてくれ。宿代を浮かせれば、装備に金をかけれるし、食事代もやすくなる」真面目なライナスが言うんだから…少しは考えないと駄目だよね。
「う〜ん…。絶対に、変なことしないなら…」とOKを出す。
「そうだね…。エミリアの処女を守れるのは、このシリス姉さんだけだからね」
「まだ外は明るい。今日中に引っ越しが完了すれば、明日の宿代は不要になるな」
「あぁ、とっとと帰ろうぜ」
ライナスとレグナルは、狩りよりも引っ越しのほうが重要だと思ってるらしく、地上へ帰還することになった。
「あの。私の荷物って、大リュック一つだから、宿によってもらえば、そのまま引っ越し完了です」
「女っ気がねぇな…。もっとタンス2つ分あるとか…言って欲しかったぜ」




