冒険者というもの
建物に入る前に、表ギルド・個人用ランクプレートを鎧の腰部分に隠してあるアイテムボックスから出す。ちなみにランクの詳細は、”傭兵:銅、狩人:銅、冒険者;銅、兵士:銅”であり、ランク的には完全な初心者だ。
クエストボードに張り出された依頼は、ほぼ冒険者専用地区・砦の上層部の依頼ばかりだった。
初級で受けられる内容は、アイテム収集または魔物の指定部位収集が大部分を占めていた。
「お前さん、初心者か?」振り返るが、そこに人影はない。
「下じゃ」目線を下げるとドワーフがいた。
冒険者の街フィレオでは、冒険者同士、後輩の指導を率先して務めることをよしとする文化が築かれていた。ランク的には、まったくの初心者である俺を受け入れてくれた。
ギルド内の打ち合わせコーナーで、ドワーフ、人間、エルフと、面接を受ける。
「なるほど、荷物を商業都市オハロから運んできたと…。しかし道中、盗賊や魔物に合わんかったのか?」訝しげな表情で質問をする。
「はい…。強そうな冒険者の後を歩きました」
「あなたね、それ便乗旅行じゃない。見つかったら、殺されても文句は言えないわよ?」
便乗旅行とは、強い冒険者の後を追って、安全を無料で確保しながら旅することである。
「すいません、お金も時間もなかったので…」
「まぁ、その若さで、よう見つからんかったの」
「それで、来た記念にクエストボードを眺めていたということかい?」
初めてエルフが話すところを見た。人形のように完璧な容姿だった。
「はい」
「で、どうする? わしらの支援を受けるかの?」
「はい、ご迷惑でなければ、少しでも経験を積みたいと考えています」
「よし、わかった。それで今日の宿は決まっておるか?」
「はい、前払いで明日まで泊まれます」
「そうかい、それは残念だったね。このエロいお姉さんが夜の相手を…」
「馬鹿かい? 子供に何を言ってるんだいっ!!」
明日の待ち合わせ時間を決めると、エルフのヴァルレルは準備の買い出しに付き合うという。
「短剣なら、キンダスと同じだね…要領はわかってるさ」
キンダスという名を出すと、人間のフィルも、ドワーフのモドーラも黙ってしまった。
「さぁ、行こう、時間がもったいない」エルフのヴァルレルは俺の肩を叩いた。
聞かずともわかる。恐らくキンダスは死んだのだろう。
冒険者たちの死亡率は高く初級でも上級でも変わらない。
理由は、常に自分の限界を超えたる冒険を望んでいるからだ。
書き留めておいたストックは、ここまでとなります。
後はじっくり、ゆっくりと書かさて頂きます。