蛮族滅亡
城塞都市アバスタンの遥か東、砂丘と砂塵を上手く利用して、敵、蛮族の本拠地エヴァーレータまで数百メートルの位置にいる。
ホヴァイザ傭兵団のホヴァイザを殺した後、すぐにルームーンのレギを暗殺しろとか、サシエスの無茶振りは続いたのだ。しかし混乱する傭兵団を一つにまとめ上げてしまった手腕と存在感は本物だった。
そして…なぜか? 蛮族への最終決戦へと運命のタクトは振り下ろされた。
勿論、俺は意識をエリアに返したため、今、ここで槍を持つのはエリア自身だ。
あっと…意識を渡す前の出来事を簡単に説明いしておく。結論から言うと、バスタは廃人となっていた。跡取り問題に巻き込まれ、腹違いの兄に薬漬けにされてしまっていたのだ。
バスタと同時期に捕まり、拷問を受けていた最年長者であり騎士であるリックス、両手剣の剣士であるパニーラの説明によると、バスタの使用した薬には、強い快楽と幻惑を引き起こす成分と、脳を溶かす成分が大量に含まれており、薬を断ったとしても元には戻らないらしい。
その腹違いの兄も裏路地で死体となって発見されたのだ。また貴族院から派遣された傭兵団に紛れ込んだ調査員というのもバスタ関連だった。
金色の鎧を纏った黒髪の少女サシエスは、なぜ蛮族没滅を急ぐのか? フェレクターが言うには、自身の冒険のためだということ。
私財と日数をかけて調整した冒険者の街フィレオでの砦の攻略が、国からの緊急要請のために中止となったのだ。しかし砦の攻略がそれほどまでに大事なのか? まぁ、俺にはわからない理由があるのだろう。
「敵の本拠地は、大岩をくり抜いて作られた四層の要塞だ。下二階層が蛮族の戦士たちに利用されている。そこを突破できれば俺達の勝ちだ。上二階層はガキや女だけだ」
作戦会議に出ていたホヴァイザやレギの代理とも言える男が、傭兵たちに説明した。
「で? 作戦は?」傭兵たちの集団から声が上がると、代理の男は「今すぐ、突撃、正面突破だ」と答えた。
真夜中、砂塵によって視界ゼロの中、蛮族の拠点への突撃が始まった。
岩をくり抜いたと言っていたな。使える魔法は、腕を増やす”幻腕”と腕技アップする”烈腕”の2つだ。
「中に入れば、槍や両手剣は不利になる。俺の後ろに回れ」と騎士リックスがMTを買って出てくれる。現在、騎士リックスと両手剣の剣士であるパニーラが味方である。なんでも救出してくれたお礼だという。
不意を疲れた蛮族たちは、満足に武器も持たないまま戦う情況だ。流れ込む傭兵団に為す術もなく蹂躙される。私たちは冒険者のセオリー通りに、MTの騎士リックスの左右から、槍と両手剣で攻撃を繰り出し、安定した戦いを重視していた。
とかげの突撃もなければ、武器もない状態では、流石の蛮族も怖くない。第二層までも突破され、上層である女子供を容赦なく蹂躙しているところだ。
最強と言われた蛮族の王族達も討伐されたと報告が上がる。その王族討伐隊に参戦していたフェレクターからは、”蛮族が持っているとされる魔法の書”を手に入れることに成功したと連絡があった。
正直、なんのために傭兵となったかわからない情況だが、エリアを取り戻すには何十年とかかると思っていたのに、早くも目的が達成されたのだ。喜ぶべきであろう。
しかしエリアを戦いの中に巻き込んでしまったのだ。これから先、エリアはどうするのだろうか?
傭兵の生活の一部だった蛮族との戦い。サシエスにより蛮族が一晩にて壊滅してしまいましたね。真面目に働け傭兵共。
さて、エリアは、何をするのか? バレード様からの新しい命令があるのか?
まったく不明です。




