殺意だらけの陣営
「そうか…。それで? 何か用か?」
サシエスは…俺の目をジッと見つめ…ニコリと笑って言った。
「えぇ…。暗殺の依頼よ」
「おいおい…冒険者のトップランカーさんが、暗殺とか…。俺が誰かに話さないとでも…なぜ思う?」
「ふっ。私は、クラリスお姉様をよく知っていますし、お姉様の主であるバレードさんにもお話は通してありますよ。根回しするのは基本でしょ?」
「そうか…。で? 対象者は?」
サシエスは小さな紙を、ゆっくりとテーブルに置いた。
”ホヴァイザ”
「理由は?」
「詳しくは、バレードさんに聞いて」
「報酬は?」
「バレードさんに渡してあるわ。それじゃ…またね」
去るサシエスに繋がる感情線を見ると、友好的な線が一つもない。トップランカーも辛いな…。
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それから数時間、天幕を出入りする者を観察していたが、何も成果が上がらない。
そうだ…。蛮族との戦いの時、突撃に加わらなかった人物にターゲットを絞るか。
思い出す限り名簿を作る。名前がわからない人物は特徴を記入して…。
待てよ、そもそも…戦いにすら、参加していない可能性もあるよな?
そのとき、黒い殺意を示す感情線を持った人物が現れた…。
名簿にもない…。戦いに参加していないっ!
殺意を向けられた人物は? バスタの腹違いの兄だ。そう言えばバスタも…戦いに参加していなかったな…。
う〜ん。なにやら面倒なことになってるようだけど…。
あれ? 全く姿を見ていないけど、バスタは何処にいるんだ?
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傭兵団のエリアを感情線が見える状態で歩く。それなりの地位にいる人物は、数名から殺意を向けられれていることに気が付いた。完全に信頼されている人物などいないのだ。
ふむふむ…。やはり目立つって、それなりのリスクがあるんだな。
おっと、忘れていた。サシエスの件をバレードさんに確認しに行かなければ。




