彼女が誰だとしても
アイスピックのような物、それは魔道具なんだろうけど、一体何に使うかは不明だ。
「なるほど、このような結果になるか。今日はもう良い。次回までに裏の仕事に励むが良い」
興味を失くした女性は邪魔だと言わんばかりに、採取した血液などの調査に入る。
俺はお辞儀をして退室した。折角綺麗だった灰色のローブに穴が開き血が滲んでいる。
彼女は俺と契約した女性だ。ノクターンと名乗られたことはない。またノクターンとしての顔しか知らない。恐らく彼女がウィリー家のクラリス女男爵なのだろう。
だが彼女が誰であっても関係ない。
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住んでいた村が盗賊に襲われた。理由は知らない。俺はたまたま狩りに出ていたため難を逃れていた。
村人全員が蹂躙されたと思っていた。だが娘達だけは連れ去られたと、墓を掘っていて気が付く。
幼馴染のエリアを救い出す。それだけだ。必死に走り続けて盗賊たちに追いついた。
丁度、人身売買が行われている現場だった。バラバラに連れ去られる中、俺はエリアだけを追う。
そして今日行った地下室で彼女と出会う。それは余興だった。俺が尾行していることなど始めからわかっていたのだ。
「正式に買った娘をどのようにしようとも問題はない」
「何が正式だっ!! 俺の村から連れ出したんじゃないかっ!」
「ふむ。それは連れ去った奴らの問題。私は買っただけだ」
完全に遊ばれているのがわかった。だが暴力に訴えようにも、彼女の周囲には屈強な戦士が並んでいる。
「俺と、エリアを交換しろっ!!」
「何を言うかと思えば…。お前のような男と女が同じ対価だと? 笑わせるな」
「デファーニア、そのガキを捕まえておけ」
屈強な戦士の中でも、一際大きい女性の戦士が俺をがっしりと捕まえる。
猿ぐつわをされているエリアは俺の心配をしてくれているが…すまない…助けられそうにもない…。
女性は魔道具を使いエリアを巨大な水玉の中に閉じ込める。エリアは水の中央で浮いていた。
「ふふふ。安心しろ。この水玉の中では、水が空気の役割を果たす。溺れ死ぬことはない」
女性は別の魔道具である筒状の物を手に取る。手にした途端、甲高い金属音がして筒状の長さ以上の剣身だ飛び出した。
隣に黙って立っていた老人が水玉の中に手を突っ込み、エリアの衣服を剥ぎ取る。
女性は俺を一瞥すると、エリアの四肢を細かく刻み始めた…。そして内蔵を一つ一つ丁寧に取り出し、顔も格部位ごとに切り刻んだのだ…。
「わぁぁぁぁぁっ!! やめろっっ!!」切り刻まれた後に、やっと声が…叫ぶことができた。




