別れと旅立ち
隠し部屋を偶然発見したことにより、リ・ポップ・カーニヴァルを回避できた言い分けがつく。
しかし初級冒険者の俺が、初回で地図も持たずに第一層の迷路を突破できるなんてありえない。
あと一日だけ待って、救助隊と合流できなければ、顔などを偽装して、別人として表ギルドに再登録するしか無いだろう。運が良いことに全ランクは最低の”銅”だ。
半日ほど救助隊を待っていると、本当に来た。しかもドワーフのモドーラと人間のフィルも同行していたのだ。
「モドーラ、フィルっ!!!」
三人で奇跡の再会を喜んだ。その姿は別の冒険者たちの涙を誘ったのだ。
冒険者ギルドへ戻ると、隠し部屋の報告や支援時の報告など済ませて、三人で今後の打ち合わせをする。ちなみにランクアップはなしだ。
「小僧には、悪いと思っておるのじゃが、パーティーを解散しようと思っておる。ヴァルレルが行方知れずで、フィルの妹フォルも…リ・ポップ・カーニヴァルを切り抜けられんじゃろう」
つまりは二人にとって、これ以上、砦の冒険の意味がないということだ。
「はい。わかりました。一日だけでしたが、十分経験になりました」
通常、初級冒険者は支援など、なかなか受けられない。”一度組んだら死ぬまで逃がすな”と揶揄されるぐらいに、パーティーの解散というのは難しいのだ。
拍子抜けする二人に別れの挨拶をして、冒険者ギルドを出た。その足で闇市に向かう。
闇市で、オール・グランとの連絡用に伝書鳩をレンタルする。
配達先にノクターンを指定し、”商業都市オハロに帰る”と書いた紙を鳩の脚に付いている小さな筒
に入れ代価を支払う。
次は、魔法の触媒屋に入る。
「お兄さん、帰らなかったのかい?」
「はい、偶然に支援パーティーに入れたので、砦に行ってきました」
「ほう? どうだった?」
「正直、厳しいですね。まだまだ経験が足りません」
転符と月見草と呪糸を買った。まったく余計な出費だ。
もうすぐ夕方だが、関係なく冒険者の街フィレオの門を通り過ぎる。
「おい、夜になると門しまっちまうけど?」守衛が親切に教えてくれた。
「はい。大丈夫です。このままリゼンを目指します」
守衛に軽く笑顔でお辞儀する。
「おう、気を付けて行けよ。夜は安全な場所で野営しろ。無茶だけはするなよ…」
まるで母親のようだ。少し笑う。ホモンクルスでも少し感情を持たせないと、上手く肉体が扱えないことがわかっていた。




