始まりの鍵と終焉の扉
【迷宮の悪魔】が守護する【黄金の城】に、最上級の悪魔である【虐殺の悪魔】がいた。
「まったく…どいつもこいつも…好き勝手にしてくれる…」
「またですか? もう諦めてください」
呪詛で強化された鎖で玉座に縛り付けられた【迷宮の悪魔】は、うんざりした顔で、苛立つ【虐殺の悪魔】に話しかける。
彼の目的は唯一つ。神々と悪魔の全面対決だ。エミリアが混沌の悪魔として生まれ変わり、悪魔側の駒は全て揃った。しかし、女神側で言うと、天秤の女神リーブラ、夜の女王ノクターンが存在を消失している。
「諦めるものか…。絶対にな…」
「では、今度は、どうするのですか? 時間を巻き戻す? 女神の魂を植え付ける? 人間どもを虐殺して…魂を方舟から溢れさせ…強制的に女神を創り出すのですか?」
【迷宮の悪魔】の言う通り、人間が大量に死ぬ時、神々か悪魔が生まれる。ならば、神々や悪魔が、全て死んだときこそ…我らが主である…【始まりの何か】が生まれるのではないかと【虐殺の悪魔】は考える。
それが正解かどうかは理解らない。だが、死んでしまえば…【始まりの何か】が生まれたか知るすべはない。なので彼の目的は、神々と悪魔の全面対決なのだ。
残念なことに。【始まりの何か】が残した僅かな残滓…世界を繋げる神々や悪魔を超える【何か】で作られて【糸】…それは、時空の中心であり、因果の中心であり、【始まりの何か】へアクセス可能な【鍵】へ繋がっている。その先にあるのは、たった一人の人間なのだ。
「ならば、時間を巻き戻す」
巨大なカルデラ…その溶岩地帯中央の浮島に静かに佇む、冒険者が目指す黄金の城。その正体は、【迷宮の悪魔】をコアとした巨大な魔道具だ。
時間を巻き戻すに必要なエネルギーは、【迷宮の悪魔】だけでは補えない。ならば、全人類の魂を糧として発動させる。人類が滅亡しようとも、どうせ過去に戻るのだ。何の問題もないだろう。
そのように【虐殺の悪魔】は考えていた。だが、『人間が大量に死ぬ時、神々か悪魔が生まれる』と自身の発言に注意すれば答えは見えてくるはずなのだが…。
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俺は嫌な予感がしていた。狩りに行く予定を取りやめ、幼馴染のエリアをデートに誘う。本当は来週あたりに、プロポーズするつもりだったが、別段、今日でも構わないだろう。10歳を超えれば誰でも結婚できる、この村では、兎に角、早い者勝ちであるのだ。
エリアも雰囲気を読んでくれたのか、突然の誘いにも嫌な顔ひとつせずに応じてくれた。村を見下ろせる丘の上に近づくと、突然走り出すエリア。無邪気なエリアを捕まえようと…だが、丘に着いたらプロポーズするつもりなのだが…。あれだけ練習したセリフが…全て吹き飛んでいた。
丘の上で村を見下ろすエリアを後ろから抱きしめると、何故か震えていた。まさかプロポーズされるからって、ここまで緊張するのか?
「ねぇ…。村が襲われているの…。あちこちから火が…。何もかも燃えているわ」
エリアに言われて、黒煙が上がる村が、やっと視界に入った。
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何度も繰り返す世界で、神々でも悪魔でもない。もう一つの人外の化物が生まれる。全てを超越したそれは、どの世界でも、どの時代でも、どの場所でも、金色の鎧を纏った黒髪の少女サシエスは、存在しうるのだ。
「ここに【鍵】がある!! 全てを滅ぼすのだ!!」
数多のホモンクルスを従えたサシエスの怒号は村中に響き渡る。そんなサシエスは、何かを感じ取ったように、村を見下ろす丘を睨んだ。
突然の最終回です。
エミリアが、オーゼスフェスタ派またはギュレン派を滅ぼし…。
【俺】を新たな国へ放ち、新章がスタートする予定でしたが、
エンドレスループなので…ここでお終いにします。
第一話から数話までの…あくまで雰囲気だけを書きたくて、
書き始めた小説でしたが、だらだらと続いてしまいました。
ここまで、何じゃこりゃ? な小説を読んで頂きありがとうございました。




