契約
両手剣の剣士デファーニア、盾と剣の騎士チェバリコ、二刀流の短剣使ライゼーナ、 魔法使いウィルボー、犬亜人のマータン&兎亜人のキバスのゾンビコンビ、そして白髪の老人オール・グランが悪魔を取り囲む。
「コノナカデ、ウゴケルトハ…。ミドコロガアルナ」
まるで時が止まったかのような異質な空間。優れた暗殺技術や魔術を持った七灑守護者とはいえ、指輪をもたずに、何故に動けるのだろうか?
「待ちなさい。今は、この悪魔との交渉中です」
七灑守護者に状況を説明した後、いつくか悪魔に質問をする。
「悪魔は嘘をつかぬが、隠し事をする。気を付けてください」
魔法使いウィルボーがアドバイスするが、実際のところ…全てを確認するなど無理な話だ。今まで繰り返された悪魔との契約とそれがもたらす結果など、いつの時代でも悲劇でしかない。完全にこちらが有利にすすめていようがいまいが、結局は悪魔に勝てることはない。
「カンチガイスルナ、コウショウナドシナイ」
何とも簡単な話だ。交渉はなし。この場で決断。チャンスは一度のみ。悪魔にならなければ、他の…悪魔に近い行為をする者…裏ギルドから…悪魔が生まれ…ノクターンは消されるのだろう。
「あなたの言う通りにするわ。で? どうするの?」
そこに浮かび上がる影は…恐らく笑った。そして…。
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目を覚ますと、エルダリスがいた。ここはベッドの上。背を向けて寝るエルダリスに抱きつく。体温が心地よい。何か恐ろしい夢を見ていた気がするが…。
すると、エルダリスの首が180度回転する。エルダリスの顔ではない。
「エミリアサマ、アナタガ…ヌシデアル、ノクターン…ヨルノジョオウガ…」
エルダリスの顔が羊の悪魔から、美しい女性の顔に変わる…。
『忠実なる使徒、エミリアよ。悪魔如きが…、私の可愛い娘にちょっかいを出すなど…。こちらの世界も中々混乱しているのだ。政治的な意味でも、エミリアが悪魔に転身したことは評価に値する。しかし、我が使徒が…下級の悪魔などでは、笑い者だ。エミリアよ、お前は…限りなく神に近い…悪魔だ』
またエルダリスの顔が美しい女性の顔から、羊の悪魔に変わる…。
「エミリアサマ、サクバンノ…ゴブレイ…オユルシクダサイ…」
それだけ言い終わると、エルダリスの首が180度回転する。エルダリスは、静かな寝息を立てて、眠り続けていた。エミリアはギュッと抱きつく。そこである違いに気がつくのだ。エルダリスの甘い少女のような匂いが…より濃くなっている? 違う…。これは嗅覚で感じる匂いではない。人間の魂の匂いだ。目を閉じエルダリスの魂の匂いを楽しむ。あぁ…良い香り。
そしてエルダリスの憑依する悪魔に命令する。「邪魔だ」と…。
憑依していた悪魔は、一目散に逃げ出す。「あっ…」と小さな声を上げたエルダリスは、目を覚まし、まどろんだ表情で、こちらを見た。
「あなた…エミリアよね?」
その口を塞ぐように、エミリアは、舌を入れキスをした…。




