解体
エミリアは覚えたての古代魔術により、ヘンドリーの魂を掌握する。恐怖で頭がパニックしている間に、余裕で詠唱を完了できたのだった。
「そうね。大体のストーリは出来上がったわ」
誰も居ないはずの部屋の隅に向かって、私は話しかけた。そこには…この部屋で一部始終見ていた医師のマクドレーベさんがいた。少し残念そうに立ち上がると、「では今夜」と言い残し去って行った。医師よりも、こっちの世界のほうが天職なのでは? と思ったが、それは私に関係ない話だ。
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そのベッドの上では、完全な狂人の眼となったヘンドリーがシルディを犯していた。勿論、シルディには強力な興奮効果のあるドラッグを投入済みだ。まるで獣のような快楽の咆哮をあげるシルディの姿を、目覚めたばかりのオルベクトが凝視する。
「や、やめろっ!? このクソ野郎!! シルディから離れろっ!!!」
オルベクトは隣のベッドで両手両足を固定されていた。束縛する器具を壊そうと両手両足に力を込めるが、壊れる気配もない。そして…愛する女性を助けられずに絶叫する。
「み、みないでぇ…、お、お願い…」
オルベクトにはわかった。言葉とは裏腹に、あの声、あの表情は…、シルディは感じているのだと…。
「さぁ、解体の時間だよ?」
医師のマクドレーベがノコギリを片手に現れる。
今度は、シルディが絶叫する番であった。愛する男性が麻酔もなしにノコギリでバラバラにされるのを犯されながら見なければならないのだ。その場にいた男女四人は、死と絶望と恐怖に酔いしれるのであった。
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翌朝、何喰わぬ顔で学園に行くと、魔法剣術学を専攻するデックス呼び止められる。
「おい、エミリア…。オルベクト達の…。は、話を聞いたか?」
「うん? 何の話し? ま、まさか…二人が付き合い始めたとか? 昨日ね。病院で二人きりにさせてあげたの!! 私、愛の天使かも??」
明るく元気に話すエミリアを遮り、デックスは殺されたことを伝える。
「犯人は、防衛騎士学クラスのヘンドリーらしい…。あいつが…オルベクトとシルディを…ノコギリでバラバラにしやがった…」
「デックス…? 悪い冗談だよね?」
エミリアは、デックスと会話しながらも、依頼完了だなぁ…と考えていた。
その後、学園長立会のもと、簡単な聞き取り調査が行われた。しかし、元から犯人がわかっているため、あくまでも形式的なものだ。
そして、二ヶ月間の短期入学も終了した。エミリアとしては古代文字が読めるようになり、また人体実験まで出来たのだ。上出来だと思っている。また、半月後には、エルダリスとの結婚式もあるのだ。そろそろノクターンの仕事も片付けておかないと…。




