Cold War to the Beginning of War
IF戦記は2つ目です。
よろしくおねがいします。
サブタイトルの意味は「冷戦から戦争の始まり」です。
1985年11月3日 北海
「アップトリム一杯。潜望鏡深度!」
北海のとある地点、深度100mに潜む鉄鯨。
それはアメリカ軍所属SSN‐688、ロサンゼルスである。
なぜ北海にアメリカ軍の原子力潜水艦が航行しているのか。
それにはソ連軍の軍事行動が大きく関係している。1945年からながらく続いた、
冷戦…COLD WARが戦争…HOT WARに発展してしまったからだ。
ソ連軍は突如NATO加盟国の西ドイツに進攻。
西ドイツ首都のボン目前まで攻め込まれた。速すぎる進撃に、
NATO軍も撤退を開始している。
この艦の任務はソ連海軍の偵察かつ、ソ連艦艇の撃沈である。
「潜望鏡上げ!」
「潜望鏡上げ、ヨーソロー!」
独特な機械音とともに海面に潜望鏡が突き出る。
こうなったらあまり時間はかけられない。潜望鏡はレーダーに映るため、
発見される度合いが一気に跳ね上がる。見つかったら最後、大量の魚雷と
爆雷に攻撃されることだろう。
「方位56、カシン型駆逐艦、距離200ヤード」
「1、2番魚雷発射管にMk48魚雷、3番に囮魚雷を装填。急げ!」
何時間に感じられる数分が経った。
「装填完了!」
「1,2番アクティブソナー、目標カシン型。Fire!」
「1,2番アクティブ。Fire!」
「急速潜航。ダウントリム一杯、深度600」
SSN-688は誰にも確認されることなく海底に向かって潜っていった。
「艦長、本艦に向けて魚雷が急速接近中!方位56、距離150ヤードです!」
「取り舵いっぱい。機関最大だ!」
蒸気タービンがうなりを上げスピードが上昇する。約35ノットだ。
しかしスピードを上げても、70ノットのMk48には敵わない。
カシン型はこの高速とノイズメーカーで1本を回避したものの2本目は
回避できず命中し、静かに沈んでいった。
1985年11月7日 ボン周辺
東からソ連軍の機甲部隊が突撃をかけていていた。
戦車はT-80BVで構成されており、西ドイツのMBT、レオパルト1A2では
まったくといっていいほど歯が立たなかった。
T-80は第3世代MBTで125mm滑腔砲、複合装甲を装備している。
その一方、レオパルト1A2は第2世代で105㎜滑腔砲であり、
複合装甲を装備していない。
質で圧倒的に劣っておりかつ量も50対30と劣っている。
敗北も時間の問題であった。
「撃てー!」
「奴らに一泡吹かせてやる!」
レオパルトから発射された105㎜APFSDSはT-80の車体上部に命中するも
複合装甲で無効化されてしまう。
余談だがAPFSDSという弾種は基本的に跳弾しない。
では貫通できなかったときにはどうなるのか。
それは、弾が押しつぶされるのである。
「再装填急げ!」
「あと4秒です!」
「…装填完了!」
「次も車体を狙って撃て」
轟音とともにマッハ5の砲弾が放たれた。
今回は運よく複合装甲がなされていない車体下部に命中し、
砲塔下の弾薬に命中、誘爆した。
ソ連の戦車は大抵、砲塔下に弾薬があり誘爆すると、
砲塔がはじけ飛ぶという素敵設計になっている。
運よくT-80をやったレオパルトは他のT-80に攻撃され乗員4人全員をなぎ倒し、
肉片に変えてしまった。
戦いが終わったとき30両のレオパルトと12両のT-80が残骸として、
寂しそうに身を寄せ合っていた。
1985年11月12日 ワシントン・DC
アメリカの首都ではこの日、朝から混乱する市民が多くみられた。
今日の朝刊で西ドイツの首都ボンの陥落が報道されたからである。
見出しには「西ドイツ首都、ボン陥落!NATO軍はなにをしていた!?」
という、軍を非難する見出しが躍っていた。
そこが注目せれたせいで下の記事の「ソ連軍による一部市民への虐待と強姦」が
あまり注目されなかった。