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がんばるおっさんしりーず

がんばるおっさん

作者: やずやす

 まさか、この俺が小説のようにゲーム(のような)世界に行くことになるなんてなぁ。人生何があるかホント分からん。



 テンプレ的な「ゲームをしていたらいつの間にか」という流れではなくって、気が付いたらこうなってたって感じ。

 遠くが霞んでいてよく見えないが、草原っぽいところにいたので、思わず自分の頬っぺたつねっちゃったよ。おっさんなのになぁ。手の甲で良いのに、なぜに頬っぺたなのか。おっさんちょっと内心びくびくだったのかもしれない。


 雨とか降っていなくてまぁ、よかったよ。


 少し落ち着いたところで、木陰に移動して現在わかることを確認する。名前、年齢、住所。ちゃんと言える。うん。大丈夫。

 着ているものが、生成りのシャツに革鎧という時点で既に怪しいが。



 剣っぽいのは持っていないけれど、ナイフがあった。カッコイイというよりかは実用的な無骨なやつ。あとは近くに棒?っぽいのが転がってた。いわゆるスタッフか?まぁ、杖替わりでもいいし、長物の武器っぽいのはあってもいいしな。ナイフで立ち回りとか無理だろ。


 あとは背嚢も転がってた。中には着替えと思しきシャツとかズボン。ゴワゴワした布とか。皿とかコップっぽいもの。年季のはいった木製でしたよ。小さな袋に貨幣か宝石かよくわからないものがいくつか。

 こういう持ち物であるべき、水筒や火口箱とかないのが不思議。ふむ。そういえば食べるものもない。しかし持ち物少ない。


 全く何も無しに放り出されるよりマシな状況である。と考えよう。



 現在位置も不明だしリスキーな気もするが、水とか食糧とかその辺を探さないとダメだろうと考えて、影の出ている方角に進むことにする。


 どのくらい歩いたかな。結構歩いたような気もするし、そうでないような気もするし。杖があって良かったなと思う程度には歩いたかも。

 おかげというか、少し風景が変わって、道っぽい草のない所と、何かどこかで見たようなオブジェがあって、そのオブジェの周りをうなりながらうろうろし、物忘れのひどくなった脳みそから頑張って引っ張りだした答えは、「あ、これ。あのゲームのやつか?」と。

 心当たりのあるそのゲームは数十年前に流行った海外製のRPGだった。

 あー。日本語翻訳は、されてなかったよなぁ(笑)



 ……会話はできるだろうけれど、不安しかない。うなだれるおっさん。


 自慢ではないが、英語は赤点ギリギリでかろうじて卒業、最近の大学生とかはそこそこ喋ることが出来るらしいけれど、俺は微妙。海外旅行もしたことないしな。

 何となくフィーリングではわかるけれど、最近は機械翻訳とか高性能だからなぁ。

 まぁ、伝わらなかったらボディーランゲージで頑張ろう。


 ゲーム時代はアレだ。日本人だけでつるんで、会話はすべてローマ字チャット。


 kyou wa doko ikokka?


 とかそんな感じで。



 クエストは、英語の出来る人から情報を又聞きしたり、webの情報を機械翻訳に通して、ざっくりした情報だけをチョイスしてたから。無論フレーバーテキストなんてわからんし、全体的にふわっとした感じで遊んでいたんだよ。基本は戦闘して強くなるただそれだけ。ま、そういう時代だったんだ。


 だんだん思いだしてきた。ゲームの世界なら廃人がチートするとかあるけれど!

 ゲームの世界に来るヤツは全員が全員廃人だと思うな!(泣笑


 テキトーに、流されて遊んでいる奴だっているんだ。俺の様に……。


 ちょっと記憶が怪しいけれど、そこそこ長く遊んでいたからレベルはある程度高いはずだけれど、おっさんがゲームをやめた後にどうなったか分からない、サービスは流石に終わっていたか?あれまだあったっけかな。自分の立ち位置がいまいちよくわからん。


 あ。おっさん魔法使いっぽい系の職業だったんだな。だから水筒も火口もないんだな。魔法でできるから。

 ……魔法のやり方を忘れました。アイコンなんて無いしなぁ(´・ω・`)


 ゴワゴワした布ってテント替わりなのかも。後で広げてみたい。



 そういえば、ここに来るまでに、人はおろか、モンスターにもエンカウントをしなかったがどういうことか。野生動物だったら、多分逃げちゃうんだろうな。気配とか感じて。


 さて。どうしたもんかなぁ。このオブジェは確か転移するときの出口に使うやつだったと思う。どこからでも転移は出来るけれど、出口は必ずこのオブジェがあるところにしか行けなかったんだよな。


 おっさんは魔法を使える(と思う)けれど、転移は出来ないのです。……あれ?出来たんだっけかな?

 どのみち、アイコンが無いのでわかりません。



 あ、アイコンじゃなくて呪文を唱えてみたらどうだろう。不発の時にこっぱすかしいが、やらない手はないか。えーと攻撃魔法とかあったんだっけ?

 まてまて。攻撃魔法じゃなくて、水を出したりとかそっちの方がいいだろ。喉乾いたし。

 なんて言えば良いのか。ゲームの時はアイコンポチ。だったからな。


 英語だから「ウォーターなんちゃらー」みたいな感じでいいのか?


 そういえば、異世界転移ものとか、なんで魔法が英語なんですかね?

 あと、冒険者というのが訳が分からない。何で冒険者。傭兵でいいじゃない。

 さらに、ランク制度。Fから始まってE、D、C、B、Aが上、その上はSとか。いやFとかAとか、その世界の文字だったと考えても良いけど、Sってなんだよ。って毎回思うんだよな。Sってスーパーだから?スーパーの語源は何だよ。

 ま、テンプレっちゃテンプレなんだろうけれど。


 あ、取り敢えず唱えてみよう。


「ウォーター」(ボソ)

 ……。


 なにこれ超恥ずかしい。あ。ただ「水」と言ってもダメか。えーと。えーと。


「クリエイトウォーター」(ボソ)

 ……。


「くぅるぃうぇいとうぉーたぁー」(ボソ)

 ……。


 変な汗が出てきた。おっさん、おうちに帰りたいです。




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