*。*:゜ ニニコ論文 「ダブルブル効果」 ゜:。*
私ことニニコ・スプリングチケットは、家具にこだわるほうだ。
私ってウッドスタイルの物が好きなのよ。
なるたけ木製のインテリアでそろえたいんだよね。
木が好きな理由は、傷が気にならないからだ。
金属やプラスチックの傷は、ただの損傷でしかない。
だが木の場合、凹んだりとかしてもあんま気にならない。
むしろ、それはそれで味わいが出てくる。
そういう劣化を楽しめるのも、ウッド製品の魅力だと思うのだ。
で、今日はこれを買ってきた。
踏み台だ。
うちの家の勝手口さー、床がすんごい高いんだよね。
高さが50センチくらいあんの。
だから、上がるのも下りるのも大変なのよ。
毎回毎回「どりゃ」とか言いながら、大股開きで出入りしてる。
なんで家に入るのにこんなアスレチックせにゃならんのだ。
だからステップになる台が欲しかったのよ。
これがあれば楽ちんで上れるぞ。
やったやった。
……とでも言うと思ったか?
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ ……せめぇよ。
ノノ 人С川 ꐦ w )
せまいんだよ……!
飛びこみ台じゃねえんだぞ!
まるで私の心を見ているようだ、ムカつく!
私、せまっくるしいの大キライ!
タテにしてもヨコにしてもダメ!
もう無理!
踏み外してコケるかもしれない!
こんなのヤダあ!
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ ヤダあああ!
ノノ 人С川 ꐦ w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● てなわけで。
ノノ 人С川 w )
というわけで、同じのもうひとつ買ってきた。
だいぶ広くなった。
これで申し分ないぞ。
……とでも言うと思ったか?
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ 次の打順、私?
ノノ 人С川 ꐦ w )
まだせまいんだよ!
せまいせまい!
いやだって考えてもみてよ!
これじゃ完全にひとり用じゃないの!
言い忘れたけど、私の家の勝手口はいろんな人が使うんだ。
業者さんの出入りも多い。
家政婦さんでしょ。
経理士さんでしょ。
ガス屋さんでしょ。
酒屋さんでしょ。
あと、ネコとかも出入りする。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ なのになのに!
ノノ 人С川 ꐦ w )
これじゃ1車線の道路とおなじだ。
対向できる幅がなきゃ、すれちがうこともできない!
アホほど幅のせまいエスカレーターとおなじだ。
キャリーバックをどう持てばいいのかもわからない!
こんなのヤダあ!
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ ヤダあああ!
ノノ 人С川 ꐦ w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● てなわけで。
ノノ 人С川 w )
というわけでもうひとつ買ってきた。
ぜんぶで3個になった。
めっさ広くなったぞ。
これでなんも不自由せずに家に入れるぞ。
チョー快適だ。
踊っちゃうぞ、ヘイヘイヘイ!
このくらいの面積がないとやってられない。
私ことニニコ・スプリングチケットは、せまいのが大キライだ。
起きて半畳、寝て1畳ということわざがある。
人間の生活スペースなんか、タタミが1枚あればいいって意味だ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ せまいっての。
ノノ 人С川 ꐦ w )
冗談じゃない、私そんなの絶対ムリ。
考えただけで圧死しそうになる。
もちろん広ければいいってもんじゃないけどさ。
ちょっと余裕があるくらいが、実用のうえで便利じゃないか。
ここで、今回の踏み台を振り返ってみよう。
まず1個。
そんで2個。
ほんで3個。
当たり前だけどさ、面積は3倍になったよね。
でもさでもさ、面積は3倍になってないのよ。
3倍以上になってんだコレが。
踏み台の面積を、マス目で考えてみようか。
マス目の数を、タテ8、ヨコ6だとする。
すなわち面積は48だが、はたして48すべてを活用できるだろうか。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ノーだ。
ノノ 人С川 w )
だって踏み台だぜ?
ギッリギリに立つことなんて出来ないもん。
そんな不安定で危ないこと、できるわけがない。
真ん中あたりに乗らないと、バランス崩して倒れてしまう。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ……とにかくだ。
ノノ 人С川 w )
わざわざデンジャーゾーンに乗りたがるやつもいないだろう。
少なくとも私は乗らないぞ。
つまり48のマスのうち、使えるのは真ん中の24マスだけだ。
なんということだ。
実質的に半分しか使えないんじゃないか。
そこでふたつ並べたときを考えてみよう。
するとどうだ。
合体して、8マス×12マスの踏み台になったぞ。
もちろん端っこは使えないわけだが、面積を数えてみよう。
面積は倍の96マスになって、安全地帯は60になったね。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ●
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 〇 〇 え、ちょい待て。
ノノ 人С川 w )
1個のときは安全ゾーンが24マスだったぞ。
それが2個になったとたん、60マスになった。
おいおいウソだろ。
安全ゾーンが、2.5倍になっとんぞ。
パーセンテージで計算してみよう。
1個のときは、48マスのうち安全地帯が24マス。
50%だ。
で2個並べたら、96マスのうち安全地帯が60マス。
62.5%が利用できるようになった。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ・・・・・・
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● そりゃそっか。
ノノ 人С川 w )
そりゃそうだろ。
くっつけたことで、本来使えなかった面積が使えるようになったし。
じゃあ3つ並べたときは?
全部で144マス、よって安全地帯は96マスだ。
1個のときは24マスだったのが、3個になって96。
踏み台が3倍になっただけで、実用面積は4倍にまで増えちまった。
なんてこったい、お前さん。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ 合体だッ!
ノノ 人С川 w )
これが私の提唱するダブルブル効果だ。
おなじものが合わさり、120%の性能を発揮することがある。
だったら合わせればいい。
結束バンドもそうだ。
1本で長さが足りなきゃ、どんどん足せばいいのだ。
ダブルブル効果。
これ、とんでもなく重要な理論だ。
人と人が助け合って生きるように、道具もおなじだ。
1足す1は、かならずしも2とは限らない。
1足す1が、3にも4にもなるかもしれないのだ。
イエス・キリストの奇跡に、「5つのパンと2匹の魚」の伝説がある。
キリストはわずかなパンと魚で、5000人を満腹にしたという。
1家族分の食事を、町中の食料に倍増させてしまった。
たしかにこんな現象は、救世主でもない限り不可能だろう。
だが、ささやかながら誰にでもできる能力拡大の術がある。
それがダブルブル効果だ。
ダブルにすること。
それだけで性能をトリプルにできたりするのだ。
そして踏み台にできることが、我ら人間にできないはずがない。
力を合わせることは、簡単でそして、すばらしい。
すばらしいことではないか。
さて、じゃあ次回は。
ダブルマイナス効果について語ることにしよう。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ●
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ●
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ マイナスだ……!
ノノ 人С川 ꐦ w )
世の中そんなにうまい話ばっかじゃねえぞ。
合体のプラス効果があるように、合体のマイナス効果もある。
1足す1が2になるとは限らない。
1足す1のはずが、合わせて1のままだったり。
いや、それならまだいい。
1足す1が、マイナス100になることもある。
おなじものが2個あるだけなのに、1個よりパワーダウン。
同じものが2つになったことによる「ダブルマイナス効果」。
真反対の現象について、次回はごらんいただこうじゃないか。
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――― ぶっちゃけ、
次回のがやりがいを感じる。
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ニニコ論文はじめての前後編だ。
今回は前編となるダブルブル効果、いかがだっただろうか。
後編では合体の闇について語ろうではないか。
次回もまた見てねー。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● 乞うご期待。
ノノ 人С川 w )