*。*:゜ ニニコ論文 「流れ星」 ゜:。*
私ことニニコ・スプリングチケットは夜空を見上げてみた。
なんと美しいのだ……
ネオンのような星々をながめていると、なんだか切なくなる。
広大な宇宙にポツンとひとりぼっち。
人間の、なんとちっぽけなことか。
人類が誕生したのは、500万年前だと聞いたことがある。
138億年の宇宙の歴史とは比べるべくもない。
神秘的……いや、そんな言葉では足りない。
我々の遠い先祖も、変わらぬ星空を見上げていたのだろうか。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ●
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● 流れ星さあ……
ノノ 人С川 w )
流れ星、これ前から気になってたんだが。
人類で最初に流れ星を見たやつは、どんな反応したんだろ?
■■■ ニニコ劇場 ■■■
■■■ 初めての流れ星 ■■■
ここにひとりの原始人がいる。
名前はターボくん。
( ゜ω゜) ← ターボくん
19歳、男。
村でいちばん狩りが上手い。
今日もウサギを2羽も捕まえた。
すっかり日も暮れたその帰り道。
見慣れた星空が、その日はちがった―――
なんと、星が流れた。
☆
☆ ☆
☆
☆ 彡
゜ ゜
( Д )
( ゜Д ゜) ……ウソだろ?
ターボくん、村にスッ飛んで帰りました。
そして星が落っこちた話を、みんなに訴えます。
(;゜Д゜) 星が落ちたのよ!
(;゜Д゜) これ冗談じゃなく!
(;〇Д〇) ガチのマジで!!
.。*゜+.* .。*゜+.*.。
さてみんなの反応は?
.。*゜+. *.。 +..。*゜+
( ゜ω゜)1 星が落ちた?
( ゜ω゜)2 どこよ?
( ゜ω゜)3 なんもなってねえじゃん、空。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 〇 〇 ……そうなのよ。
ノノ 人С川 w )
流れ星って、見たことを証明できないのよね。
いや、私たちは流れ星という現象を知ってるからいいよ?
流れ星を見たって言われても、ふーんで終わりだ。
しかし、流れ星というものを誰も知らなかったら……?
あなたならターボくんの話を信じるか?
オオカミ少年の話じゃないが、星が落ちたなんて信じられるか?
逆に、あなたがターボくんの立場ならどうする?
ビデオもない時代、証拠の見せようがない。
星が落ちたなんて話、だれにも言えないか?
ヒマな友達に頼んで、いっしょに夜空をながめてもらうか?
星が落ちるまで、いっしょに夜中つきあってくれる友達。
そんな友達がいてくれら、きっと楽しいだろうな。
「 流れ星 」
ビデオなど無い時代から、この現象は認知されてきた。
ということはだ。
証明なんかいらないくらい、毎日見れたのかもね。
古代人たちも、村のみんなで流星群を見ていたのだろうか。
★ さて、流れ星とはなんなのか? ★
その正体はきわめて単純である。
宇宙から飛来した石っころとかだ。
それが大気圏の空気抵抗で燃えつきる。
そのとき発生する超高熱の光が、流れ星の正体だ。
ようするに、空の天体が落っこちてるわけではない。
もちろん原始人にすれば、星が落ちたようにしか見えなかったろう。
じつは流れ星なんて珍しくもない。
驚くなかれ。
なんと地球に飛来する流れ星は、じつに1日に2兆個だ。
とうぜん肉眼で見えるかは別の話だ。
まず、当たり前だが昼間では見えっこない。
そしてある程度の大きさの宇宙石でないといけない。
小さすぎて、地上から見える前に燃え尽きたら意味がない。
ほどよい大きさで、しかも夜にやってくる流れ星。
2兆個の流星のうち、我々が視認できるのは実際いくつなのか?
仮に、肉眼で見える流星を1万分の1個としよう。
★ よって、2億個 ★
そして夜間に飛来する流星であること。
午後8時から午前5時までと仮定しよう。
1日24時間のうち9時間。
つまり 2億個のうち、 37.5%。
2億個 × 37.5% = 7500万個。
視認できる流れ星を、7500万個と仮定しよう。
もちろんこれは全地球上での数だ。
ここからがもっとも重要だ。
我々が見上げる夜空。
この夜空は、地球全体のいったい何%なのだろう。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ……いやいや。
ノノ 人С川 ꐦ w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ちょっと待て。
ノノ 人С川 w )
ひとりの人間が視認できる空。
その面積が、地球の空の何パーセントなのかを知りたい。
それを7500万個から割り算する。
そしたら、ひとりが見れる流れ星の数がわかるじゃん?
で、えー……
見えてる空の面積って、地球の空の何%くらいなの?
待てよ、待て待て。
まーた論文のテーマが脱線してる……
……論理的に考えてみよう。
いつものようにな。
まず、球体の表面積の求めかたはわかってる。
半径 × 半径 × 4 × 円周率だ。
ここでは円周率を 「 3.14 」とするぞ。
そして地球の半径は、約6370キロメートル。
ただしこれは、地球そのものの半径だ。
いま知りたいのは地表の表面積ではない。
大気圏の、それも流れ星が現れる空域の表面積だ。
流れ星は、だいたい上空100キロほどから燃え始めるそうだ。
したがって計算すべき空の面積は、下のとおりになる。
地球の表面より、100キロ上空。
つまり……
地球半径 6370キロ + 上空 100キロ。
よって 6470キロメートル。
これを半径とする球体の表面積を求める。
6470 × 6470 × 4 × 3.14。
すなわち、5億2577万2904平方キロメートル。
これが流れ星が見える、地球上空の全面積である。
仮に「 星空域 」 と呼ぼうか。
で、我々が見上げる空。
この空は、星空域の何%なのだろうか。
手をつくして調べてみたぞ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ マジわからん。
ノノ 人С川 ꐦ w )
気象衛星、
防空レーダー、
天動説、
星野源……
いろいろ検索したけど、わかんにゃい。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ゜ ゜ もういい。
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ 計算するわ。
ノノ 人С川 w )
オーケー、こっちで勝手に計算する。
まず天文学じゃなく、生理学的に考えるぞ。
ようするに人間の視野で考えればいいんだ。
人の視界は、両目で見たときの角度が120度くらいだ。
ほんで、さっきも言ったとおり。
地上から星空域までは100キロくらいだ。
これを、人間が空を見上げる範囲と仮定する。
つまり星空域まで、120度の広さを目視しているとする。
大げさだが、逆向きの円錐体をイメージしてほしい。
夜空に、高さ100キロの円錐体があると仮定しよう。
その底面積が、ひとりの人間が見ることのできる星空域だ。
さて円錐の計算はウルトラ難しい。
簡単に三角形だと考えよう。
頂点が120度、高さ100キロの二等辺三角形だ。
で、ピタゴラスの定理に従う。
頂角60度の直角三角形の底辺は、高さを1として√3だ。
よって個人の星空域の半径は、約173キロとなる。
したがって、173キロを半径とする円の面積。
173 × 173 × 3.14は?
約9万3977平方キロメートルだ。
人間ひとりが見える空の面積、計算したぞ!
約9万3977平方キロメートルだ!
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ さあ!
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ さあ求めたぞ!
ノノ 人С川 w )
地球の星空域は、5億2577万2904平方キロ!
うち人間ひとりの星空域は、9万3977平方キロ!
パーセンテージを求めると……
0.0178% だ!
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ で!!
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 【 【 なんだっけ?
ノノ 人С川 ₋ )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ あ、で!!
ノノ 人С川 w )
地球のすべての夜に降る流れ星は、7500万個!
そのうちひとりの人間が見れるのは、0.0178%!
7500万個 の 0.0178% ……つまり!
+.☆+... ゜.゜+.
133万5000個だ。
+.☆+.. ゜.゜゜☆+.
毎日だよコレ。
133万5000個の流れ星を、毎日だれでも見られる計算になる。
つまり午後8時から午前5時までの9時間……
9時間って、3万2400秒だよ?
133万5000個 ÷ 3万2400秒!
答えは、41だ!
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● よって!
ノノ 人С川 w )
みんなが毎秒、41個の流れ星を見ることができるわけだ!