*。*:゜ ニニコ論文 「どうして空は青いの?」 ゜:。*
私ことニニコ・スプリングチケットは、ときどき切なくなる。
この空はどこまで続くのか。
どうして空はこんなに青いのだろう。
切なくなる。
あれは……何年前だったか。
空の青さについて、母にたずねたことがある。
あれはたしか、私が5歳のときだったはずだ。
あのとき、私はまだ小さかった。
゜・*:.。..
ママ、どうしてお空は青いの?
゜・*:.。..
それはね。
宇宙が青いからよ。
゜*。。*° 。*°。*°
゜・*:.。.. 。.
じゃあ、どうして夕焼けは赤いの?
゜・*:.。..
それはね。
お日様が近くまで降りて来るからよ。
゜*。。*° 。*°。*°
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ●
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 〇 〇 はあ?
ノノ 人С川 w )
゜・*:.。.. 。.:*・゜
意味不明だわママ。
太陽と地球の距離はだいたい1億4960万キロよ。
時間帯で、太陽が近づいたりするわけないわ。
それに青空が宇宙の色のはずないわ。
だったら、夕方でも青色に見えないと変だもの。
なんか間違ってんじゃない?
.。*゜+.*.。 ゜+..。*゜+
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ちがうねん。
ノノ 人С川 w )
いまはもうわかってる。
空はなぜ青いのか。
あなたは知ってるか?
まず、光について説明しなければならない。
可視光 (かしこう)って聞いたことある?
人間の目は、限られた波長の光しか見ることが出来ない。
いわゆる、虹の色だ。
赤、オレンジ、黄色、緑、青、あい色、ムラサキ。
赤の光ほど波長が長く、ムラサキほど波長が短い。
そして太陽から光が降りそそぐ。
レーザービ ―――ム!
太陽の光が地球に届く、と言ってもこれが大変なのだ。
まっすぐ地上に太陽光が降りそそぐわけじゃないのよ。
なぜなら地球には空気がある。
光は空気にぶつかると、乱反射をくり返すわけだ。
ところが光というのは、波長が短いほど拡散する性質がある。
これを「 レイリー散乱 」という。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ついてきてる?
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ようするにだ。
ノノ 人С川 ₋ )
波長の短い青色の光は、拡散に拡散をくり返す。
そのため、空全体に青の光が行きわたる。
結果、空は青く見えるのだ。
赤、オレンジ、黄色なんかの光も見えなくはない。
だが、波長の長い光は「 レイリー散乱 」が起こりにくい。
するとどうなるか?
赤の光は、まっすぐ地上に降りそそいでしまう。
ほとんど拡散しないまま、地上へと一直線だ。
ようするに、空というスクリーンを素通りしてしまうのだ。
結果、目に見えない。
この「 拡散しまくる 」という性質が大切なのだ。
波長の短い青い光が拡散することで、空は青く見えるわけだ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ おっと!
ノノ 人С川 w )
いま思わなかったか?
だったらどうして、空はムラサキ色じゃないのかと。
たしかにムラサキの光は、青よりも波長が短い。
よって、いちばん拡散するのはムラサキの光だ。
ならば、空はムラサキ色でなければならないはず。
そんな理屈どおりにはいかないのよ。
理由は2つある。
《 理由①: 拡散しすぎる 》
ムラサキの光の波長は短すぎる。
レイリー散乱しすぎるのだ。
空全体に拡散するほどの波長をキープしてられないのよ。
その点、青の波長は強すぎず弱すぎもしないのだ。
《 理由②: 人間の目の構造 》
ヒトの目は、青の光をいちばん知覚しやすい。
もともとそういう構造になってるのよ。
つまり、太陽光に限らない。
人間の目は青色を見やすいように作られてるのだ。
以上の理由により、空は青い。
ね、言ったでしょ?
空の青さに、宇宙の色なんかま~~ったく関係ない。
じゃあ、夕焼けの話をしようじゃないか。
どうして朝焼け、夕焼けは赤いのか?
めちゃくちゃ簡単である。
地面ギリギリに太陽があるからだ。
おっと!
母が言ったように、太陽が地上に近づくってわけじゃないぞ。
地球と太陽の距離は、時間によって変わったりしない。
そうじゃなくて、地上すれすれに太陽が見えるという意味だ。
さっき太陽の光は、空気で乱反射すると書いた。
レイリー散乱である。
では地球の空気、どのくらいの厚みがあるか知ってるだろうか。
地上から、約50~100キロメートルくらいである。
けっこうとんでもない上空まで、空気の層はあるのだ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ そしてそして!
ノノ 人С川 w )
この空気層に太陽光がぶつかることで、光の反射は始まる。
結果、空が青色に見えることは説明したとおりだ。
ところが太陽光が、地面スレスレで入射するとどうなるか。
空気の層に、角度をつけて日光が差しこむことになる。
と、なるとだ。
空気の厚さは100キロメートルではすまない。
それは地上から宇宙までの距離である。
なにしろ、大気をほぼ真横にブチ抜いてくる光だからな。
何千キロメートルも続く、空気のバリヤーをだ。
太陽光が、地球の表面をなぞるように直進してくるのだ。
ここで問題になるのが、レイリー散乱だ。
青の光では波長が短すぎて、地上まで届かないのだ。
波長の短い光なんか、すべて拡散しつくしてしまう。
じゃあどうなるか?
そりゃ、波長の長い光だけが拡散しつづけることになるよ。
青の光は?
あ、遠くのほうでレイリー散乱してますね。
見えるか、こんなもん。
地平線のむこうじゃないか。
わかるかな?
「地平線のむこう」にいる人には、青空が見えてるわけだ。
そりゃ、遠き西の国では朝だろうしな。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ おはようッス!
ノノ 人С川 w )
逆に、東の国ではもう夜だ。
東の国のひと、おやすみなさい。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 三 三 おやすみ……
ノノ 人С川 w )
私のいる国は、いまちょうど日が暮れるとこだ。
数千キロメートルの空気を、本日最後の日光が照らしている。
おそろしいほどブ厚い空気の向こうに、太陽がある。
人間の目では、もっとも波長の長い光しか見えなくなっている。
すなわち赤色だ。
朝日や夕日は、なんで赤く見えるのか?
地上ギッリギリに太陽があるからだ。
おわかりだろうか?
夕日が赤いのは、太陽が赤いからじゃない。
地球のせいだ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 【 【 ……ふう。
ノノ 人С川 ₋ )
14歳になったからこそ私は思う。
5歳のときにいまの説明をされたとして、理解できただろうか。
もしかしてママは、わざとウソを教えたのではないだろうか?
空の色。
子どもの私には、むずかしすぎる科学現象だった。
だから母は、あえて誤った科学知識を教えたのではないか?
わざと、もっともらしいウソをついたのだろうか?
子供にでも理解できるようなウソをついてくれたのか?
私のちいさな知的好奇心が、満たされるように。
……そうなんだろうか。
゜・*:.。.. 。.:*・゜
どうして海の水はしょっぱいの?
゜・*:.。..
それはね。
人魚の涙がとけているからよ。
゜*。。*° 。*°。*°
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● ……ちがうね。
ノノ 人С川 w )
43億年前に、塩化水素の雨が降ったからだ。
なんと1000年も降りつづけた。
そしてこれが海になった。
塩酸の海だ。
やがて酸は中和され、塩だけが残った。
だから海水はしょっぱい。
……人魚なんか関係ない。
どうしてゾウの鼻は長いの?
どうして夏は暑いの?
どうして最近の特番はつまらなくなったの?
思いかえせば、ずいぶん母を困らせてしまったものだ。
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ なんて子だい。
ノノ 人С川 ꐦ w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ⦿ ⦿ ・・・・・・
ノノ 人С川 w )
◆◆/ ハ""人"ハ人
/ |ハ川 ● ● なんて子だ。
ノノ 人С川 ₋ )
……本当はどうするのが正しいんだ?
子どもに科学的質問をぶつけられたとき、どうしたらいいの?
どう答えてあげるのが正しいんだ?
正しい科学知識を教えてあげるべきなのか?
理解できるのかな、子どもに。
ウソであろうと、子どもに理解できる説明をすべきか?
まるっきりのデタラメでも?
……将来、子どもが出来たときのために考えておこう。
あのときのママの気持ちが、少しだけわかるなあ。
なんかホント、すんませんでした。




