ボツネタ④ 「サヤを、知りませんか」後編
前回につづき「サヤを、知りませんか」の後半よ。
前半でも書いたけど、もう一度言うわね。
「サヤを、知りませんか」には、ショッキングな表現が含まれます。
「人体切断」
「中絶」
「幻聴」
このキーワードに嫌悪感のある人はいる?
ぜったい読まないでね。
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タイトル: サヤを、知りませんか
考案: 2003年8月
概要: 刀剣ホラー
ボツ理由: 後半パートで説明します
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さて、妖刀と化したチェーンソー。
タケシはその「好意」を受けてしまったわ。
殺してやりたいと思ってたクラスメートを、マジ殺したの。
もういいからここで終わんなさいよ。
いやいや。
画像では修正してるけど、クラスメートはバラバラよ。
最悪の状況ね。
タケシ:
「どうしてくれんだよ!」
チェーンソー:
「もう一度チャンスを!」
タケシ:
「もう勘弁してよ!」
チェーンソー:
「お役に立てるまで、おそばを離れません!」
タケシ:
「なんでやねん!」
チェーンソー:
「あなたは僕の「 鞘 」だ!!」
タケシ:
「なにがやねん!」
チェーンソー:
「僕を支配するものです!」
「すなわち鞘 (さや) だ!!」
はい。
そういうわけで、タケシはチェーンソーに付きまとわれます。
タケシは、妖刀の「鞘」になりました。
チェーンソーは彼から離れてくれないわ。
捨てようにもタケシの意思では捨てられないの。
妖刀の魔力がそうさせるのね。
しかたないからケースに入れて持ち歩くハメになったわ。
余計あやしいけど。
タケシ:
「ああ、肩こったなあ」
チェーンソー:
「削っちゃいます! ヴィイイン!」
タケシ:
「やめろ! 死んじまうだろ!」
チェーンソー:
「ヴィイイイイン!」
タケシは死体を山に埋めたの。
いつ警察に捕まるかとビクビクしながら毎日を過ごしてるわ。
そんな彼のもとに、ひとりの女が現れたの。
彼女は……
誰かしら?
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【 ケース⑤ 彼女 】
彼女:
「私を殺して」
タケシ:
「はい?」
彼女:
「ひとり殺したんでしょ? 私も殺してよ」
タケシ:
「なんで知ってる! なんだよ、そのマシン!」
そのマシン ↓
マシン:
「俺は ローリング・ギアーズ !」
彼女:
「だ、そうよ」
マシン:
「俺は アーバンガーデン から来た!」
彼女:
「こういうわけなの。さあ殺して!」
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急展開よ。
アーバン・ガーデンとは何なのか?
ローリング・ギアーズとは?
彼女はいったい誰なのかしら。
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タケシ:
「アーバン・ガーデン? あの映画の!?」
マシン:
「吉野信一の脚本により、皆殺しだ!」
タケシ:
「思い出したぞ、その機械! 映画に出てくる武器じゃんか!」
マシン:
「お前「も」、殺してやる!」
彼女:
「うるさい! 小道具のくせに!」
マシン:
「殺す、殺す!」
彼女:
「さあ殺して。早く!」
タケシ:
「いや、ちょっと待て。あんたもどっかで見たことが……」
彼女:
「来ないんなら、こっちから行くわよ!」
マシン:
「よく言った 沙耶!」
タケシ:
「サヤ……? げッ! アーバンガーデンの殺し屋の……」
彼女:
「私は沙耶じゃない!」
マシン:
「グオグオン! ギュルルルン!」
彼女:
「もう殺してよおおおお!」
タケシ:
「ぎゃあ、こっちくんな!」
チェーンソー:
「来やがれ、ヴィイイン!」
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ワレ、何がどうなってんねん!
さ、ここまでの話を、おさらいしましょう。
《 妖刀 》
人間の役に立ちたい。
役に立つまで、いつまでも付きまとう。
《 鞘 》
妖刀が付きまとっている人間のこと。
《 タケシ 》
殺人犯になってしまった。
以後、チェーンソーの鞘。
《 チェーンソー 》
ヴィイイイイイイイイン!
《 アーバン・ガーデン 》
昨年公開されたSFハードアクション映画。
監督:吉野信一
主演:稲田翼
チェーンソーを使うヒーローの物語。
《 ローリング・ギアーズ 》
アーバン・ガーデンに登場する架空の武器。
作中の小道具だが、実際に武器として機能する。
撮影の都合上、実物を作る必要があった。
《 沙耶 (サヤ) 》
アーバン・ガーデンに登場するキャラクター。
主人公の殺害をもくろむ殺し屋。
劇中、主人公の兄を殺害し、激高した主人公に殺害される。
《 彼女 》
読モ出身の新人女優。
アーバンガーデンの殺し屋、沙耶を演じる。
2作目の撮影中、ローリングギアーズの鞘になる。
アーバンガーデンの主人公の「兄役」の俳優を惨殺している。
以ッッッ上~。
これをボツにした理由は、言うまでもないわね。
妖刀よ。
① なぜ、妖刀なんてものが生まれたのか。
② なぜ、人間の役に立ちたがるのか。
③ なぜ役に立ったら、妖刀じゃなくなるのか。
説明したいんだけど、できないわ。
思いつかなかったのよ。
古川には思いつかなかったの。
核がないまま、表面だけ出来てしまったネタなの。
ていうか、ていうか!
バックボーンが思いつかないってなに?
こんなネタ使いようがないじゃない!
古川、いまだに思いつかないんですって。
どういうアンポンタンなのよ。
おっと、誤解しないでちょうだい。
「妖刀が生まれた理由? さあ~?」
「それは誰にも、わっかりーませーん♪」
ってゆう感じでもいいと思うのよ。
そういう手法もアリなの。
あなただって心当りあるでしょ?
ホラ、なんて言うの?
やたら謎だらけの作品。
なーんにも説明してくれない作品。
殺人犯の動機を明かさないまま、おしまいとか。
敵の正体がわからないまま、おしまいとか。
これ、けっして不親切な手法なわけじゃないのよ。
「謎」、だから面白いの。
ミステリアスであることも作品の魅力よ。
でも「サヤを、知りませんか」の場合はダメよ。
このネタは許されないわ。
作者の頭にも答えがないなんて論外だもの。
上に書いた ① ② ③の理由、いかが?
あなただったら、どうするかしら?
ちなみにだけど。
さっきのシーンでタケシと沙耶は……あ、ちゃう。
ごめんなさい、沙耶じゃなかったわ。
「沙耶役の女優」だったわね。
ふたりは殺しあうことなく別れたわ。
正確に言えば、女優のほうから逃げちゃった。
彼女:
「やっぱり死にたくない!」
その数日後、大事件が起こったの。
人気アイドルの稲田翼が殺害されたわ。
誰やねん。
アーバンガーデンの主演俳優よ。
ずたずたの死体になって発見されたわ。
ワイドショーは連日、このニュースで持ちきりよ。
タケシも家でこのニュースを見てたわ。
すぐにローリングギアーズのしわざと気づいたの。
テレビ:
「稲田翼が殺されました! ひえー」
タケシ:
「沙耶……映画の通りに……」
チェーンソー:
「その映画、見に行きませんか?」
タケシ:
「公開中止になるに決まってんだろ!」
チェーンソー:
「それは残念です」
タケシ:
「いや、ちょっと待てよ?」
チェーンソー:
「どうしました?」
タケシ:
「沙耶はなんで、俺の殺人を知ってたんだ?」
チェーンソー:
「僕が教えました」
タケシ:
「……は?」
チェーンソー:
「テレパシーです。妖刀は交信ができるんです」
タケシ:
「聞いてねえぞ!」
チェーンソー:
「言ったほうがよかったですか?」
タケシ:
「じゃあ、沙耶はいまどこにいるんだ!」
チェーンソー:
「あの、さっきから思ってたんですが」
タケシ:
「なんだ!?」
チェーンソー:
「沙耶は映画のキャラで、彼女の名前は」
タケシ:
「いいからサヤを……!!」
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「サヤを、知りませんか」
どうだったかしら?
最後に、これを考えた若き日の古川へ。
あんたの手に負えるネタじゃなかったわね。
努力賞。




