ボツネタ④ 「サヤを、知りませんか」前編
どうだったかしら、「奥義シンガンリュー」。
さて、今日も元気にボツネタを紹介したいんだけど……
今回の内容はショッキングよ。
「人体切断」
「中絶」
「幻聴」
この手のワードに、嫌悪感のある人はいるかしら。
ぜったいに読まないでちょうだい。
猟奇的な紹介にならないように配慮したつもりよ。
でも個人の感想には、まったく責任が持てないわ。
くりかえしになるけどショッキングよ。
ちなみに。
あまりにも長くなってしまったの。
だから今回は、前半、後半に分けたわ。
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タイトル: サヤを、知りませんか
考案: 2003年8月
概要: 刀剣ホラー
ボツ理由: 後半パートで説明します
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えー、「 妖刀 」という言葉をご存知かしら?
ファンタジーの世界では、ありがちな設定よね。
呪われた刀剣のことよ。
その輝きから、持ち主に不幸をもたらす刀剣。
持ち主を、殺人鬼に変えてしまう刀剣。
本当に、妖刀なんて存在するのかしら。
存在するわ。
ある日いきなり、いろんな刃物が妖刀になったの。
理由なんかないわ。
ある日、なんの前触れもなくよ。
剣や刀。
槍。
ナイフ。
包丁。
カッター。
はさみ。
ツメ切り。
その他、刃物ならなんでもかんでも。
ある日とつぜん 妖刀になりました。
もうビックリよ。
世界中の刃物が妖刀になったの。
と言っても、この世の刃物のすべてじゃないわ。
10万本に1本とかくらいかしら。
世界中に刃物ってどのくらいあるのかしら。
60億人が2本づつ持ってるとして、120億。
その10万分の1。
世界にたったの12万本ね。
さて。
それで、具体的に世界はどう変わったのかしら。
妖刀はすべて、ある願いを持ってるの。
「人間の役に立ちたい」よ。
人間の役に立ちたい。
例えば、こういうこと。
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【 ケース① 古川アモロ 】
古川:
「このタオル、糸がほつれてるよ。参ったな」
ハサミ:
「お待ちください!」
ババーン!
古川:
「き、きみは……ハサミ!」
ハサミ:
「さぞお困りでしょう! 僕をお使いください」
古川:
「とつぜん何を……うわ、手が勝手に!」
ハサミ:
「さあ! 僕を手に取って!」
古川:
「う、腕が勝手に……うわあああああ!」
ハサミ:
「いきますよー!」
パチン!
古川:
「切れた! いやあ、助かったよ」
ハサミ:
「あの……僕は、お役に立てましたか?」
古川:
「もちろんだよ、大助かりさ」
ハサミ:
「ああ……うれしい……僕はこれで、妖刀じゃなくなる……」
古川:
「おい、どうしたんだ!?」
ハサミ:
「あなたの、お役に立てて……うれしかっ……た……」
古川:
「ハサミーッ!?」
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どうも、ありがとうございましたー!
はい、これでハサミは妖刀ではなくなったわ。
ただのハサミに戻ったわけ。
人間の役に立てて、本当によかった。
なんて素敵で、礼儀正しい妖刀なんでしょう。
世界のいたるところで、妖刀たちは役に立ってるわ。
なんて愛しい妖刀たちなんでしょう。
あら?
とある女性の家でも、妖刀は活躍してるみたいよ。
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【 ケース② 女性 】
女性:
「はあ……どうしよう、デキちゃった」
「ついでに誰の子かわかんねー、ウゼー」
「もう22週すぎてるから、堕ろせないしー」
女性は妊娠してるみたいです。
そこに妖刀がやってきました!
剣:
「ご安心を、僕におまかせあれ!」
女性:
「え? いや……なにが?」
剣:
「僕におまかせください! いきますよ!」
女性:
「手が勝手に……あああああああああああ!」
ザックー!
女性:
「ああああああああ!! あ、あ……」
剣:
「痛くありませんか? えいえい!」
ザックザック!
女性:
「あ……」
剣:
「お役に立てましたか? よかった……」
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ちっともよくねーよ。
人間の役に立つために、どんな協力もしてくれる妖刀。
世界はとんでもないことになったわ。
さ、別のケースも紹介するわね。
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【 ケース③ 社長 】
板金屋:
「倒産した! もう明日の生活もままならん!」
刀:
「せ、拙者にお任せを!」
裁断機:
「な、なにを言うんだ! それは僕の役目だ!」
刀:
「拙者は先祖伝来の家宝だ!」
裁断機:
「僕だって、会社創業以来の設備なんだぞ!」
板金屋:
「いや借金のカタに取られて、両方もう俺のじゃ……」
刀:
「そ、それでしたらなおのこと!」
裁断機:
「最後にお役に立ちます。社長、お疲れさまでした」
板金屋:
「頼んでませんけど!!」
ザクッ!
スパン……
刀:
「拙者、お役に立てました……か……」
裁断機:
「ああ、僕はもう、妖刀じゃ、ない……ああ……」
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……ひどいわね、今回のネタ。
えー、進めましょう。
物語の主人公を紹介するわね。
彼よ。 ↓
仮に、彼の名前を「タケシ」とします。
あいにく顔がわかんないけどスルーしてよ。
彼のもとにも妖刀が来たの。
チェーンソーよ。 ↓
タケシは、なにやら深刻そうよ。
頭を抱えてるわね。
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【 ケース④ タケシ 】
タケシ:
「……おい……何てことしてくれんだよ」
チェーンソー:
「ぼ、僕……なにかマズいことでもしましたか?」
タケシ:
「したってゆうか、なんてことさせるんだよ!」
チェーンソー:
「いえ、でもクラスのやつがムカツクって……」
タケシ:
「言ったけど、マジで殺すのかよ!」
↑
加工してるけど、バラバラの死体が転がってるわ。
タケシ:
「どうすんだよこの死体! バラバラだぞ!」
チェーンソー:
「あの、ま、マズかったでしょうか?」
タケシ:
「当たり前だ! 最悪だ!」
チェーンソー:
「に、人間の役に立てなかった……?」
「う、うわあああああああああああああああ!」
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人間の役に立てなかった妖刀は、どうなるのかしら。
その魂はどこへ向かうのかしら。
刀は、鞘 (さや)に仕舞いましょう。
チェーンソー:
「あなたは僕の 鞘 (さや) だ!!」
タケシ:
「なにが?」
長くなっちゃったから、前半ここまでにしましょう。
「サヤを、知りませんか?」
続きは後半で。