ボツネタ① 「U・F・O」
ハイ!
じゃあ1本目よ。
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タイトル: U・F・O (ユー・エフ・オー)
考案: 2003年のはず
概要: フリスビー犬
ボツ理由: つまらないから
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主人公は、中学生の女の子よ。
彼女のお父さんは、オリンピックの円盤投げ代表だったの。
メダルまで獲得したすごい選手よ。
お父さんの影響で、彼女も円盤投げを始めたわ。
そんで彼女もメキメキ上達したわ。
なにしろ大学監督のお父さんがコーチしてくれるんですもの。
たちまち彼女は学生界のホープになったわ。
でも大会じゃ全然ダメだったのね。
イヤになって、すぐ陸上を辞めちゃったの。
情けないわ。
そんなある日、彼女の家に犬がやってきたわ。
すごくいい血統の犬よ。
この犬のお母さんは警察犬なの。
警視総監賞ももらってる、超エリートドッグ。
もちろん彼も期待されてたわ。
なのに警察犬の訓練所で5回も脱走やらかしたの。
そのうえ教官を14回噛んで、ついに不合格になったわ。
どういう犬なのよ。
とまあ、そういうわけで。
親のいいとこ引き継げなかったコンビで、なんかしましょうと。
なにをしようかしら?
というわけでフリスビーよ。
さっそく河原で特訓するわ。
だめね。
上手とか下手とか以前に、呼吸があってないわ。
犬も投げ返すわ。
呼吸が合ってないわね。
……あのな。
呼吸ってゆうか、フリスビーする気あるわけ?
とうとう噛まれたわね。
女の子のほうも気が強いわ。
落ちてたモップで犬を半殺しよ。
犬はヤバいみたいね、よく見たら笑ってるもの。
ほっといて帰りましょうね。
えーっと……
なんでこんなに場面が急転するのよ。
まあいいわ。
さっきのケガをお医者さんに見せてるわね。
いや……なに、これ?
ってゆうか、このカットおかしいのよ。
上にも書いたけど、これ描いたの2003年のはずなの。
でも、2003年の9月は火曜スタートじゃないのよ。
火曜始まりの9月は、1998年の次は2009年よ。
じゃあ……これは、どういうこと?
9月が31日まであるなんて聞いたことないし。
えー、ここからは家族の様子が描いてあるわ。
写真が飾ってるわね。
お父さんの現役時代かしら。
女の子は傷ついてるわ。
心理的にも物理的にも。
いまになって犬の心配してるわね。
遅すぎるわ。
なによ、コレ?
えー、雨が降ったから探しに行くわ。
やっぱ心配になったのね。
やさしい子よ。
ド―――ン!!
後ろから体当たりよ。
犬はぜんぜん寂しがってなかったわ。
第2ラウンド開始よ。
ところがどっこい。
そういうアレじゃなかったのね。
頭身が……なんじゃこれ?
さっきから背景も角度がおかしすぎるわよ。
これ、ごめんなさい。
いちおう古川の名誉のために言わせてちょうだい。
これ本当に古川のせいじゃないのよ。
当時の古川の担当編集者が、ワンピースにハマってたの。
で、尾田先生っぽい絵にしろって言われてたのよ、ずっと。
もう会うたびに言われたもんで、古川がノイローゼ状態だったの。
「ワンピースっぽくしなきゃ、しなきゃ……」
そしたらなぜか、構図がゆがみまくったのよね。
古川なんかに超天才のマネさせたりするからよ。
じゃ、ハイ。
仲直りしたところで、最初から練習をやり直しましょう。
かけ声は、お父さんゆずりよ。
3ステップで投げるわ。
はい、「ユー!」
「エフ!」
「オー!」
取ってこんかい!!
ダメだこりゃ。
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どうだったかしら「U・F・O」。
ここからフリスビー犬としての活躍が始まるわよ。
いやウソです、始まりません。
これ書いただけで終わりました。
はい。
じゃあ最後に、これを考えた若き日の古川へ。
アンタ、どんだけ下手なの?
人物、背景、小道具、なにひとつ満足に描けてないじゃん。
いやマンガの技術もひどすぎるけど……
でもそれ以上に!
作家を目指すうえで、大切なものが感じられないわ。
創意工夫よ。
自分で発明した演出って、このなかにあった?
天才のマネするんじゃないのよ。
天才の発明と、自分の独創をミックスしなさい。
あとなによ、コレ?