表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも願いが届くなら  作者: ゆう
3/3

ファイル

皆黙々と作業にふける。

3時間程経過したのだろうか。

おもむろに香織は立ち上がりキッチンの方流れていく。


数分後3人分の紅茶のような物を手に2人の手前に置き自分も両手でそのカップを手に取る。

そのまま窓の方へ流れていき二人を見下ろしながら満足そうな顔をしている。

「手伝ってあげよっか?」


若もカップに手を伸ばしおもむろに飲み初め上を見上げる。

「終わったー! ……なにこれ不味!」


「ライン5温めてみた!明里はいつもこれ飲んでるから」

香織が悪戯っぽく笑いながら被せて答える。


ライン5とは20種類程ある擬似ドリンクラインの5番目の物で内容物は2日分の人間の栄養素に相当する。

味付けは粉っぽいミルクのような味がするようだ。


いつの間にか普通に飲み干していた明里がノートの最後の一枚をファイルに挟みこれで3人の作業が完了したようである。


一番上のそれのページは1999年12月という記載で始まり文字が汚すぎて読めない箇所もある。


香織が再度座り込み明里の隣に擦り寄りながら覗き込む。

「結局これ何のお話なの?……なんか日記みたいだよね?」


若も明里の方を睨みつけるように見ながら

「なんか前記憶って言ってなかった?」


明里が続ける。

「これは多分夢?もしくは記憶?そういった類の物だと思うんだ。

15になってあのチップを埋め込んでから徐々にこの夢を見るようになってさ、

今じゃほぼ毎日見るんだよね。

でもいつも飛び飛びでさ。

一番最初に見たのは確か2025年位の内容だったよ。」


明里がファイルを手に取りページを捲りながら話を続ける。

「これがなんなのか分からなくて最初はテキトーに書いてたんだけど10回目位だったかいつぞや見た続きを見たような気がしたんだ。

それでこれは夢じゃないんじゃ?って思って書き続けてきた。

途中で時系列にしようと思ったこともあったんだけど面倒だし歯抜けだし。

やっぱ違うの?なんて思ってやめちゃったんだよね。」


そう言うと明里はドサッとテーブルの上にファイルを投げおきベットに背中を押しつけ背伸びをする。


「まぁ疲れたし話の続きは明日にしようぜ」


そう言うと明里はシャワー室の方へ流れていく。


香織も立ち上がり

「じゃあ若ちゃん私も帰るね!明日またお昼にくるからさ」


その香織の少し寂しげな表情を見ながら若も続けて

「じゃぁねぇ香織」

と手を振りそのまま先程のファイルを手に取りごろんと横になり読み始める。


30分程経ち明里がシャワーから上がると若が横たわって寝ているのが見えた。

そっと上着を取り濡れたままのボサボサの頭にタオルを巻き外へ出ていく。


左の耳裏を触り

「施錠」

と言い残すとまだ少し明るいどんよりとした曇空の方へトボトボ歩いて行くのだった。


更に少し時間がたち家に戻って来てみると若が起き上がり満面の笑みを浮かべている。

「お帰り~暇だろ?飲みいかない?」


「明日行こう。今日はもうやめとくよ。」

そう言うと若の手元にあったファイルを手に取りベットへ転がる。


そう聞くと若が立ち上がり

「そっか~。じゃあ今日は帰ろう~。」

そういうと手を顔の横に一瞬持っていき部屋を後にするのだった。


一時はお酒が禁止となっていた時代もあったようだが、この時代では18歳から飲酒が可能なようだった。

ただ左耳のチップによりアルコールが制限される。


静寂が戻った部屋で明里はそのファイルに目を通し初めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ