第十四章「責任-前編-」
ども、霜月龍牙です。
公約通り3日でupしました!!
ですが、短時間に書くというのは僕には無理みたいで、実際にテスト勉強はこの3日間皆無です(爆)
というかそれだけの時間を費やしておきながら、一話しかupできない自分の遅筆って‥‥‥
その上、いろいろとちぐはぐな所があるので、近日中に修正予定です。
それでは、本編をお楽しみください。
「ふぅ、今日も疲れたな。」
曹長の階級章を付けた30代前半の男はそう呟いて大きく息を吐いた。
周りでは他の兵たちがまだ作業(といってもこの島の主食であるタロイモを植えるだけであったが)を続けている。
(そろそろ課業の時間も終わりだし、少し休憩するか)
彼は今まで持っていたシャベルを置いてヤシの木陰に座り込む。
周りの兵たちは一瞬だけ彼のことを見るが、すぐに視線を逸らす。
なぜなら、彼が周りにいる兵たちの中で一番階級が上だからだ。
そんな彼はふと上を見てみると、上空では2機の陣風が単機空戦の訓練をしていた。
彼は懐から『保万礼』と書かれた煙草を取り出すと、マッチに火を付けて吸い始めた。
(あの隊長機‥‥‥いい腕してんな。)
彼はそのままぼーっと2機の空戦を見続ける。
やがて、彼が一本目の煙草を吸い終わったとき、列機のエンジンが唐突に煙を吹き出して止まってしまった。
(おっ!エンコしやがった‥‥‥頼むから上手く不時着してくれよ)
彼は列機の異常をハラハラしながら見つめる。
だが、列機は彼の思いに反して、そのまま錐揉みになりながら地表に向かって墜落していく。
そして数秒後、軽い地響きとともに機体が地面に激突したいやな音が辺りに響き渡る。
結局、パイロットは脱出しなかった。
「おいっ、海軍の陣風が落ちたぞ!さっさとトラックを出して救助に向かえ!!」
陣風の墜落に呆然としている兵たちにそう怒鳴りつけ、彼自身もトラックに乗り込んだ。
彼は中に入る前ににちらっと上空を見ると、隊長機が墜落地点の周りを旋回している。
(もっとも‥‥‥あの操縦士が生きているかどうかは分からないがな)
彼はその思考を首を勢いよく振ることで打ち消し、急いでトラックを墜落地点へと向かわせたのであった。
その日の夜、艦魂たちによる最後の作戦会議がZ部隊の旗艦である『伊予』で開かれた。
『伊予』の会議室には連合艦隊のほぼ全ての艦魂が集まっていたが、ほとんどの艦魂は会議の傍聴を許されただけで、会議に直接参加しているのは戦艦や空母といった主力艦や、水雷戦隊の旗艦といった重要な役職の艦魂ばかりである。
この場に潜水母艦の艦魂は見えないが、彼女らは既に決戦想定海域に向けて出港した後なので会議には出ないことになっている。
彼女らはいつになく真剣な顔をしており、いつもはじゃれ合っている翔龍や仙龍もこの時ばかりはおとなしくしていた。
「それでは、最後の作戦会議を始めます。まずは作戦内容の確認から‥‥‥」
伊予が淡々とした口調で作戦内容を説明していく。
それに口を挟んだり、質問する者は誰もいない。
幾度となく繰り返された会議で既に意見や質問は出尽くしており、後は決戦を待つだけであったからだ。
「‥‥‥と言う予定です。何か意見や質問は?」
説明を一通り終わった伊予が周りを見渡すが、だれも手を挙げない。
「‥‥‥無いようね。それでは会議を終わりにします。」
その言葉とともに、着席していた艦魂たちが一斉に立ち上がって伊予に敬礼をする。
「じゃあ、堅苦しい会議はこれで終わりにして今から宴会よ!
腰が抜けるほど飲んで騒いでこの世の未練をなくしましょう!!」
先ほどとは打って変わったような明るい声で伊予が宣言する。
『おーっ!!』
《酒保開け、各分隊酒を受け取れっ!!》
丁度その時、全艦に同様の放送が流されて出撃前最後の宴会が開かれた。
各艦で一斉に歓声があがる。
各部署で一番下の兵たちは主計課まで殺到し、主計兵は次々と兵たちの注文を処理していく。
酒を飲む者、歌を歌う者、菓子や料理を手当たり次第に食べる者。
彼らは思い思いの方法で初めての実戦前の‥‥‥ある者にとっては今生で最後の宴会を楽しんでいた。
さて、艦魂たちも乗組員たちと同様に、思い思いに飲み歌い騒いでいた。
瑞鶴は相変わらず彼女専用のテーブルで大量の料理を腹に詰めていた。
彼方はいつもの通りに、トイレに向かったところを無理やり翔鶴と幻龍に拉致され、気がついたら椅子に座らせられていた。
周りをみると、他にも彼方と同様の境遇を辿ったらしい者の姿がちらほらと見える。
「はい、山城さん。あ〜んしてください♪」
「‥‥‥」
翔鶴が食べ物を取って彼方に渡そうとするが、彼方はぼーっとしたまま虚空を見つめている。
「山城さん?」
「‥‥‥あっ、ごめん。何の話だっけ?」
翔鶴が覗き込むと、彼方ははっとしたように翔鶴を見る。
「むぅ〜っ、人の話はちゃんと聞いてください。」
翔鶴は頬を膨らませて彼方を睨みつける。
「ははは‥‥‥ごめんごめん。」
彼方は適当に笑ってそれを誤魔化した。
「そっ、それなら‥‥‥ばっ、罰としてこれを食べてください!」
翔鶴は顔を真っ赤にしながら、稲荷寿司を彼方に差し出す。
「うん、いいけど‥‥‥」
「やったぁ!‥‥‥じゃなかった。はい、あ〜ん」
ぱくっ
「山城さん、おいしいですか?」
「‥‥‥うん、おいしいよ。」
翔鶴は笑顔で尋ねるが、彼方はどこか精彩に欠けた返答をする。
「山城さん、さっきから変だよ。ずっとぼーっとしちゃってるし。」
幻龍も心配そうに彼方の顔を覗き込む。
「いや、なんでもないよ。ちょっと疲れてるのかな。」
ははは、と彼方は再び適当な笑みで誤魔化した。
「‥‥‥そうですか、確かに訓練は激しかったからしょうがないですよね。」
翔鶴は納得したように頷いたが、どこか不満げだ。
「おや、君たちのところは結構盛り上がっているね。」
三人がその声に振り向くと、そこには30代くらいの少佐が立っていた。
「あっ、敬礼はいいよ。今日は無礼講だからね。」
彼方が敬礼しようとすると、少佐はそれを手で制する。
「すみません、つい癖で‥‥‥」
「まあ気にしないで。そうそう、自己紹介をしていなかったね。
僕は和泉 真嗣っていうんだ。
見れば分かると思うけど、階級は少佐で『敷波』の副長をやっているんだよ。よろしくね。」
和泉はそう言って右手を差し出してきた。
「僕は『瑞鶴』戦闘機隊の山城 彼方中尉です。
それで、こちらが翔鶴と幻龍です。」
彼方はその手を握って、翔鶴と幻龍を紹介する。
「よろしくお願いします、少佐。」
「和泉さん、よろしく。」
二人はそれぞれ挨拶をしてから和泉と握手をした。
「うん、よろしく。そうか、『瑞鶴』に乗ってるのか‥‥‥
噂によると瑞鶴ってすごく無口らしいけど、本当なのかい?」
「まぁ‥‥‥そうですね。今はあちらにいますよ。」
彼方が指差した方向では、瑞鶴がテーブルの上の料理と格闘を続けていた。
「なるほど‥‥‥それにしてもよくあれだけ食べられるね。」
和泉は顎に手を当てて感心したように頷いている。
「普段はあれの三倍くらい食べてますよ。」
「‥‥‥艦魂ってすごいなぁ。」
「いや、彼女だけですから。」
「おお、和泉。久しぶりだな。」
和泉が妙に感心していると、彼の後ろから見知った声が聞こえた。
「加賀じゃないか!ずいぶんと久しぶりだなぁ。」
和泉は久しぶりの友との再会に笑みを浮かべた。
「加賀さんって和泉大尉と知り合いなの?」
「ああ、和泉がまだ大尉だった頃にうちの第二高角砲群で副長をしていたんだ。」
幻龍がそう尋ねると、加賀は誇らしげに語った。
「ん‥‥‥?ということは、和泉さんって砲術科出身なんだ。」
「うん、対空戦術が専門だけどね。」
「ちなみに和泉は砲術学校高等科では主席だったんだ。」
「「「主席!?」」」
三人が驚くのも無理はない。
砲術学校高等科とは、砲術専攻を目指す大尉から少佐級の中堅士官が志願または推薦で入る所で、砲術についての専門的で複雑な知識を学ぶ所である。
もちろん、そこに集まるの者は実力派揃いで、主席になるのは余程の努力をしないとなれないのだ。
「まあ一応、ね。でも士官学校では下から数えた方が早かったよ。」
「えっ、そうなんですか?」
「砲術学校時代に和泉が課題で出した艦隊弾幕射撃理論が高く評価されたんだ。」
「かんたいだんまく‥‥‥なにそれ?」
幻龍は難解な単語に頭を抱える。
「ほら、この前伊予から説明してもらったでしょ?」
「あのときかぁ‥‥‥全部寝てた気がする。」
翔鶴がそう指摘すると、幻龍はてへっ、と笑って頭を掻いた。
「なんだ、お前はあの時寝てたのか‥‥‥
それなら丁度この場に発案者がいるから、もう一度聞いた方がいい。
和泉、説明してくれるか?」
「もちろん。そうだね‥‥‥じゃあまずは弾幕射撃について説明しようか。
弾幕射撃っていうのは‥‥‥」
和泉の説明はまだ続くが、非常に長いのでここで簡潔に弾幕射撃について説明しておこう。
普通の対空射撃は対空砲が個別に敵機を射撃するので、複数の対空砲で同一の敵機を射撃することになったり、その逆になったりすることがあり、非効率的だった。
そこで和泉が考えたのが弾幕射撃である。
これは各対空砲ごとに受け持ちの空域が決まっており、そこに敵機がいる間はずっとそこに向かって射撃し続けるという射撃法である。
その方が効率的に敵機を対空弾幕に当てることができ、撃墜率も上がるのだ。
さらに、敵機の撃墜率が上がるだけでなく、弾幕を張ることによって敵機の照準を妨害できるという利点もある。
彼の提唱した艦隊弾幕射撃はこれを艦隊単位に拡大したものである。
「なるほど‥‥‥そうすれば効率的に敵機を迎撃できますね。」
彼方はこの時爆撃機の搭乗員じゃなくて良かったと思った。
それほど弾幕射撃の効果はすごく、彼方もその効果は納得できた。
「うん、大体分かったような気がする。」
幻龍も納得したような顔をして頷いている。
「まあ、口で言っただけじゃ分かりづらいけど、実際に戦ってみれば効果が分かるよ。
ただ、これにはもちろん欠点があって、各艦の砲術長が事前に集まって対空砲の射撃範囲を決めなくちゃいけないし、敵機がいる間はずっと弾幕を張らなきゃいけない訳だから弾薬の消費が激しいんだ。
ほら、たしか5月あたりに二人ともドックに入っていたでしょ?」
「ええ、確かにそうですけど‥‥‥あれって消火設備の拡張じゃないんですか?」
「それもあるんだけど、その時に弾薬庫の拡張も行っていたんだ。
さっきも言ったとおり、弾幕射撃は弾薬を浪費するからね。」
「へぇ〜、なるほど。和泉さんって凄いんですね。
でも、それならどうして駆逐艦の副長をなさっているんですか?
和泉さんなら巡洋艦の砲術長でもおかしくないのに‥‥‥」
「それはね、色々理由があって‥‥‥」
「バカシンジー!ちょっとこっち来て!」
彼方はその大声に驚いて振り向いてみると、栗毛の少女が大きく手を振って和泉を呼んでいた。
「いっ、今のは‥‥‥?」
「ごめん、敷波が呼んでるから行かなきゃ。」
「バカシンジ!早く来なさいよ!」
「敷波、ちょっと待ってて!それじゃあ、また後で。」
和泉は慌てて言うと少女の所へ走っていった。
「うわ〜、わたし凄い人に会っちゃった。」
翔鶴は和泉の後姿を見送りながら感慨深そうに呟いた。
「そうだね‥‥‥でも、どうして駆逐艦の副長をやってるのかな?」
「あっ、実は彼女とデキてたりして‥‥‥」
「「キャーッ!!」」
彼方は二人の会話が段々危ない方にエスカレートしていくのを、ただただ黙って見ていた。
「山城、どうかしたのか?」
「‥‥‥いや、なんでもないよ。」
加賀が彼方の顔を覗き込むと、彼方は力なく首を振った。
「‥‥‥山城、今から少し付き合ってもよいか?」
霜月「おっしゃー!!公約守ったぜ!!」
三笠「お疲れ様。いつもこれくらい早いといいんだけどね。」
宝鶴「そういえば明日は生物、日本史、現代文のテストだよね?」
霜月「暗記科目だ‥‥‥しかも勉強時間皆無だよ‥‥‥orz」
三笠「まっ、次があるよ。」
宝鶴「そうよ。明日があるわ!」
三笠「ちなみに途中経過は?」
霜月「英語2と英語ライティングは死亡フラグで、漢文と古文は七、八割堅いくらいかな。」
宝鶴「ずいぶんと差があるのね‥‥‥」
霜月「漢文と古文、日本史、生物は大好きだけど、英語はマジで無理だし、数学も死亡フラグが立ってる。
現代文と政経は微妙かな。」
三笠「そういえば作者って数学が苦手だから文系にしたんだよね。」
霜月「うん、物理とか化学もダメだね。一回も平均を上回ったことがないよ。」
宝鶴「まあ、作者のテストのことは置いといて、次はいつ投稿するの?」
霜月「みて‥‥‥じゃなくて、多分来月上旬かな。」
三笠「結局元の木阿弥ね。」
霜月(今、ゲームにハマってるなんて口が裂けても言えないなぁ‥‥‥)
宝鶴「ほぅ‥‥‥それって何のゲーム?」
霜月「太平洋戦記2ってやつなんだけど、あれって難易度がハンパな‥‥‥しまった。」
三笠「作者‥‥‥ちょっとこっち来ようか?」
霜月「違うっ、断じて違うっ!!あれは太平洋戦争の勉強のために‥‥‥」
宝鶴「ほぅ‥‥‥言い訳はそれだけ?」
霜月「そうだ!僕はテスト勉強を!!」
三笠「それ無理♪」
宝鶴「あなたは朝○さんですか‥‥‥」
三笠「というわけで、次回は‥‥‥いつになるのかなぁ?」
宝鶴「ご意見、感想お待ちしています。」