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第十三章「迫る刻」

霜月です。

今回、本当に久々の更新で読者の皆様に本当に申し訳なく思っています。

言い訳etc.はあとがきにあると通りです。

今回、作品の投稿が大幅に遅れたので、次話を三日以内に投稿します。

さらに、できれば第十五章も今月中に上げられるように努力します。

中間試験とかいうのも現在進行形でありますが、そういうのは全てシカトしてでも次話は上げる所存です。

ですので、どうぞこれからも『カナタの幻想』をよろしくお願いします。

トラック環礁内にある夏島はトラックの行政の中心であり、そこには帝國人の入植者による市街地がある。

そこには「小松」や「南国寮」といった有名な料亭の支店があり、主に佐官以上の高級将校の宴会などに使われている。

その市街地から遠く外れた地下壕の前に一台の車が止まった。


「運転、ご苦労であった。」


後部座席に座っていた男は運転手である兵曹に礼を言って、車の外に出る。

もう12月なのにギラギラと照りつける太陽に一瞬顔をしかめながら、男は地下壕の中に入っていく。


男は蛍光灯の明かりとコンクリートの壁以外には何も見えない通路を歩く。

男の周りにはには誰もおらず、ただ男の足音だけが狭い壕に反響する。

男がしばらく通路を歩くと、衛兵の詰め所が見えてきた。


「失礼ですが、身分証の提示をお願いします。」


男が詰め所の前に着くと、准尉の階級章を付けた衛兵が男に敬礼してきた。

男はすかさず衛兵に答礼をする。


「うむ、任務ご苦労。これでよいか?」


男はそう言ってポケットから身分証を取り出す。


「‥‥‥どうぞ、ではお行き下さい」


男の身分証に不備がないことを確認した衛兵は、男に身分証を返して敬礼をする。


「うむ、ご苦労。」


男は衛兵に答礼をしながら通路のさらに先へと向かう。

途中、通路は何回かの分かれ道があるが、男はよどみない足取りで目的の場所へ向かう。

通路の行き止まりには一つだけドアがあり、男は躊躇なくドアを開ける。


「済まない、大分遅れたようだ。」


男がそう言って頭を下げると、部屋の中にいた者全員が彼に敬礼をする。


「いえ、長官。時間丁度です。」


参謀飾緒を付けた男の内の一人が腕時計を見ながら言う。


「そうか‥‥‥だが、私が一番遅かったようだな。済まなかった。」


「‥‥‥長官、それよりも一秒でも早く会議を始めましょう。

我々には時間がありません。」


「そうだな‥‥‥宇垣君、現在の米太平洋艦隊主力の動向は?」


山本はすぐに思考を切り替えて米軍の最新情報を尋ねる。


「はっ、依然つかめておりません。潜水艦の哨戒網にも、マーカス(南鳥島)やマリアナ、クェジェリン、そしてここの哨戒網にも掛かってないそうです。」


「そうか、では機動部隊‥‥‥いや、『本当の』主力は?」


山本は米機動部隊をわざとそう言い直した。

この戦争の『本当の』主役は戦艦ではなく、浮かべる航空基地‥‥‥つまり航空母艦であるということを言外に強調していた。


「二日前に『伊−49』が発見して以来、未だに見つかっておりません。

ですが、敵艦隊がここかマリアナに来ることはほぼ疑いようがないでしょう。」


「そうだな‥‥‥本当にそうなればいいが。」


山本は後半を小さくつぶやいたが、その呟きは誰にも聞こえなかった。


「長官、いくら米艦隊が捕捉できないとはいえ、一週間以内に来寇するのは必至でしょう。

すぐにでも決戦体制を発令すべきではないのですか?」


宇垣が山本に進言する。


「それもそうだな‥‥‥だが、それは後でやっても遅くはない。

今は会議に集中すべきだろう。」


「わかりました。では、これより最後の作戦会議を説明を始めます。

まずは‥‥‥」


宇垣はそう前置きしてから今回の作戦を淡々と語る。

その場にいる参謀たちはそれを既に何度も聞いてはいたが、嫌な顔一つせずに真剣に聞いている。

そして、彼らは今から早くても二日後‥‥‥遅くても一週間以内に起こるであろう歴史的な戦いに想いをはせ、改めて自分の役職の重さに気づいて思わず身震いするのであった。


「‥‥‥というわけで、以上が作戦内容です。なにか質問は?」


『‥‥‥』


その場にいる全員は全てを了解していると言わんばかりの目で宇垣の方を見つめている。

宇垣は幕僚たちの態度に大きく頷いて山本のほうを見る。


「よし、これにて最後の作戦会議は終わりだ。以降、各自の役職でより一層の奮励努力を期待する。」


山本のその一声とともに立ち上がると、全幕僚もそれに続き、敬礼をする。


「通信参謀、貴官は連合艦隊の全艦と防衛省に通達!

文面は《連合艦隊ハ之ヨリ決戦体制ニ移行ス》だ!」


「はっ!!」


「補給参謀、貴官は今一度艦艇の残存燃料の確認を急げ!

万が一でも燃料切れの艦を出してはならん!」


「了解っ!!」


「航海参謀、貴官は‥‥‥」


山本は矢次ぎ早に参謀たち命令を下していく。

参謀たちは各々の書類を持ってある者は通信室へ、ある者は海図室へというように散っていく。


そして数分後、会議室に山本と宇垣の二人が残された。


「本当に‥‥‥これでよいのですな、長官。」


「ああ、問題ない。既に采は投げられた。

‥‥‥宇垣君、こんな言葉を知っているか?

『時計の針は元には戻らない。だが、自らの手で進めることはできる。』

この言葉のとおり、我々はこの先何があろうと進まなければならないのだ‥‥‥

たとえ、どんな犠牲を払おうとな‥‥‥」


山本がそう呟いたのを最後に、二人の間に沈黙が降りた。




連合艦隊の首脳が会議をしていたころ、夏島の南にある竹島の飛行場では『瑞鶴』戦闘機隊所属の陣風16機が今まさに飛び立とうとしていた。

それだけなら普段の訓練飛行と何ら変わりがないが、今回の飛行はあることが違っていた。

それは‥‥‥


『こちら菅野一番、全機準備よし。これより二航戦の新米共の訓練飛行を行う。どうぞ。』


無線機から菅野少佐のハリのある声が聞こえてくる。


『竹島第一管制塔了解、全機離陸せよ。どうぞ。』


『菅野一番了解。これより離陸を開始する!』


菅野は言葉を発するのと同時に離陸を開始する。

それに続いて離陸していくのは、普段彼の二番機を勤めている沢渡二等飛行兵曹ではなく、二ヶ月前に『蒼鳳』戦闘機隊に配属された狭霧一等飛行兵である。

16機の内の半分がベテランの士官や准士官、下士官で構成されており、もう半分が新米搭乗員である。


彼方は今回の訓練で一個小隊‥‥‥つまり陣風四機の指揮を任されている。

今回の分隊のペアは新人の崎山少尉だ。

彼は二ヶ月前に士官学校を卒業したばかりだが、その割に非常に腕がよくてこれからが期待できる新人である。

彼方の指揮下にある第二分隊のメンバーは、彼方の普段の列機である笹原二等飛行兵曹が長機を務め、二番機は新人の時田一等飛行兵曹である。


さて、そうこうしているうちに彼方が離陸する番がやってきた。

彼方は前に離陸した新人の危なげない挙動を見て、新人にしてはなかなかやるな、と思った。

彼らの飛行時間はまだ三百時間と少しといったところだが、その割には難なく離着陸をこなしている。

彼方は前の機が滑走を始めた後、自身も離陸すべく車輪のブレーキを解除した。



さて、全機が離陸し終わって編隊を組むと、いったん環礁の外縁部に沿って飛行を始めた。

そして、直径数十キロもある環礁を下に見ながら訓練空域である七曜諸島の上空に向かう。

新人は最初こそ普通に編隊を組んでいたのだが、時間が経つにつれて次第に編隊が乱れてくる。

つまり、規定の機間距離をしっかり保っているベテラン組に対し、新人たちはそれが上手くできていないので、非常に奇妙な編隊になっているのである。


『おい、新人共!!さっさと編隊を纏めないか!!』


そうなるとすかさず菅野の罵声が飛んで、新人たちは慌てて編隊を立て直す。

だが、しばらくするとまた編隊が乱れ始めてまた菅野の罵声が飛ぶ、ということを何度か繰り返すうちに、編隊は七曜島の上空に辿り着いた。

すると、菅野は右に旋回ながらバンクを振って編隊を纏め始めた。


『こちら菅野一番、これより訓練を開始する。

まずは編隊空戦の訓練だ!全機、俺に付いてこい!』


菅野機はバンクを振って大きく左に旋回する。

そして、後続の機も編隊を保ったまま旋回を始めたのであった‥‥‥




三笠「‥‥‥」


宝鶴「‥‥‥作者、何か言うことは?」


霜月「読者の皆さん、本当にすみませんでした。」


三笠「で、どうしてこんなことになったの?」


霜月「実は、GW直前にPCの小説のプロットがある方のハードディスクがぶっ飛んでしまい、三日前まで修理に出してました。」


三笠「で、あんたはどうして陸奥先生みたいに暫定版とかださなかったのよ?」


霜月「だってプロットがないから‥‥‥ぐえっ!!」


三笠「あぁん?ちょっと面貸しなさい‥‥‥なに、すぐ終わるわよ(ニヤリ)」


宝通「読者の皆様、こんなダメ作者で申し訳ないです。

罰として作者は三日以内に次話をあげさせますので。」


霜月「ええっ!?それはむり‥‥‥」


三笠「できるよね〜?」


宝鶴「作者なら余裕よね〜?」


霜月「無理じゃないですっ!!」


三笠「だそうなので、どうぞ楽しみになさって下さい。

こんな作者でも応援してくださるという寛大な方はぜひ感想欄に感想を書いて送ってくださいね☆」


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