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第十二章「運命の出会い、そして再開」

どうも、霜月です。

部活関係がいろいろ忙しかったので約一月半ぶりの更新となってしまい、申し訳ありません。

まだまだ部活の行事ラッシュが続くので、なかなか更新できないと思いますが、これからもよろしくお願いします。


《キャラクター紹介》

土佐

所属 

大日本帝国海軍第一艦隊第三航空戦隊

年齢 

17歳(1941年12月8日現在)

誕生日

3月3日

身長

138cm

外見年齢 

11歳


現役の正規空母では日本最古参の艦魂。

いつも元気いっぱいで艦魂たちのムードメーカー。

妹の加賀にはその子供っぽい身長と体型をよくからかわれており、本人もそれがコンプレックスになっている。

外来語が苦手。


加賀

所属 

大日本帝国海軍第一艦隊第三航空戦隊

年齢 

17歳(1941年12月8日現在)

誕生日

3月31日

身長

176cm

外見年齢 

19歳


土佐の妹。

よく姉の土佐をからかっているが、誰よりも彼女のことを心配している。

その男らしく凛々しい姿から多くの艦魂に慕われている。

よく「姉様」「姉御」などと呼ばれているが、本人はあまりその呼ばれ方が好きではないらしい。

彼方を軍人として尊敬しているが、僅かながら恋愛感情らしきものも持っている。

トラックの夏島飛行場に一機の九七式双発輸送機が着陸しようとしている。

機体は何の危なげも無くアプローチに入り、滑走路に着陸しようとする。

その着陸は驚くほどの静かさで、機内の人々に殆どその瞬間を感じさせないものであった。


(なかなか上手いじゃない。)


機内の一番前の席に座っていた女性は、機長の腕に対しそう評価した。


機体はしばらく滑走した後、指揮所から少し離れたところで停止した。

それに合わせて機体後部のドアが開き、そこからタラップが降ろされる。

そこからは整備特技章を付けた兵たちがぞろぞろと降りてゆく。


「ふぅ、やっと着いた。まったく、内地は冬なのにここって暑いわね。」


彼女は12月なのにギラギラと輝く太陽に、一瞬顔をしかめて輸送機から降りた。


(そういえば、この機長って民間から徴用されたんだっけ。どうりで着陸が上手いはずだわ。)


彼女はふと、そのことを出発前に聞かされたのを思い出した。


輸送機から降りると、彼女は真っ先に駐機場とハンガーを見渡す。

そこには数十機の『陣風』が並んでおり、それぞれに整備兵が取り付いて整備を行っていた。

彼女はそれらを見ながら着任報告をするために指揮所に向かう途中、『陣風』の列線に見知った機体を探す。

だが、そこには彼女が求める機体は無かった。

彼女は少しだけ落胆しながら再び指揮所への道を歩き出す。


と、その時。


4機の『陣風』が彼女の上を見事な編隊を組みながらフライパスした。

彼女は制帽が飛ばされないように抑えながら、『陣風』の小隊長機の機体番号を読み取る。

それを見て笑みを浮かべた彼女は、指揮所への道のりを急ぐ。


飛行機から降りた中で一番最後に到着した彼女は、指揮所の前で待機していた兵たちと合流する。

彼女らの前には、この基地の司令官である小園中佐が凛とした姿勢で立っていた。

彼女は全員が揃っている事を確認すると、姿勢を正して着任報告を始めた。


「横須賀航空隊第一分遣隊整備班、敷島中尉以下18名は只今をもって夏島飛行場に着任します!」



トラックの艦隊用の泊地では、到着した第一艦隊の艦魂たちが『長門』の甲板に集合していた。

彼女らはすでに着任式を終えており、久しぶりに会った第二艦隊の艦魂たちと雑談をしている。


「久しぶりね、伊予。」


第一艦隊の旗艦を務めている伊予に話しかけたのは、彼女の先輩である長門であった。


「はい、長門さんも元気で何よりです。」


伊予も顔を輝かせて長門と握手をする。


「ありがとう。で、来て早々仕事の話で悪いんだけど、一航戦(『大鳳』『稜鳳』)と二航戦(『蒼鳳』『准鳳』)の搭乗員は使い物になるの?」


お喋りが好きな長門が雑談を抜きにしてまで聞きたかったのは、つい最近に開隊したばかりの一航戦と二航戦の航空隊の練度であった。

いくら大鳳級の竣工に合わせて海軍が予備の艦載機部隊を編成していたからとはいえ、それでもわずか数ヶ月で400機以上の搭乗員を揃えるのは不可能であった。

そのために、搭乗員育成学校を出たばかりの者や空軍から転科した搭乗員が、一航戦と二航戦の航空隊の約半分を占めることになったのだ。


「う〜ん、微妙ですね。空軍出身の搭乗員はかなりいい所まできていますが、新米となるとまだまだですね。

一応、三航戦(『土佐』『加賀』)や四航戦(『蒼龍』『飛龍』)に協力を要請してベテランを指導に当たらせてはいるのですが‥‥‥」


伊予はそう言って言葉を濁す。

どうやら訓練の成果はあまり芳しくないようだ。


「そう‥‥‥もうすぐ四航戦も着く頃だし、第二艦隊の艦載機部隊とも合同で訓練を行わせたほうがいいわね。」


「そうですね‥‥‥それが妥当な選択でしょう。」


「じゃあ山本にはそれで話を通しておくわ。もっとも、彼も同じ結論でしょうけど。」


「わかりました。それでは、わたしは仕事があるのでこれで失礼します。」


「うん。それじゃあ、お仕事がんばってね。」


長門はやわらかい笑みを浮かべて伊予に手を振る。


「はっ、失礼します。」


「長門殿。」


伊予が消えた直後、長門は別の艦魂に話しかけられた。


「あら、加賀。私のことはお姉さんと呼びなさいっていつも言ってるでしょ。

戦艦に空母と艦種は違うけど元々私たちは同じ姉妹じゃない。」


長門は加賀の態度に呆れながらも、「姉妹」という言葉を強調する。


「はあ、では義姉上。」


加賀は渋々といった表情で従う。


「一文字余計だけどまあいいわ。で、何か用かしら?」


「先ほどのアクロをやった編隊について聞きたいんだが‥‥‥」


「ああ、あれね。『瑞鶴』の菅野少佐が勝手にやった事よ。

まあ、今頃は小園基地司令にこっぴどく叱られている頃だと思うわ。」


長門は困ったわ、と肩をすくめる。


「菅野少佐というと‥‥‥『あの』菅野か?」


加賀は「菅野」と言う言葉に反応した。

どうやら「菅野」と言う名前は帝國内ではかなり有名らしい。


「ええ、そうよ。五ヶ月前にたった8機で40機以上の敵機を全滅させたあの菅野少佐よ。

そういえば内地の新聞では馬琴の『八犬伝』になぞらえて『空の八犬士』とかいって騒いでいたわね。

まったく、あの『菅野デストロイヤー』には困ったものだわ。」


長門はぶつぶつと菅野少佐の愚痴をこぼし始める。


「そうか‥‥‥その事でなが‥‥いや、義姉さんに頼みごとがあるのだが‥‥‥」


加賀はいつもの癖で長門を名前で呼ぼうとするが、長門が怖い目で睨んだので言い直した。


「お姉ちゃん、あのね、加賀はその『あくろ』っていうのをやってたパイロットに一目惚れしたんだって。

しかも、その人は艦魂を見ることができるらしいんだって。」


「え゛‥‥‥」


土佐が誤解を吹き込むと、長門は口をあんぐりと開けて固まってしまった。


「まあ、一目惚れなのは絶対ありえんが‥‥‥とにかく彼に一度会いたくてな。」


どうやら誤解しているらしい姉の言葉を否定しながら加賀は長門に頼んだ。


「ああっ、加賀もとうとうそんな時期がやって来てしまったのね!

お姉さん寂しいわぁ‥‥‥」


いつの間にか復活した長門がよよ、と泣くまねをする。


「いや、だから違う『みんなー、加賀に好きな人ができたんだってー!』」


加賀がそれを否定しようとすると、土佐が誤解をさらに振りまく。


『えっ‥‥‥え〜っ!!』


「‥‥‥わたしは、いらない子なんだ‥‥‥」


加賀はだれも自分の話を聞いてくれないので、地面に《の》を描き始めた。


「おっ、お姉様。これはどういう事ですか!?」


「わっ、わたしというものがありながら‥‥‥責任取って下さい!」


「ああっ!お姉様の純潔が‥‥‥」


周りの艦魂たちは次々と加賀に詰め寄ってくる。


「だっ、だから違うと‥‥‥というより、わたしを‥‥姉と‥‥呼ぶなーっ!」


周りの艦魂が次々に加賀に詰め寄ってくるので、加賀は混乱して刀を抜いて振り回し始める。


「ほらほら、あんたは諌山家の養女じゃないでしょ?

とりあえず刀を納めなさい。じゃないと死人が出るわよ。」


長門が暴れる加賀を取り押さえる。


「はっ、わたしは何をしていたんだろう‥‥‥つい混乱したからといって刀を振り回すとは‥‥‥」


加賀はしまった、といったような顔をする。

そして、部屋の隅っこに行って体育座りでぶつぶつと何事かをつぶやき始めた。


「う〜ん、落ち込んでいるお姉様も可愛いわぁ。」


下士官服を着た艦魂がうっとりとした表情で加賀を見つめている。

他にも数人の艦魂が同じように加賀を見つめている。


「ちょっ、バカッ!駆逐艦、吉野姉さんたちをさっさと連れ去りなさい!」


下士官服を着た艦魂が慌てたように駆逐艦の艦魂たちに命令する。


『了解!』


加賀を見つめていたた艦魂たちは、どこからともなく現れた駆逐艦の艦魂たちに強引に連れて行かれてしまった。


(九頭竜、助かったわ。)


(いえっ、わたしは長門様のためならたとえ火の中水の中。どんなことでもする所存であります!)


(ふふふっ、ありがとう。)


長門は九頭竜と呼ばれた少女と謎のアイコンタクトを交わすと、いまだに《の》を書き続けている加賀の方に向き直った。


「まあまあ、さっきのことは気にしなくていいわよ。で、加賀はその『瑞鶴』の搭乗員に会いたいんでしょ?」


と長門が言うと、加賀はぱっと起き上がった。


「そういえばそうだった。義姉上は何か心当たりがあるのか?」


「まっ、まあね。あなたが会いたい人には心当たりがあるから後で連れて来るわ。」


加賀の勢いに長門は若干引き気味に答えた。


「本当か?ありがとう、義姉上!」


加賀は嬉しそうに長門の手を握る。


『‥‥‥(姉様に触るな!)』


周り(加賀の崇拝者)からの無言の圧力に、長門は冷や汗を浮かべながら加賀の手を握っていた‥‥‥




「で、僕はどうしてここにいるんだい?」


彼方は眠そうに欠伸をする。

ちなみに、今は午後11時である。

彼は就寝中に無理やり瑞鶴にたたき起こされてここに連れて来られたのだ。


「‥‥‥長門さんの命令。」


瑞鶴は淡々と答える。

だが、彼女はさりげなく彼方と手を繋いでおり、彼女の頬は少しだけ桃色に染まっている‥‥‥様に見える。


「‥‥‥あのさ、僕はそろそろ寝ないといけないんだけど。」


「‥‥‥だめなの?」


瑞鶴は彼方を上目遣いで見つめる。

その目は潤んでおり、行かないでと訴えている‥‥‥ように見える。


「いや、だめって訳じゃないんだけど‥‥‥」


「あっ、瑞鶴!こっちこっち!」


彼方が困っていると、一人の士官服を着た艦魂が瑞鶴を呼んでいるのが聞こえた。


「あの、あなたはどこの艦魂ですか?」


「はじめまして、わたしは『長門』の艦魂よ。」


長門はそう言って手を差し出す。


「どうも、僕は山城彼方です。よろしく。」


彼方は長門の手を握る。


「自己紹介も終わったことだし、ちょっとあなたに会わせたい人がいるのよ。」


すると、瑞鶴が長門の制服の裾を引っ張る。


「ん?ああ、瑞鶴へのお礼はあそこに用意してあるからね。」


「‥‥‥分かった。」


長門が指差す方向を見ると、そこには料理の山がうず高く積まれていた。

瑞鶴は彼方に見向きもせずに料理の山に向かっていく。


「こういう事だったんですか。どおりで瑞鶴があんなに真剣だったん訳ですね。」


彼方はジト目で長門を睨む。


「え〜っとそうそう、あなたに会わせたい人がいたっけ。ほら加賀、こっちに来て!」


「ああ、分かった。」


「きっ‥‥君は!?」


彼方は驚いたように加賀を指差す。


「うむ。貴様と直接話すのは初めてであったな。わたしの名は加賀だ。よろしくな。」


そう言って加賀は彼方に握手を求める。


「あっ、ああ、うん。僕は山城彼方っていうんだ。よろしく。」


彼方は動揺しながら加賀の手を握り返す。


「さて、お邪魔虫はこれで退散と行きますか。」


長門はじゃあね〜、と笑いながら消えてしまった。

残された二人は戸惑ったようにお互いを見つめ合う。

そして、二人の間に沈黙が降りた。


「そっ、そうだ!山城の活躍はなが‥‥いや、義姉上から聞いておるぞ。

なんでもあの『八犬士』の一人だっていうではないか。」


「‥‥‥ごめん。悪いけどその話はしたくないんだ。」


彼方はすまなさそうな顔で謝る。

どうやら、加賀は地雷を踏んでしまったようだ。


「そうか‥‥‥すまないことをしたな。」


加賀はしゅん、とうなだれる。


「いや、いいんだ。それより、あの時いたもう一人の艦魂はどこにいるんだい?」


彼方はこの空気を何とかするために、あの時に見たもう一人の艦魂について聞いてみた。


「姉上のことか。姉上なら今ごろ‥‥‥」


と加賀が続きを言おうとすると、土佐はいつの間にか加賀の隣に来ていた。


「あれっ、この人って加賀がひと‥‥‥ひぎいっ!?」


「あ〜ね〜う〜え〜、誤解を招くことを言うなとあれ程言っただろうがぁ〜」


加賀は殺気を放ちながら土佐の腕を思いっきり握っており、彼女の細い腕はミシミシと不気味な音を立てている。


「ごっ、ごめんなさいっ!もう絶対言わないからっ!だから、腕をっ、腕を離してっ!」


加賀は邪悪な笑みを浮かべると、彼女の腕つかんだまま普通とは逆の方に曲げ始めた。


「痛い痛い痛い痛いっ!!ギブギブギブギブっ!!腕はそっちには曲がらないーっ!!」


「‥‥‥加賀、離してあげなよ。」


さすがに見るに見かねた彼方が救いの手を差し伸べる。


「むっ、山城がそういうなら‥‥‥」


加賀は渋々といった表情で土佐を掴んでいた腕を放す。


「痛たたた‥‥‥もう、そんなんだから加賀は女にしかモテな‥‥‥」


「ほぅ、姉上はまたお仕置きして欲しいのか?」


土佐がそこまで言いかけると、加賀は再び邪悪な笑みを浮かべてバキバキと手を鳴らし始めた。


「おっ、お兄ちゃん助けてっ!!」


土佐は咄嗟に彼方の後ろに隠れる。


「ほらほら、二人ともやめなよ。というかお兄ちゃんって僕のこと?」


「えへへっ、だってお兄ちゃんって感じがするんだもん。」


土佐はそう言って彼方の腕に抱きついた。

彼方はその感触に少しだけ頬を赤らめる。


「こら姉上、山城が嫌がっているだろう。」


「別に僕は構わないんだけど‥‥‥」


「ほらっ、お兄ちゃんはいいって言ってるよ。」


「すまないな。こんな姉だが、面倒を見てくれるとありがたい。」


「ああ、別に構わないよ。」


「む〜っ、面倒を見るってわたしが子供だってこと?」


土佐は頬を膨らませながら加賀を睨む。


「まあ、そういうことだな。なんなら一度、自分の体をよく見つめてみたらどうだ?」


加賀は土佐の体を上から下までまじまじ見つめて、意味ありげな笑みを浮かべる。


「ふんっ!どうせわたしは幼児体型だし発育が遅いですよっ!」


そう言って土佐はぷいっと横を向く。


「ははは‥‥‥ところで、他の艦魂はいないの?」


「ああ。彼女らは会議をしていたり自室で休んでいる頃だろう。」


「そうなんだ。じゃあ、今度彼女たちを紹介してもらってもいいかな?」


「ああ、構わないぞ。」


くいくい


彼方は誰かに裾を引かれたので振り向くと、そこには瑞鶴が立っていた。


「ん?もう料理を食べ終わったの?」


「‥‥‥(コクリ)」


彼方が先ほどのテーブルを見てみると、あれ程大量にあった料理が跡形も無く消えていた。


「そっか。瑞鶴、悪いけど宿舎まで戻してくれないか?」


「‥‥‥(コクリ)」


「なんだ、もう行ってしまうのか。」


加賀は少し残念そうだ。


「加賀はさみし‥‥‥なんでもないです。」


土佐が何かを言おうとするが、加賀の一睨みで沈黙する。


「僕は明日の訓練があるからね。さすがにもう寝ないとまずいよ。」


彼方が時計を見てみると、すでに12時を過ぎていた。


「そっか‥‥‥じゃあ、また会おうねっ!」


「また会おう。」


「うん、また今度ね。」


瑞鶴は三人が挨拶を言ったのを見届けてから彼方を宿舎まで転移させた。



「‥‥‥ごめんなさい。」


彼方は宿舎の前で別れの挨拶をしようとした時、瑞鶴が唐突に話しかけてきた。


「えっ、どうしたんだい?」


「‥‥‥山城さんが寝ていたのを起こしてしまったから謝ろうと思って。」


瑞鶴は少し俯きながら言う。

彼方はそれを見て可愛いな、と思う。


「なんだ、そんなことか。別に気にしなくていいよ。いろいろな艦魂と仲良くなれたしね。」


彼方はそう言って瑞鶴の頭を撫でる。

瑞鶴は気持ちよさそうに、されるがままにしている。


「‥‥‥うん、ありがとう。」


と、わずかに微笑んだ。


「あのさ‥‥‥!?」


彼方はさらに瑞鶴に話しかけようとすると、後ろからものすごい力で肩を掴まれた。


「山城くんっ♪なぁにしてるのかなぁ〜?」


「そっ、その声はっ‥‥‥!!」


彼方は知っている女性の声に恐る恐る振り向いてみると、そこには横須賀にいるはずの晴香が立っていた。


「さぁて、モテモテの山城さんは何をしていたのかしらぁ〜?」


晴香は肩に置いていた手の力をさらに加える。


「いやっ、僕はなにも‥‥‥いだだだっ!!」


「へぇ〜‥‥‥こんな年端もいかない女の子と、こんな夜遅くにいることが何でも無いのかしらぁ?

あっ、でもあんたはロリコンだからいいのかなぁ?」


晴香は笑顔で問いかけるが、絶対零度の視線で彼方を睨んでいる。

彼方はその視線に怯えながらも、なんとか抵抗を試みる。

だが、晴香には全く歯が立たないばかりか、逆に腕の力を強められて彼方がギブアップ寸前だ。


「‥‥‥やめて。山城さんが嫌がってる。」


彼方が限界に達しようとしたとき、瑞鶴が晴香の腕を取る。


「ん?そういえばあんた誰よ。」


晴香は彼方の肩を鷲掴みにしながら、瑞鶴にも強烈な殺気を放つ。


「‥‥‥わたしは瑞鶴。」


「ずいかく?あんた、まさか芸者!?

今時の芸者にはコ○プレとかが流行ってるの!?」


晴香は顔を真っ赤にしながら、途轍もない勘違いを披露する。


「違うってば!彼女は艦魂だよ。」


「あんたは黙ってなさい‥‥‥!!」


晴香はさらに手に力を込める。


「いだだだっ!!」


「‥‥‥山城さんが言ってることは本当。」


瑞鶴は真っ直ぐに晴香の目を見つめる。


「うそ‥‥‥じゃあ、こいつはあの?」


「そうだよ。彼女は『瑞鶴』の艦魂だよ。」


晴香は彼方に言われてまじまじと瑞鶴を見つめる。


「ふ〜ん、なるほどね‥‥‥噂には聞いていたけど本当にいるとは思わなかったわ。」


ぷにぷに‥‥むにゅっ


「‥‥‥何やってるの?」


晴香は瑞鶴の頬をつついたりつまんだりしている。

瑞鶴は迷惑そうな顔だが、なすがままにされている。


「いや、彼女の頬がこんなにやわらかくてぷにぷにしてるのに、限られた人しか見ることも触ることもできないなんて不思議だな、と思ってね。

彼女の存在がまるで幻なんじゃないか、って感じちゃったのよ。」


(幻か。それは‥‥‥)


「‥‥‥ところで、山城。覚悟はできてるでしょうね?」


彼方が考え事をしていると、晴香が再び殺気を振りまいていた。


「あっ、あそこに牧野さんが!」


彼方は晴香の唯一の弱点である牧野大尉の名前を出す。

思わず晴香は直立不動で固まってしまう。


「えっ、うそっ!?‥‥‥って、よくも騙したわね〜!」


晴香が固まっていた隙に彼方は逃亡する。


「待て〜っ、待ちなさ〜い!」


「絶対嫌だ!殺されるっ!」


こうして二人の追いかけっこは明け方まで続いていた。

それは、二月ほど前の横須賀では毎日繰り広げられていた光景であり、久々の日課(?)に二人の顔はどことなく輝いているようであった。

瑞鶴はそれを見て、静かに笑みを浮かべていたのであった‥‥‥


??1「早く本編に出してくれないかな〜」


??2「ほんま、うちら暇やな〜」


??3「せっ、仙龍さん!暇とか言ってないではやくその手をどけてください!」


仙龍「え〜、だって琵琶をいじってるの楽しいんやもん。」


琵琶「だっ、だからって、そんな‥‥‥ひゃん!」


翔龍「はいはいお二人とも仲がおよろしいようで。それにしても何でわたしたちがここにいるの?」


仙龍「ああ、作者は更新頻度が遅すぎるから艦魂たちに処刑されてるんや。それで、三笠はんや宝鶴がいないんや。」


琵琶「そんなこと言いながらわたしの胸を揉まないで下さいっ!」


翔龍「はいはい、ご馳走様。まあ一月半放置してたから無理ないよね。

そういえば今日って陸軍記念日だっけ?」


仙龍「ウチは陸式には興味あらへんから知らへんわ。」


琵琶「って、右手に持ってる陸軍の制服は何ですか!」


仙龍「ん?ウチは何のことか分からへんわ。ほら、さっさと脱いでこれを着るんや!」


琵琶「やっ、や〜め〜て〜!!」


翔龍「はぁ‥‥‥結局こういうことになっちゃうんだね。キャストの選考ミスったんじゃないのかなぁ?」


仙龍「ふふふ‥‥‥おとなしくぬぎぬぎするんやでぇ〜」


琵琶「ひぃっ!誰か助けて〜!」


翔龍「ご意見・感想まってます。はぁ‥‥‥帰ってみ○みけでも見よっかな。」


琵琶「ちょっと、翔龍さんっ待っ‥‥‥んひぃ!」


仙龍「つかまえたっ♪さ〜て、おとなしく着替えるんやでぇ〜」


琵琶「キャーー!!」


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