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2章3節 重力波の衝撃(9)

ロンが同意するような表情で目を合わせると、アテンは話を続ける。

「そのブラックホールの先には子宇宙があり、光子やエネルギーが吹き出ている。この宇宙から出て行った光子やエネルギーは、無数の子宇宙の中に現れているはずだ」


さらに、アテンの話は続く。

「実際、我々の宇宙の源から膨大な光子やエネルギーが吹き出しているから、我々の宇宙は膨張し続けている。従って、我々の宇宙は何らかの親宇宙から生まれた子宇宙の一つということになる。この増加するエネルギーのことを我々はダークエネルギーと呼んでいる」


「すごい、僕たち地球人の科学より進んでいるなあ。あなた達は豊富な知識と科学的思考力を持っているんですね」

ロンはアテン達の能力に憧れの気持ちを抱いたようだ。


「いや、あなた達が通ってきた影宇宙のことを我々の科学者達は知らないから、我々の科学が格段に進んでいるとは言えない。もう少し地球の科学について話してくれないか?」

アモンはヒロ達を宇宙船の奥に案内しようと歩き出した。


「あー、僕たちは急いで地球に戻らなくてはならないんです。でも最後に一つだけ、重力波について教えてくれませんか?ダークマターは光を通さないけど重力波には反応するのですか?」

ヒロがアモンに問いかけた。


「ダークマター(暗黒物質)は、宇宙に存在する物質の80%以上を占めていることは知っているかな?物質とは全ての銀河や宇宙空間に存在する原子、そしてダークマターのことだ」

アモンに代わってアテンが基本的な説明を始める。


「星や銀河は遠くにあっても光や電波を反射するから、望遠鏡で見ることができるけど、ダークマターはどうやって観測すれば見えるのか分かりますか?」

ロンがアテンの説明の続きを聞きたがる。


「ダークマターは光子や電子に反応せず、重力のみに反応する物質だ。誕生直後の宇宙では、ダークマターの重力に引き寄せられて通常の物質が集まり、ここから星や銀河が作られて、後の時代の惑星や生命の誕生にもつながった。ダークマターは重力に反応するから、重力波を観測すればダークマターを観測できるが・・・」


アテンの説明が長くなりそうと感じたマリが、アテンに近づいてほほ笑みかけた。

「重力波の衝撃は恐いと思ってたけど、なんともなかったわ。私たちは急いでヒロのお母さんの所に行かなきゃならないから、影宇宙に戻ります。ありがとう、皆さん」


「それは残念だ。もっと地球のことを教えてもらいたかった。皆さんが通ってきた影宇宙のことも知りたかったけど、長々と引きとめる訳にはいかないな」

ヌトがヒロ達を名残惜しそうに見つめる。


ヒロが天を見上げると、タリュウたちが影宇宙から顔を出した。


「じゃあ、宇宙船の皆さん、色々教えてくれてありがとう。さようなら」

ヒロ達は影宇宙に戻って行った。


<「2章 4節 アトランティスと古代エジプト」に続く>


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