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2章3節 重力波の衝撃(5)

「なるほど。でも、なぜ戦艦が出撃してきたのかなあ?タリュウ、少しだけ過去にもどってくれないか?」


ヒロの言う通りにタリュウが影宇宙の中で上昇すると、宇宙の中の戦艦は惑星チイにもどって行く。


ヒロの千里眼には、百機ほどの戦艦が戻って行った惑星チイの指令本部らしき建物が見えている。さらに、その中で議論している二人の指導者の声が聞こえる。


「アモン、もう限界だ、トイのアテンが我々の説得に応じなければ攻撃せざるを得ない」


「待て、ホルス、トイにはヌトがいる。アテンはロボットだが、ヌトは我々と同じチイ人だぞ」


ホルスは、トイ星を支配するためには攻撃する必要があるというチイ星の指導者。

一方、アモンは、トイ星を攻撃せず説得する方が良いと主張するチイ星の指導者だ。


「わかった、アモン、もう一度トイのヌトとアテンを説得してくれ」


すぐにチイ星からトイ星に交渉要請の連絡が入った。

そのトイ星の指令本部にいるヌトとアテンは、遠隔通信手段を使って応答している。


「ホルス、アモン、何度も言っているように、我々トイ人はチイ人の支配は受けない」

トイ星に住み着いて開拓しているヌトは、チイ人と戦わず独立するというチイ人だ。


「ヌト、何を言っているんだ。チイ人全員が将来トイ星に移住するために、開拓しているんだろう?我々はトイ星を支配するとは言っていないぞ」


チイ星のアモンは、平和的にチイ人全員がトイ星に移住できると考えていた。


「アモンは支配しないと言っているが、ホルスはどうなんだ?我々はトイ星に移住して来るチイ人に指導されたくないのだ」


アテンは天才的な人工頭脳を持つトイ星のロボットであり、交渉が決裂すれば戦ってでも独立すると主張している。


「アテン、我々チイ人はトイ星を支配しないし、指導するつもりもない。ただ、トイ人とチイ人が別々の国を造ることには賛成しない」


チイ星のホルスは、トイ星に移住した後は、多数派のチイ人が指導者になるべきだと考えていた。


「ホルス、多数派のチイ人と少数派のトイ人が一つの国の中で主導権争いをするより、最初は別々の国を造って平和的に共存すべきだろう」


ホルスがトイ星を支配したがっていることを知っているヌトは、何とかしてホルスを説得しようと試みた。


トイ星を開拓中のヌトがチイ人の立場からトイ人の立場に変わってしまったことに怒ったホルスは、チイ星のアモンに目配せして無言で交渉の場から立ち去った。


「ホルス、まだ話は終わっていないぞ・・・」

チイ星の指令本部の中で、アモンが小声でホルスを呼び止めた。


ホルスが立ち去ったことは、直ちにトイ星の指令本部にいるヌトとアテンに伝わった。


「ホルスは何をする気だ?アモン、ホルスはどこに行ったんだ?」

トイ星のヌトは、最悪の事態を避けようとチイ星のアモンに呼びかけた。

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