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2章2節 オリンポス惑星の住人(5)

「オリンポス惑星に到着する前に、大事なことを説明しておこう」

みんなの耳に、父親シュウジの声が聞こえる。


「この惑星は地球の約二倍の大きさで、北極と南極の周辺以外は気温がかなり高い。この惑星は一つの巨大な恒星、オリンポスの太陽の周りを回っている。オリンポス惑星の自転速度は地球の二倍なので、この惑星の一日は地球の一日より時間が短い」


「じゃあ、オリンポス惑星の住人の寿命は、地球人より短いの?」

ヒロが素朴な疑問を口にすると、シュウジの声が答える。


「そうとは言えない。我々の宇宙の中の光の速さは一定だから、どの惑星でも時間の進み方は同じだ。つまり、この惑星の一日が地球の一日より短くても、住人の寿命は同じくらいかもしれない。」


「うーん、そのことはよく分からないけど、オリンポス惑星の住人は、地球人に似ていますか?」

マリがギリシャ神話の絵を思い浮かべて質問すると、シュウジが答える。


「オリンポス惑星の住人の外見は地球人に似ているが、四本の腕を持つ人種が多い。身長は人によって二メートルから三メートルで、人種による違いが大きい。男女による身長差はないようだ。頭が大きく、長い胴から四本の腕が出ている。二本の足は太くて短い。」


四本の腕にはみんな驚いたが、ケンの反応は違った。

「荷物が多い時に手が足りないって思うから、四本あれば便利だなあ」


「少数派だが、腕が二本で足が四本という人種もいる。それは、胴体と足が馬のようで、胸から頭が人間のように見える。また、腕が二本、足も二本という人種は、奴隷として支配されていた時代があった。地球の古代ギリシャのようだ。しかし、奴隷時代が過ぎると、美しい人種として人気が出たんだ」

シュウジが話しているうちに、オリンポス惑星が目の前に近づいた。


「この惑星のどこに行けば、デウスに会えるの?」

ヒロが問いかけると、シュウジが答えた。


「過去のオリンポス惑星には多くの国があって、相互に争ったり協力したりしていたが、長年かけて一つの国になった。デウスとは一人の人物ではなく、オリンポス国の代表者(大統領のような指導者)の呼称だ。人望・人格・心身の能力に優れた複数の候補者が十年に一度の選挙によって選出されるんだ。ヒロたちがオリンポス惑星を訪問するということを、デウスだけに伝えてあるから、直接デウスの家に行きなさい」


みんなの目の前に、オリンポス惑星の陸地が近づいてきた。

大都市の緑地の中にある代表者公邸の真上から、四匹の竜たちが顔を出した。


*** この大きな建物がデウスの家だよ・・・

タリュウとジリュウは、デウスの家の中にケン、マリ、サーヤ、ミウ、カゲマルを送り出した。


*** デウスの家の玄関はキレイだよ・・・

サブリュウとシリュウは、ヒロ、サスケ、ハンゾウ、ロン、コタロウ、ヒショウをデウスの家の前に送り出した。


「あれ、ここで君たちは何をしている?」

警官たちが近づいて来る。

デウス公邸を警護している警官たちは、突然目の前に現れた少年と動物たちに驚いたのだ。


「しまった、デウス以外のオリンポス人に見つかってはいけないんだ」

ヒロがとまどっていると、ロンがとっさに説明を始めようとする。

「僕たちは・・・」


しかし、警官の腕が四本あることに驚いたコタロウが、声をあげて逃げ出した。

「おーい、コタロウ、逃げちゃだめだよー」

ヒロとサスケがコタロウを追いかける。

取り残されたロン、ハンゾウ、ヒショウも、後を追った。


「こら、待ちなさい。待てえー」

警官たちが追いかけたが、コタロウ、ヒロ、サスケに続いてロン、ハンゾウ、ヒショウも公邸の門の外に出てしまった。


「もう、警官たちは追っかけて来ないから大丈夫」

ヒロは、後から門の外に出てきたロンとハイタッチした。


「デウスの家のキレイな玄関を見たから、警官たちに見つかってしまったな」

ロンはコタロウ、サスケ、ハンゾウ、ヒショウに話しかけた。


「見ろよ、ロン、一人乗りのカプセル型の自動車がいっぱい走っているぞ」

目の前の広い道路を見て、ヒロが声をあげると、ロンは自動車の中を凝視して言った。

「どの自動車にもハンドルがない。みんな自動運転で走っているんだ」


一方、直接デウスの家の中に現れたケン、マリ、サーヤ、ミウ、カゲマルは、無事にデウスに会うことができた。

「オリンポス国へようこそ。君たちが現れるのを待っていたよ。しかし、聞いていた人数より少ないようだが、どうしたのかな?」


デウスが首をかしげると、マリが明るく答えた。

「この家の玄関がキレイだから、うっとり見ているんでしょう」


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