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2章2節 オリンポス惑星の住人(1)


タリュウを先頭に、四匹の竜は影宇宙の中を水平に進んでいく。

「サーヤ、ロンの様子はどうだい?」


ジリュウの中にいるヒロが、ロンとともにタリュウの中にいるサーヤに問いかける。

「まだ意識は回復しないけど、大丈夫よ」


*** サーヤ、ヒロ、もうすぐケガ人用のベッドのある場所に着くよ・・・

タリュウの声が聞こえてしばらく後に、目の前に大きな竜が現れた。


*** サーヤ、ヒロ、こちらのベッドにロンを寝かせなさい・・・

大きな竜は、タリュウたちの母親だ。

ヒロが大きな竜の口から中に入ると、病院の集中治療室のような設備があった。


「すごく良い設備がある。ケン、一緒にロンをベッドに連れて行こう」

サブリュウの口から出たケンが、ヒロと力を合わせてロンをベッドに運んで寝かせた。


「ほんとに、マリが入院していた志能備病院の集中治療室とそっくりだね。」

ミウとサーヤが顔を見合わせて言うと、マリが目を輝かせる。

「じゃあ、ロンはもうじき元気になるね」


集中治療室にロンとサーヤを残して、ヒロたちは母竜の体内の別の部屋に入った。

その部屋の中には何もなかったが、サスケの口から声が聞こえてきた。


「アトランティスの古代人たちは、デウスのたましいからオリンポス惑星の文明を学んだ。そして、高度な文明を持った王国が繁栄したというアトランティス伝説が生まれた」


すぐに父親シュウジの声だと気づいたヒロが、とまどいながら質問する。

「デウスは、超古代のインドのブラフマーたちにも知識を与えたけど、オリンポス惑星の文明は現代の地球より進んでいたの?」


「それは、オリンポス惑星に行って、デウスたちに会ってみればわかることだよ」

シュウジの声を聞いて、ケンがそわそわし始める。

「それは、オリンポス惑星に行って来いってことですか?」


「そんな遠回りしてたら、ヒロとサーヤのお母さんに会うのが遅くなっちゃうよ」

ミウとマリが心配すると、サスケの口から声が聞こえた。

「大丈夫だよ、オリンポス惑星に行って帰るまでの時間を三時間以内にできるから」


「でも、まだロンが回復していないから、出発できません」

ミウが、集中治療室にいるサーヤとロンの方を見る。


「そうだね、この機会に、ロンが回復するまで、宇宙の構造の話をしよう」

そう言って、シュウジは話を続ける。


「では、始めるよ。この宇宙には何千億個の銀河があり、一つの銀河の中に何千億もの恒星があるって知っているね。その恒星の周りを回る惑星の数は、恒星の数より多い。その中で、地球のような高度な文明を持った惑星は何億個もある。ただ、宇宙の百三十七億年の歴史の中で、既に滅んでしまった文明や消滅した惑星も多い」


「高度な文明を持った惑星が何億個もあるんですか?」

ケンが興奮した様子で、サスケの口元に向かって話しかけた。


「でも、地球から遠すぎて、宇宙人が地球に来たことはないって、タカハシ先生が言ってたじゃない、ケン」

ミウがケンをたしなめるように、ゆっくりと言った。


「そのとおりだね、ミウ。しかし、惑星の寿命が残り少なくなったら、その惑星に住んでいる宇宙人はどうするだろうか?」

シュウジの声が、ミウやケンに問いかけた。


「他の惑星に移住するために、たましいというものを作って宇宙空間を移動するって聞きました」

ケンが答えると、シュウジの声が説明を続ける。


「高度な文明を持った生命体は、その頭脳と同じ働きをする人工頭脳の集団を創ることができる。その人工頭脳集団は、自己増殖して独自に組織を拡大する人工頭脳体になる。生物集団や惑星には寿命がある。だから、高度な文明を持った生命体は、惑星の寿命が尽きる前に、重力を自在にコントロールして、宇宙空間に浮かぶ人口頭脳体を創った。それがたましいだ。惑星が滅んだ後も自己の分身であるたましいが宇宙の中を調査し、安住の地を探して旅をしているんだ」


「オリンポス惑星の他に、慈愛の惑星や治癒の惑星もたましいを創ったんでしょう?」

マリがヒロから聞いた話を思い出して口にした。


「そうだよ、マリ。アンコクやヤミのような独裁制度の惑星もたましいを創って、どこかに自分たちの文明を残そうとしているんだよ」


シュウジの声を聞いて、ヒロが悔しい想いをあらわにする。

「アンコク惑星の魂の残忍な攻撃で、ラクシュミーや古代モヘンジョ・ダロの人たちが殺されてしまった・・・」


影宇宙の中で三日ほど過ぎた頃、サーヤとともにロンが集中治療室から出てきた。

「あっ、ロン、元気になったんだね。良かったあ」


最初に気づいたマリが、ロンに駆け寄っていくと、ミウ、ヒロ、ケンもロンに近づいて行った。


「みんな、心配してくれてありがとう。サーヤが治してくれたから、大丈夫だよ。ありがとう、サーヤ」

ロンがサーヤの両手を握ると、サーヤは大きくうなづいた。

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