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9節 不思議な能力を持つ妹(10)

ヒロは、マリの視線の先にある神棚かみだなを見ているうちに、千里眼せんりがんの能力が勝手に高まって、遠い未来が見えたような気がした。


それは、何十億年も先の未来に、太陽が膨張ぼうちょうして人類が地球に住めなくなる時のことだ。


未来の人類は、オリンポス惑星のたましいと同じような浮遊脳ふゆうのう組織、つまり宇宙空間に浮かぶ頭脳のネットワークを造る。


その地球のたましいを造る場面に、ヒロの父シュウジがマリとともに現れた。


シュウジは、マリの天真爛漫てんしんらんまんな心が地球の魂の中心になるようにネットワークを造り始める。


「これは、天真爛漫なマリが地球の魂の聖母せいぼになるってことじゃないか!」


思わずヒロがつぶやくと、サーヤがヒロに問いかける。

「どうしたの、ヒロ・・・何が見えるの?」


「ああ、知らない所にいる父さんが見えたんだ。校長先生・・・父さんは今、どこにいるんですか?」


ヒロに問いかけられた校長先生は、困ったような表情でゆっくりと答える。


「さっきも言ったろう、ヒロ。あわてずに待っていれば、シュウジが君たちに教えてくれるとな。・・・そうじゃ、忍者高校のタカハシという物理の教師を知っておるか?」


「いいえ、知りません。その物理の先生は父さんとどんな関係があるんですか?」

まだ中学一年生のヒロは、物理という言葉に強い興味を持った。


「うん、そうじゃな・・・タカハシ先生は、シュウジの忍者学校と京都の大学の先輩じゃ。百三十七億年の歴史を持つ宇宙の構造は複雑で、普通の人には理解できん。宇宙の始まりを研究していたシュウジは、宇宙の構造を理解できるタカハシ先生と議論するのが好きじゃった。ところで、タカハシ先生は江戸時代の偉大な天文学者タカハシヨシトキと同じ名前じゃが、何の関係もないらしい」


今度はヒロがどんな質問をしてくるか、校長先生は楽しんでいるようだ。


「今でもタカハシ先生は、父さんと議論しているんですか?父さんのいる場所を知っているんですか?明日、忍者高校に行ってタカハシ先生に会ってもいいですか?」


ヒロが質問すると、校長先生は笑顔になって答えた。


「もちろんじゃ。サーヤも一緒に行くとよい。あー、ミウ、ケン、マリも一緒に行きなさい。きっと、無数の星と銀河、ブラックホール、ビッグバンなど、宇宙の基礎知識を教えてくれるじゃろう。・・・・あー、そうじゃ、最近ヤミの魂が地球から遠ざかっているらしいぞ。太陽の活動が活発になって、ヤミの魂の内部が混乱するから太陽系から離れて行くんじゃ。これで数年間はヤミの魂が新たな独裁者を作り出すことはないと、タカハシ先生が言っていたぞ」


常に太陽の表面から紫外線やプラズマが放射されている。

太陽の活動が活発になると、紫外線やプラズマが大量に放射されて、宇宙に浮かぶ頭脳のネットワークが悪影響を受ける。


だから、ヤミの魂が離れて行くのだということが、ヒロには理解できた。


「校長先生、ありがとうございます。サーヤ、マリ、ミウ、ケン、明日一緒にタカハシ先生に会いに行こう!」


——— 1章 <完> ———


次は「2章 アトランティスからヒマラヤへ」

「1節 アトランティスの最期」へ続く

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