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9節 不思議な能力を持つ妹(6)

「わかりました、校長先生。タリュウ、急いで今の奈良に行ってくれ!」

ヒロがタリュウのつのを強く握ると、タリュウが応じる。


*** オーケイ、もうすぐ今の奈良に着くから、ストップって言ってくれよ、ヒロ・・・


奈良盆地の中にある寺や神社が見えてきた。

近づくと忍者学校の森や志能備神社しのびじんじゃも見える。


「ストップ!タリュウ、ここでいいよ。校長先生が忍者学校の校庭にいるのが見えるだろう?」


*** うん、見えるよ、ヒロ。じゃあ、ジリュウ、サブリュウ、シリュウ、影宇宙の出口に行こう・・・


影宇宙の出口は、五日前にサスケとヒロが入った志能備神社のほらだ。


神社の裏にある洞から、ヒロとサーヤが出てきた。


「サーヤ、志能備病院に急いで行こう。マリが待っている・・・」

ヒロがサーヤの手を引いて走り出すと、ケンとコタロウが後に続いた。


サスケとカゲマルは、インドのばあちゃんを気遣って、ゆっくりと病院に向かう。

ミウはインドのばあちゃんと話しながら歩く。


ヒロとサーヤが病院に着くと、忍者学校の校長が玄関で待っていた。


「あっ、校長先生。いつの間に忍者学校から病院に来たんですか?」

ヒロが驚いていると、校長が笑顔でヒロの手を握った。


「何を言っておる、わしは忍者だぞ。ヒロ、よくぞサーヤを連れて帰って来たのう。サーヤ、やはりヒロに似ておるなあ。マリの病室はこっちじゃ」


ヒロとサーヤが、マリのいる集中治療室に着くと、中から背の高い看護師が出てきた。ケンの母親だ。


「ヒロ、よくサーヤを探し出してくれたね。みんなが頑張っていたことはスガワラ先生から聞いたよ」


「あっ、ケンのお母さん・・・ケンもミウもマリを助けたくて・・・マリの意識はまだ回復しないんですか?」


ヒロが集中治療室に入ろうとすると、ケンの母親がヒロとサーヤの手を握って言った。


「サーヤ、また会えてよかった。みんながサーヤを待っていたのよ。さあ、中に入って」


「はい・・・あのー、ケンのお母さんは、ずっとマリの看護をしていたんですか?」


サーヤは、ケンの母親が疲れていることに気づいて、その手をしっかりと握り返した。


「ああ・・・この手から全身に元気が広がっていく・・・ありがとう、サーヤ」

ケンの母親は、サーヤの治癒能力の強さに驚いた。


ヒロとサーヤが集中治療室の中に入ると、マリが五日前と同じようにベッドに寝ている。


「マリ、僕だよ、ヒロだよ!サーヤが助けてくれるからね、マリ」


ヒロが呼びかけてもマリは全く反応しないが、規則正しく呼吸している。


「サーヤよ、マリ・・・手を握るよ、マリ・・・暖かいね」

サーヤが両手で、マリの左手を包み込むように握って目を閉じた。


マリからまだ何の反応もない。

サーヤは暗闇の中で目を開けているように感じた。


「マリ・・・マリ・・・目を覚まして、マリ!」

サーヤが心の中で叫んだ。


「マリの命が消えそうになっている。サーヤ、マリの頭に片手を当てて、ゆっくり呼びかけなさい」


暗闇の中に、サーヤの知らない女神が現れた。

ラクシュミーだ。


集中治療室の外では、ケンとミウがインドのばあちゃんや忍者学校の校長とともにマリの回復を願っている。


「おー、ケン、ミウ、久しぶりだなあ」

病院の廊下の向こうから、スガワラ先生の声が聞こえた。


「あら、ミウ、ケン・・・ヒロとサーヤはマリの部屋にいるの?」

スガワラ先生の後ろから、ヒロのばあちゃんが歩いて来た。


「はい、二人は集中治療室に入って、マリを助けようとしています」

ミウがヒロのばあちゃんに答えると、ケンがスガワラ先生に質問する。


「どうして、スガワラ先生は途中で奈良に帰ってしまったんですか?俺たち、すっごく心細かったんですよ」


「それは校長先生に呼ばれたから、仕方なく奈良に帰ったんだよ。俺もお前たちのことが心配でたまらなかったよ」


スガワラ先生がケンに説明しながら、校長先生の顔を見た。


「もともと、ケン、ミウ、ヒロの三人でサーヤを探しに行っても良かったんじゃが、スガワラ先生が心配してついて行ってしまった。どこかで呼び戻そうと思って千里眼で様子を見ていたら、ちょうど良い時期が来たから、竜の母親に伝えたんじゃ。君たちは、ブラフマー、ゴータマ、ヴィシュヌ、ラクシュミーという神々から貴重な知恵と力を受けついで、ほんとに強くなったぞ」


校長先生がケンとミウに説明し、満足そうに笑った。

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