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6節 超古代のカンベイ湾(7)

「さあ家に入って、ブラフマーからデウスの夢を見る方法を教えてもらおう」

デウスの具体的な姿を知りたくてたまらないスガワラ先生が、ブラフマーを誘って家の中に入っていった。


もちろん、ヒロ、ミウ、ケンも同じ気持ちだ。


「今や、みんなはパールヴァの命の恩人だ。スガワラやこの子達は、この街の住人より私とデウスのことを良く分かってくれる。君達がデウスの啓示を見ることができれば、私と一緒にもっともっとこの街を良くすることができるだろう」


そう言ってブラフマーは、眠る前に天に向かってデウスに自分の気持ちを伝えると夢の中にデウスが現れることを教えてくれた。


「そんなに簡単にデウスが夢に現れてくれるかなあ?」

ケンが自信なさそうに言うと、スガワラ先生も半信半疑の気持ちを隠さなかった。


「みんな自信がないだろうが、ブラフマーを信じて良い夢を見よう」


次の朝、みんなはどんな夢を見たのか聞きたい気持ちと、自分の見た夢を話したい気持ちを抱えて、ブラフマーの家の朝食に集まった。


「まず、私が見た夢のことを話そう。何故だか分からないが、夢に現れたのがデウスじゃなくって、賢者プロメテウスっていう男だったよ。自分はデウスより賢いから、我々の知らない知識や技術をたくさん教えてやると言っていたなあ」


最初にスガワラ先生が話し始めると、ケンが続いた。

「俺も何故だか分からないけど、夢に現れたのは月の女神アルテミスというすっごくきれいな女神だったなあ。弓矢の名手で、銀の矢を使って何にでも命中させるんだ」


「それはケンがきれいな女神に会いたいって思いながら眠ったからじゃないの?わたしの夢に現れたのは太陽神アポロンっていう素敵な神様だった。医学、数学、音楽、予言、何でもできるし、黄金の馬車で空を駆け回るんだって・・・」


ミウがうっとりと目を閉じると、ヒロが遠慮がちに口を開いた。


「ミウも素敵な神様に会いたいって思いながら眠ったからじゃないか?僕の夢に現れたのは、最強の戦士ヘラクレスっていう筋肉モリモリの神様だったよ。オリンポスの国が敵に襲われたとき、一人で敵を撃退したというほど強いらしい」


みんなの話を笑顔で聞いていたブラフマーが、手をたたきながら言った。


「それぞれ心の奥で会ってみたいと思う神様が違ったようだな。デウスに会えなかったのは残念だが、色々な神からオリンポスの文明を幅広く教えてもらえるから良かったじゃないか」


サラスもパールヴァも話しに加わって、賑やかな朝食になった。


「あなた、最近あなたの演説が難しくなったから、ついていけないっていう人が増えているのよ。スガワラがこの街に現れて、ブラフマーを唆しているからだっていう噂が広まっていますよ」


朝食が終わると、思いがけないことをサラスが小声でブラフマーに話し出した。


「それはアグニが言いふらしているんだろう。海沿いの街からここに移住したときはリーダーだったが、いつの間にか私がリーダーになってしまったのが悔しいんだよ。その上、私とスガワラの意見が合うから、スガワラを目の敵にしているんじゃないか?申し訳ないが、夜道は気をつけてくれよ、スガワラ」


ブラフマーに謝られると、スガワラ先生は明るく笑って答えた。

「それはブラフマーのせいじゃないから、気にするな。この子達みんな武術ができるから大丈夫だよ」


数日後、ブラフマーの家で夕食を食べてスガワラ先生の家に帰ると、アグニがこっそりと訪ねてきた。

話があるから自分の家に来てくれと言うので、スガワラ先生は疑いもせず一緒に出て行った。


「先生は人がいいから、一緒に行っちゃったよ。心配だから、後ろからこっそりついて行こうよ」

ケンが先に歩き出すと、ヒロとミウも音を立てずについて行った。


「スガワラ、お前がこの街に現れてからブラフマーがおかしなことを言うようになった!お前はこの街を乗っ取ろうとしているんだろう!」


街はずれの広場で大勢の超古代人がスガワラ先生を取り囲んでいる。アグニが先生を責めると、大勢が先生に詰め寄った。


「わかった、わかった、俺がこの街を出て行けば、みんな仲良くしてくれるんだな?それなら、子供達みんなをつれて出て行くよ、明日の朝までに!」


そう言って先生は、取り囲んでいる大勢の超古代人を飛び越えてヒロ達のそばに着地した。


いつの間にかサスケ、カゲマル、コタロウも来ている。サスケが静かに天を見上げると、四匹の子供の竜が顔を出した。

大勢の超古代人が腰を抜かさんばかりに驚いて見ている。


*** さあ、早くおいらの背中に乗って!今度はどこに行きたいんだい、ヒロ、サスケ?・・・


タリュウがヒロとサスケを乗せて影宇宙に戻った。

兄弟のジリュウはミウとカゲマルを乗せ、サブリュウはケンとコタロウを乗せた。

最後に、シリュウがスガワラ先生を乗せて影宇宙に戻った。


「今から千五百年未来に行ってくれ。この超古代都市に来る途中で見た絶頂期のこの街に、ヒスイの玉の秘密があるはずだ!」

先生が自信ありげに言うと、ヒロが反対した。


「サーヤがヒスイの玉に触った時代に行きましょうよ。サスケ、その時代を教えてくれよ」


*** 急がば回れって言うだろう?何回か途中下車すればサーヤに辿り着けるよ・・・

サスケは遠回りした方がいいと言っているのか?


一万一千年前の超古代都市ではオリンポス惑星の神々に出会い、特殊能力を修得することができた。

今度は何が起きるのか?


*** じゃあ、今から千五百年未来、つまり九千五百年前の時代に行くぞ・・・

タリュウを先頭に四匹の竜は猛スピードで影宇宙を下降していく。


「突然わたし達がいなくなって、ブラフマーさん達は心配するでしょうね」

ミウが後のことを気にすると、先生はみんなに向かって明るく言った。


「ブラフマーは賢い男だから、この超古代都市を大きく発展させるはずだよ、心配するな」

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