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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
5章 青年期II 迷宮編
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76話 犯人は現場へ戻る

GWになりました。

恐縮ながら、投稿はお休みを戴いて、次回は5月6日の日曜日に投稿致します。


あと、さらに恐縮ながら、執筆速度の方が追い付かなくなってきました。週2回投稿ペースに落とさざるを得ないと思います。

詳しくは、次回告知致します。

よろしくお願い致します。

 ギルマスとバルサムさん、それに出張所長のワーレンさん、あと警備兵2人を連れて、廃墟となっている広間に転層してきた。

 俺達一行以外は相変わらず無人だ。


「ここなのか?」

「はい」


 皆新しい、転層石を持って居る。転層陣で到達履歴を記録していた。

 そしてギルマスは、兵を広間の入り口と、転層陣に配置して警備させた。


「こちらに……」

 残る3人を例の場所に案内する。


「なんだ。この床上にある土の痕は? 何か重たそうなものを引き摺ったようだが」


「その横が、秘密の場所の入り口です」

「おお……そうなのか」


 まずは、天井に隠された文字の秘密を、皆に教え一頻り驚いてもらった。


「書いてある通りやれば、入り口が開きます」

「書いてある通りと言ってもだな。読めんぞ、あんな文字。うーん。神代文字ってやつか?」

 ギルマスの眼が恐い。

「はい」


「で、なんて書いてあるんだ?」

 バルサムさんにも思いっきり睨まれる。


 ਠਲਰਖਵਠਰਸ ਬਜਲਵਫ ਞਦਗਏਚ ਮਟਦਉਖਫਕਡ ਢਬਇਘ ਯਖਲ ਚਙਲਛਙਟਹਤ

「この下で関門を抜きし証を示せと書いてあります」


「証なあ……そうなのか? バルサム」

「さあ。私が分かるのは、公開されている呪文だけです」

「ふむ。なんで分かるんだ、ラルフは?」


「ああ。俺は修学院の学生ですし」

「そうか、そうだったな」


「いや、所長。納得しないで下さい。神代文字を読める人間は、この国に何人も居ませんよ。それも、しっかりできてるとは言えないらしいですし」

「むう。そうなのか。俺は戦士上がりだからな。あやうく騙されるところだったが……まあいい。その辺は後できっちりとな。とにかく、開けてくれ」

 バルサムさんは、首を振っている。


「では」

 フンババの魔結晶を取り出すと、例の如く地響きと振動が発生し、地下への扉が開いた。


「はあ……驚いたな。こんなものが隠されていたとはな。先代から引き継いだ時に調査はさせたが、ここまで大掛かりとは思いもよらなかった。見つからないわけだ。あの天井、よく見付けたな」


「ここの広間は、樹が天井をぶち抜いてるし。蔓草が天井を避けてるようなので、気になって天井を見てたら見付けました」


「おお。確かに、蔓草が天井の手前で止まってますね」

「言われてみれば気になるが……」

「はぁぁ! ラルフ。おまえ、そういうところにも気が回るのかよ……で、この先に何がある?」


 ギルド幹部職員が、唸りながら感心というか呆れの混じった感想を言われる。


「突き当たりに部屋があります」

「そうか。早く見たいぞ。安全なんだろう?」

「ええ、まあ」

 ギルマス。なんか急いでいるというか、時間が厳しいのか?


「じゃあ、行こう!」


 俺が先導して降りる。あれ3人? 出張所長が降りて来ない。


「何だワーレン。来ないのか」

「ああ、私はここで待っています」


「仕様がないな。まあいい、そうしてくれ」

 薄暗い通路を進むと、第1の光膜が見えてきた。


「ああ、気を付けて下さい。こいつは、そのままでは通り抜けられません」

「何だと?」


 ギルマスは腰に付けていた短剣(ダガー)を抜くと、光膜を叩いた。

 金属音が通路内に響き渡る。


「本当だ」

「じゃあ、ラルフ君が入って来られたのは、ここまでなのか」

「いいえ」

「そりゃそうだろう。ここまでだったら怒るぞ!」


「これを使えば、先に進めます」

 バルログの魔結晶を出庫する。


「また違う魔結晶かよ……はあ」

 何かギルマスに溜息を吐かれた。

「これを持って居ると通り抜けられます。あと奥の部屋に安置すると、この膜自体が消えます」

「なるほどな。まいった。ラルフは、魔術師にしておくのは惜しいな」

 ギルマスは、何を言ってるんだ?


 玉座の間に案内する。

「ここで少し待って下さい。灯りを点けてきます」


 部屋の奥まで行って、祭壇の上にバルログの魔結晶を置く。

 天井が光り明るくなる。


「なっ、何だ。ここは! すげえ。すげーぞ!」

 ギルマスは玉座に取り付く。


「これは……」

 息を飲んだバルサムさんは、壁の段に置かれた劣化(・・)(ワイズ)晶片(クオーツ)に歩み寄る。

 しかし、流石はギルドの職員。無闇には触らない。


「金無垢だ。それに翡翠にラピスラズリ………しかも、見たこともねえ精巧な細工だ。この椅子は、とんでもねえ、お宝だぞ……国宝だと言われても納得する」


「そんなものより、このクオーツですよ」

「おいおい、そんなものって……」

「いや。これだけの数のクオーツ、1度に見つかったことはないはずです。特別史跡指定されますよ、ここ! ありがたい」


 バルサムさんには、似合わない興奮の仕方だ。


「史跡指定か……」

 少しギルマスが複雑な顔をした。

「ええ、文化省にもすぐ連絡しないと!」

「分かっちゃいるがなあ……」


「ラルフ君、これが何か分かるか?」

「知識片ですよね」

「知っていたか。それで、ここにある物は動かしたか?」

「いいえ」

「それは良かった。並びも研究対象になるらしいしな。これは、人工遺物(アーティファクト)なのだからな。国内で見つかった物は、研究施設に収蔵されているということになってる」


 引っかかる言い方だ。


「無論、表では流通はできない」

「そうだな。動産だから発見者である君に所有権はあるが……実入りがない割に、保護措置義務は負わされるぞ」


「義務?」

「ああ、盗難されないように保護する金庫を用意するとか、常時警備員を雇うとか、そういった措置が要求される。一応補助金は出るがなあ。それに、貸し出しの陳情がしきりに来る。これだけの文化財となれば、間違いなくな。そういう時の為にギルドで預かることもできる。手続きをして貰えば当然返却もする」


 悪くない話だ。

「分かりました。ではギルドに預かってもらうことにします」

「ああ、出たらすぐ手続きしよう」


「もう一つ訊きたい」

「何でしょう。バルサムさん」


 祭壇を指差す。

「さっき光の膜だったかを通り抜けるのに使った、その魔結晶……どうやらバルログのようだが、どこで手に入れた?」


「地下第4階層の広間で斃したら落としました。ああ、行き止まりの方です」

「あそこかあ。そんな強い魔獣が出現するという報告はないが。ん? バルログだと? ……そう言えば、この迷宮の紋章。牛が描かれていたなあ。フンババも牛……何か有るのか?」


「紋章?」

「ああ、今は文化省に収蔵しているが、迷宮の入り口軒上に浮き彫りの彫刻があってな。それが紋章と言うことになっているが、牛も彫られていた」


 そういうことか。


「ところで、なんで文化省なんですか? この迷宮の入り口には内務大臣と書かれてありましたが。管轄はどちらなんでしょう?」


 それは、余り良い質問ではなかったようで、ギルマスは渋い顔をした。


「名残が尽きんが、戻ろう」

「はい」

 ギルマスはせかせか歩いて、玉座の間を出た。


 ふう……。


「ん? どうした。ラルフ君」

「ああ、いえ。バルサムさん。少し疲れたなと」


 2人でギルマスを追う。

 とりあえず、奥にあった玄室を塞いだことには気付かれなかったので、安堵の溜息が出てしまった。


「そうか。しかし、ここを出たら、まだ事務作業が残ってる。がんばってくれ!」

「はい」


 迷宮から再び出た時は、14時を回っていた。

 ローザとアリーが待っていた。


「じゃあな。俺はここで!」

 そそくさと、ギルマスは行ってしまった。


「なんか、お急ぎのようでしたね」

「あっ、ああ……そうだな」


 そのままバルサムさんと出張所長さんに、ギルドの出張所へ連れて行かれ、いくつかの書類に署名をさせられた。


 フンババとバルログの魔結晶は、玉座の間に連なる部分の保全に必要とのことで、買い取り前提で預けた。


皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2021/04/14 誤字訂正(ID:668038さん ありがとうございます)

2022/09/24 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

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