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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
5章 青年期II 迷宮編
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73話 報酬

────受けてくれるか……ありがたい。


「では、早速」


────いや待て。依頼事項が履行されたら支払えなくなる。報酬を支払おう。


「ああ」

 魔導具だけあって、律儀だな。


 文机のような台が明るくなると、忽然と先の尖った6角柱が現れた。

 やや褐色掛かった透明だったのが、青白く仄光り始める。


「なんだ、これは?」


────もう少し待て。約束の情報を記録中だ。これは(ワイズ)晶片(クオーツ)という。



 触ろうとしたら止められた。

 知晶片……。 視覚に集中すると、虚空から魔術閃光(ゼノン)のような、だが無明の筋が超高速に変位してる。それを受けて水晶が鈍く発光している。


「ほう、あれで記録しているのか」


────そうだ。玉座の間にある劣化品とは、違って有効期間が短いからな


 有効期間?

 10秒程待つと、輝きが失せた。記録が終わったらしい。


「これは、どうやって使うんだ」


────少し魔力を流すと、目録が表示されるから、それを触れば良い。


 手に取って、魔力を流してみる。

 おおぅ。


 自分の周囲空間に、小さな四辺形の画像が無数に浮かぶ。


 凄い。流石はエルフの技術力だ。こんなの初めて……初めてだよな?

 なにやら見慣れた光景、いや使い慣れたシステムのような気がする。


 さっき憶えた、システムと言う言葉がぴったりという気がする。


 指を伸ばし触る。少し魔力を吸引すると、小さかった画像が拡大される。


────天国百合


 おおう。何か頭の中がかき回される感覚が来た。

 花が咲いた時の画像と情報が……流れ込んでくる。


────ほう。素晴らしい頭脳を持って居るようだな。記憶力がエルフ以上とは。


 何か言われたが。頭の中がグルグル回る感覚で、聞き取れなかった。

 10秒ほどで回復する。



 アルフォデル───


 情報が脳裏に浮かぶ。

【多年草。球根を乾燥させて作る粉末は、生ける屍の水薬の原料となる】


 生ける屍の水薬──


【ਨਉਲਲਉਸ】


 ん? ヌル? 空……情報がない。つまり取り込みが途上ということか。


────次は何にする?


「待ってくれ! このやり方では、時間が掛かり過ぎる。なんとかならないのか」


────ならば、まとめて譲渡する。


 分散していた、画像が1つに集約された。


────それを触るのだ!


「ああ」

 さっきの感覚が、大挙してくるのだろう。指で触れた後、覚悟を決めて魔力を流し込む。


 うああああぁぁぁぁぁぁ────


 あぁ……。

 気が付くと、床に片膝を着いていた。予想通りの不快感だった。まだ辺りの景色が回っている。

 酩酊を、首を回して振り払う。


────大丈夫かね?


「ああ、なんとかな」

 立ち上がると、急速に意識が覚醒していく。


「消えた……」

 文机の上にあったはずの、クオーツがなくなっている。


───貴公に吸収されたからな。もう貴公の知識になって居るぞ。



 生ける屍の水薬──

【登録医薬品。薬効:睡眠導入、副作用:幻覚、半数致死量:1100mg/kg】


 見たことのない単位だが。意味は分かる。


 エリクサー───


【賢者の石と呼ばれる鉱石を用いて作られる薬と言われるが、材料自体確認されず、架空の薬品とされる。如何なる疾病、怪我、部位欠損をも治癒させるとの伝説もある】


 架空……なのか。逆に知識としては信用できるとも言えるか。存在するなら、ここを造らせたガルガミシュも、そちらの方を追い求めていただろうしな。


 上級回復魔術呪文!


【ਥਬਤਮਧਕਏਚ ਦਉਡਥਢ ਙਵਕਫ ਕਧਣਜਣਫਭਭਞਙਦ ਨਦਨਰ ਧਚਙਢਇਬਣਤ ਟਙਭ ਕਡਜਰਟਹਧਤਥਹ ਕਡਇਅਮਅਙ ਬਣ ਧਕਟਦਹਘਅ ਠਏਹਡਉ ਏਏਭਫਜਠਤਯਨਅਉਏ ਵਣਮਗਡਚ……】


 おお、神代文字の奔流だ! 流石は上級魔術、呪文が長い。 

 今、中級魔術と同じフレーズがあった。

 ふう。後でアリーに教え込もう。


「確かに受け取った……」


────ならば、依頼の履行を願う。


「わかった。準備をする。数分待て」


 俺は玄室を出て、玉座の間に向かう。暗い通路を抜けると、緑の蛍光で仄明るい玉座の間に来た。


 光の膜の向こうに、アリーが腰を下ろしていた。

 祭壇の上の魔結晶を持ち上げると、光の膜は消え、再び背後には壁が出来た。玉座の間に初めて来た状態に戻ったわけだ。


「ラルちゃん!」

 膜が消えて、俺に気が付いたようだ。立ち上がってこちらにやってくる。


「戻るぞ!」

「えっ……うん。ラルちゃん大丈夫なの?」

「ああ、問題ない」

 玉座の間を出て、通路を歩く。


「ねえ、どうしたの?」

「依頼を受けた。アリーは広間まで戻れ」

 こちらを窺うような表情だ。


「ラルちゃんは? 依頼って何?」

「すぐ終わる。手を!」

「うん」


 通路にある第一光膜を通り抜ける。


「今から、何か有るかも知れないが、俺は大丈夫だ。もし危険だと思えば、サラとセレナと共に転層陣で上に飛ぶんだ。いいな」


「うっ、うん……分かった。本当に大丈夫なんだよね?」

「ああ。すぐ戻る」


 振り返って手を振る。


「絶対だからね!」


     †


「待たせたな」

 玄室にとって返した。


────700年の時を待ったのだ。大したことはない。


「じゃあ、始めるとしよう」


 天井に生えた取っ手に飛び付いてぶら下がる。

 魔術を発動することなく、腕に魔力を集約し放射する。

 セレナに魔力を与える要領だ。


────こちらから吸い出す必要もないか。流石だ。良い勢いだ。


「そうかい」


 さらに魔力の流れを増していく。


────そのぐらいで良い。想定されたエルフ術者の流量の3倍を超えている。1分余りで一杯になる。


 流量増加を止める。

 ふう、魔力がそこそこな勢いで減りだした。


「広間に生えていたアスフォデル。お前が植えたのか?」


────我が娘が手向けたものが、数年前に発芽したものだ。

 ふーん。

 そうか、根が天井を破り土を落としたか、蔓草が腐葉土と化したかいずれかだな。


────むう。


「どうした?」


────分からない。魔力の蓄積が……どこかで漏れているか、魔石が劣化したか。


「おいおい……」


────駄目だ。中断しよう。これの蓄積速度では貴公の魔力が……。


「ふざけるな、今更止められるか! さっき魔力流入量を上げた時どうだった」


────蓄積速度は上がった。流入可速度よりも。


 流入量を上げれば、蓄積速度が上がるのか。

「よし! 魔力流入量を目一杯上げてみるぞ!」


────待て! 貴公の生命が……


「命を懸けるのは戦闘でも、そうでなくても同じだ! 行くぞ!」


 下腹に気合いを入れ、魔力を体内で循環させる。

 瞼の裏に星が飛びまくる。

 身体が熱い!


 はぁぁぁぁぁああああ。


────5倍……7倍……。


 まだ上げられる!


────9倍、10倍!!! やめろ! 死ぬぞ!


 これぐらいで、死ぬわけないだろう!


「そ……れ……よりぃ、蓄積量ぅぁは!?」


────魔石が灼けそうだ! しかし、凄まじい勢いで溜まっていく……!


 俺が灼けるか、魔石が灼けるのが先か……。

 両手が赤熱していく。


 そして天井の燐光が強くなっていく。


────もうすぐだ!


 ダン!


 ぶらさがっていた部分が天井から抜け、数十リンチも下がった。


「うわっ」

 そこから奔流が迸った。

皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


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訂正履歴

2018/04/24 誤字訂正(Knight2Kさん,ありがとうございます)

2021/05/08 誤字訂正(ID:737891さん ありがとうございます)

2022/07/09 誤字訂正(ID:1346548さん ありがとうございます)

2022/09/24 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何故意固地になった?命の使い所がありまさしてカッコよさも意味や意義も無い。 つまるところ意味不明。
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