表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
5章 青年期II 迷宮編
66/472

64話 ローザとサラ

今日はワールドカップの日ですね。サッカーじゃなくて競馬ですけど。

ドバイ・メイダン競馬で実施されて、メインレースのドバイワールドカップのアウォーディ始め日本馬がいくつかのレースで多数出走しますので応援したいですね。明日も大阪杯GI……この小説と全然関係ないじゃん。

 ローザが取った部屋は、次の間付き(スイート)の部屋だ。廊下から入ったところは寝室とは別の居間だ。寝室は奥に2つ有った。


 まあ、部屋の選択をローザに任せば、こうなるよな。


 ローザは、俺のことを押しも押されもされぬ本当の貴族にしたいのだ。

 そもそも、うちの家系を辿ると、5代前は男爵だ。4代前に分家して准男爵家となっているが、本家は超獣に襲われ当主が亡くなり、直系が絶えている。


 そのような場合、多くは分家が本家を継承することになるが、そうはならなかった。


 俺も親父さんも、殊更男爵に陞爵しようと言う意向はないが、ローザはそうあるべきと考えているようだ。俺と2人の時、『ラルフェウス様は、光神様に選ばれた方なのですから』と時々言う。


 そのためには日頃から品格を持てるように、質の高い物や暮らしを享受する必要があるというのが彼女の持論だ。

 だが、贅沢三昧をせよと言っているわけではない。民の見本となるような言業をせよ。身体を鍛えろと指導されてきたし。


 俺としては、品格が奈辺に由来するかについては、それだけではないと思っているが、ローザの考えにも一理あると思っている。


 念のために言っておくと、彼女自身が華美で裕福な生活をしたいわけではないのだ。王都の館に移った時も、自分は俺の部屋にしている2階のさらに上、屋根裏の召使い部屋を使うと言っていた。


 対して。

 俺は入居に際して、2つの基本方針を命じた。

 1つ。入居者は、同じ物を食べること。

 2つ。入居者は、2階で寝起きすること。

 召使いは入居者に含む。


 ローザは、これに異を唱えることはなかった。が、質問はした。


『召使いを2階にて寝起きさせる理由を、お聞かせ下さい』

『誰も使わない部屋はかえって傷む。2階に住め!』

 俺はそう答えた。


 ここで、ローザを労りたいとか言っていたら、畏れ多いと固辞されていたかも知れない。俺の真意は分かっていただろうが。宣言した論理を敢えて論破する必要はないと判断したのだろう。

 結果的には、2階に住むことになった。

 その件では、アリーに大層感謝された。危うくアリーちゃんも屋根裏だったよぅと。


 准男爵の子息にしては贅沢な部屋を取ったのも、俺をこの部屋に泊めたかったからだ。

そのように、俺のことや我が家の体面に関わることには惜しみなく使うのだが、自分やアリーのことには切り詰めてしか使わない。預けている生活資金も時々報告してくるが、家賃以外は余り減っていかない。

 まあ、ダンケルク家から沢山の贈り物が届いていることも、影響しているだろうけど。


 思考が横道に逸れた。


 俺達一行は、居間に入った。


「いい部屋だ。寝室の部屋割りは?」

「ラルフェウス様は、こちらの部屋を使って戴きます」

 やはりスイートにはしたが、ローザとアリーは相部屋にして節約してる。


 後ろで、アリーとサラが話している。

「うわぁ。豪華なお部屋ですね。謙遜されていましたが、やはり貴族様……」

「サラはどこに住んでいるの?」

「ああ、今は王都の城外です」


「まずはお召し替えをなさって下さい」

「ああ」

 居間に戻ってくるとローザが、皆に茶を振る舞ってくれる。


「済みません。助けて戴いた御礼をしようと思っていましたが、考えが烏滸(おこ)がましかったです」


 どうやら、俺達が相当裕福だと誤解したようだ。


「もう礼などは不要だ。立ち入ったことを聞いて悪いが。さっき、薬師と言っていたが。戦士をやっているのは、やはり薬の材料採取の為か?」


「それが……。戦士は食べていく為です。薬師はまだ修行中の身で、2年前に上京したものの、さほど収入には……。先々月までは、王都の外郭で師匠について居たのですが……」


「が?」

「師匠が突然亡くなってしまって」

「ああ、それで、城外に追い出されたんだ。可哀想、むぎゅ」

 アリーが抱えるように、サラを宥めている。

 回復魔術を掛けて情が移ったのか?


 それはともかく。

 薬師の師匠が、城内の外郭に住む資格を持っていたのだろう。技巧を認められていたと言うことは、その師匠は優れた薬師だったに違いない。

 平民が城内に住むことを許される場合、資格を持つ者、1人当たり従者は5人までだ。

 その中に、サラが入っていたのだろうが、有資格者が亡くなれば、従者は城内居住資格を失う。資格継承者が居なければ、3日以内に退去しなければならない。


「そうだ。なんで、サラはパーティーを組まないの? サラ位強ければ、引く手数多じゃない?」

 そうだな。負けたとはいえ、バルログ程の大物と1人で渡り合える戦士は、そうは居ないはずだ。


「はあ。私も、パーティーを組んだ方が良いのは分かっているんですが……」

 言葉を濁す。


「ああ、茶が冷める。飲んでくれ、サラ」

「はっ、はい。ありがとうございます」


 カップを取って一口喫する。

「うわぁ。おいしいです」

「だろ」

 自分が褒められた気分だ。ローザが淹れたのは分かっているが。


「はい。私も商売柄……ああ、薬師をしています。薬効の向上と少しでも薬を飲み易くするために、お茶を淹れたりしますが。ここまでおいしければ、もっと……ローザさん。いつか機会がありましたら、お茶の淹れ方をご教授下さい」


「よろしいですよ」


 ふう、旨い。

 寛ぐなあ。このお茶は。


 そのまったりとなった中で、またアリーが話し始める。


「そう言えば、あの広間にサラは先に居たけど。骸骨戦士(スパルトイ)とか、どうやったの? うじゃうじゃ出て来るやつ。1人だと、大変でしょ!」

「どうやった、とは?」

 サラが怪訝な顔をする。


「戦ったでしょ? ここに来る、すぐ上の第3階層で遭わなかった?」

「骸骨戦士ですか? いえ、今日は遭ってませんが」

 ん?


「ふーん」

「ここの広間も、真っ直ぐ来たら床が急に輝いて……びっくりしました」


 そうなのか。

 骨が埋め込まれた壁の前を通り過ぎたのは、俺達よりも後で、ミミックに遭ってる時に抜かされたのか……それはそれとして。


「パーティーの件は、俺も聞きたい」

「はい。ああ、私。冒険者ギルドに所属して戦士もやってますが、薬師の方が本業なので、そのう、ずっと冒険や狩りに出掛けるわけには行かないんです、薬も作りたいので時間が。そうすると仲間に迷惑を掛けることになるので、パーティは……」


 おおう!

「ちょうどいいじゃん!」

 アリーに出負けした。


「はい?」

「アリーちゃん達の仲間になりなよ。ラルちゃんが学生だから、平日は午後からしか仕事できないし。午前中は薬師の仕事すれば良いんじゃない?」

 ゴホン!


「あっ、ラルちゃん達の仲間になりなよ! だった」

 咳き込んだ、ローザが肯く。


「それは凄く良い話ですが……ラルフ様はとてもお強いですし。アリーさんは凄腕の巫女さんですよね……私、まだ初級者(ノービス)ランク2ですけど、大丈夫でしょうか」


「大丈夫よ! サラは強いし。強いよね?!」

「ああ、今日は相手が悪かったな」


「うんうん。それに、ギルドランクを気にしてるけど。こっちだって、ちょっと前に初級者(ノービス)ランク1に上がったばっかりだし。なんてったって1ヶ月前は、新人ルーキーランク1だったし」

 サラが強いのは同意見だが。アリーは、なぜここまで乗り気なのか?


「ええ? 本当なんですか?」

「だって、ア……ラルちゃん達、ギルドに入ったの先月だし……」

「はぁぁ……。ギルドランクってそんなに早く上がられるものなんですね。これでも私2年目なんですけど。でも、あの強さなら……」


「そうだ! 家がないならウチの館に住めばいいじゃない。部屋空いてるし!」

「アリー! 勝手に決めない! まずはラルフェウス様のご意見をお聞きしなさい」


 皆の視線が俺に集まる。


「そうだな。俺もパーティの仲間は増やしたいと思っている。だが、俺達は一緒に戦ったことはない。こういうのは相性が大事だと思うぞ。明日試してみてから決めても遅くない」

皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2018/04/24 誤字脱字多数(Knight2Kさん ありがとうございます)

2020/11/16 誤字訂正(ID:1421347さん ありがとうございます)

2022/01/29 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

2025/05/20 誤字訂正 (コペルHSさん ありがとうございます)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ