58話 お手軽迷宮に進入
本日2投稿目です。
悩みが深いときも、意外と環境変えると解消するときも。
旅行行きたいなあ……。
しばらく並んでいると、前に並んだ連中、30歳代くらいの革鎧を着けた冒険者達の声が聞こえてくる。
「10スリングは高くねえか?」
「そんなに嫌なら、入る前にお前だけ帰れ!」
「嫌とは言ってねえ」
「じゃあ、ぐだぐだ言うんじゃねえ。ほれ、2シリング出せ!」
「ああ、待て待て! 払うよ、払うって」
俺達の番が来た。
「代表者は?」
「俺です」
「ほう、若いな。男女1人ずつと。後は従魔か。じゃあ入場料は、2日間で8シリングだが良いか?」
「たっ……」
アリーが自分の口を押さえてる。
「た?」
「ああ、いえ。それで結構です」
「そうか。では、その名簿に住所と名前を書いて!」
素直に従うと、従魔で面倒なことを起こさないでくれと言われた以外は、特段問題なく入場できた。
しばらく歩くと、アリーが振り返る。
「ラルちゃん、高くない?」
「こんなもんだろう。迷宮の中ではギルドの備品以外は、見付けた者の所有になるしな」
「まあ、アリーちゃんが払うわけじゃないから良いけどさ」
「ああ、そこの若い人」
俺たちのようだ。露天の店番の人が手招きしてる。
「ここに入るのは初めてかな?」
「そうですけど」
「じゃあ、悪いことは言わないから、この転層石を買っていくと良い」
転層石とは、迷宮で他の階層へ瞬間移動するために必要な道具だ。無論その魔石を持って行ったところしか転層はできないが。それでも結構高価な物のはずだがと訝しんだが、門番さんと同じくギルドの腕章している。インチキではなさそうだ。
「転層石、ここで売っているんですね」
「ああ、地下第5階層のお宝だ。転層陣で翳すと行ったことのある階層の転層陣に転層される。どうだ6人まで転層できる。ああ、その従魔は1人分で大丈夫だと思うぞ。使用期間は、使い始めてから1週間。1個5スリングだ」
すかさず鑑定魔術を使うと、複製品との結果が出た。しかし、機能はするようだ。
「じゃあ、ひとつ下さい」
「毎度! ああ転層陣使わない場合でも、ある程度陣に近付かないと、記録されないからな」
「了解~~」
おまけで、ギルド公認の地下3階層までの地図を付けてくれた。
丘を登り、白い大理石の崩れた壁や柱を避けて進んでいくと、木の小屋がある。そこにギルドと書かれた腕章をしている警備員がいた。
「ああ、今出て来るから、ちょっと待ってくれ!」
制止に従って待っていると、下から人が上がってきた。あそこが迷宮の入り口のようだ。3人出終わると、警備員が手招きして入れと言った。
出てきたパーティーがすれ違い様に、セレナにビビったのか、おわっと避けていた。
「じゃあ、アリーちゃんから」
珍しく、さっさと自分から入っていく。
まあ斥候役だし、いいか。
続いてフードを被って、俺とセレナが入る。
石段を降りていくと、3ヤーデンぐらいで石の床があった。
そこには、やはりギルドの警備員が居て、狭い石段の昇降の整理してくれていた。
声を掛ける。
「ご苦労様です」
「おう、気を付けていってくれ」
上がる人達の邪魔にならないよう少し進むと、突然アリーが現れた。
「別に、ここで気配消さなくても良いだろう」
「いやあ、美少女が一人でいると、からかわれそうじゃない! しかし、ラルちゃんちょっと怪しい魔術師に見えるね。あははは!」
なんか、うずうずしている。どうやら迷宮が好きなようだ。
通路の先を見ると、全体的には薄暗いが。ぽつぽつと魔石灯が架かっており、歩くのに支障があるわけでない。
「じゃあ、行こうか」
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訂正履歴
2019/4/17 誤字訂正(ID:1191678 様ありがとうございます。)




