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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
4章 青年期I 上京編
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55話 初給料!

初給料! ああ、遠い記憶の彼方ですねえ。

何に使ったっけなあ……確か。ローザの言うようなことをしたような。

 砂丘から王都城壁まで戻って来ると、とっぷりと日は暮れ17時を回っていた。だが、夕食まで間があるのでギルドに寄る。


 サーシャさんじゃない女性が、受付に座っていたので、素通りして買い取り係へ行く。

 支払と査定の整理券を貰って長椅子に座ると、すぐ呼ばれた、支払窓口へ行く。

 

 昨日の預かり証を、職員に渡し、ギルドカードを提示する。

 

「ラングレン様ですね。支払金を準備しますので、そのままお待ち下さい」

 一旦奥に引っ込み、数分して戻ってきた。


「ラングレン様。買い取り金の25ミスト75スリング16メニーです。王都収入税5分とギルド手数料の1割は予め引かれていますので。ご理解の上お受け取り下さい」


 小金貨25枚、大銀貨7枚、銀貨5枚、大銅貨1枚、銅貨6枚を渡される。

 2ヶ月半分の家賃になった。


「わぁぁ、すっごいねえ」

 後で、アリーが跳ね回っている。

 確かに結構な額だ。さくさくっと魔導鞄に入れる。

「じゃあ、どうも」


 待合の長椅子に戻ると、2件待ち状態まで進んでいた。

 10分余り経ったとき。

 幕の表示が、持ってる整理券の番号に変わり。

「次の次の方、どうぞ」

 聞き覚えのある野太い声がした。


 呼ばれた小間に行くと、やはりカステルさんが仁王立ちしていた。


「なんだ、ラルフ達か。ああ、指名依頼の査定はまとめてが原則だぞ」

「ええ、依頼内容が終わってると思いますので」


 カステルさんは、呆れたと言う表情で、2、3度首を振った。

「少し待ってろ」

 そう言い残して、小間を出て行った。1分程して戻ってきた。


「ああ、悪い。ここへ出してくれ!」


 一番デカい皿を、式台の上に置いた。

 魔導鞄から、黄色い魔結晶を出していく。

 5個10個と出して行くにしたがって、嘘だろとか、マジか、とかカステルさんが唸り始めた。


 あと少しで20個と言うところで、また忙しない足音が響いた。

「来たか……ああ第3小間です。所長!!」


「ここに居たか。ラルフ! 本当に……うぉ!!」

 式台に身を乗り出す。

「1個1個でかいが……2,4,6,8……15じゃないか!」

「ああ、いや、まだ出してないだけです」

「そっ、そうか」


 それから15個出してだして、30個になった。


「おお確かに、依頼は完了……」

「最後に……」

 魔導鞄に両手を突っ込む。


「うんんっ……引っかかるな、アリー」

「なに?」

「鞄の端を引っ張ってくれ」

「はっ? なんだと、ちょっと待て」


 2人がかりで魔導鞄の口が伸ばしながら、最後の魔結晶が出てきた。


「なっ、なんだ、これ! 40リンチはあるぞ。それに金色だと!」

「俺も、永年やってるが……こんな結晶初めて見たぜ。だが……」

「だが、なんだ?」

「これも大砂虫には違いない」


「そうなのか? デカい大砂虫……っていやあ……まっ、まさか女王?!」

「はい」

「いや、はいって!」

 答えたら、ギルマスに突っ込まれた。


「ええ、鑑定魔術でそう出ましたけど」

「おお、そうなのか……。いや、ちょっと待て。お前そっちの魔術もできるのか」

 まずかった。


「ええ、まあ。下級ですが……」


 2人のおっさんに溜息と共に首を振られた。


「女王なんてここ数十年、出て来てねえ。おそらく売れねえ」

 はっ?


「ああ、ラルフ。悪いがすぐには換金できねえ。月末の競りまで預からせてくれ」

「競り?」


「ああ、入れ札のことだ」

「いや意味は、知ってますが」

 そうか。高額の魔結晶は競りに掛けられるのか。


「じゃあ、残りは?」

「そっちはギルドで買い取れる」

「ああ、査定は任せてくれ……いやあ。目の保養になった。ありがとよ」


「まさかと思うが、他に変わった結晶を持ってねえだろな?」

「えっ? ああ……」

「持ってるな、これは。まあ売る気になったら、教えてくれ」

「わかりました」


「それでだ、めでたく。指名依頼も完了したから。また昇格だ! 初級者(ノービス)ランク1にする」

「昇格だって、ラルちゃん」


「だが、1日で3段階昇格は、審議会がうるさいんでな……それで依頼期間を10日間にしたんだが。1日はな、少し待ってくれ」


 いや、前から狩ってるの知ってるだろう


「構いませんが」

「忘れないでよ、ギルマス!」


「ああ、しかしだ。その後は、中級者(ランカー)は厳しいぞ。討伐だけでは3年以上実務経験が要る」

「3年?」

「ああ、普通は警備、護送とか地味な討伐以外の依頼をこなして行く必要がある。まあ鑑定魔法が使えるなら、やりようはあるな。ということだ、こんなところで、うだうだせずに、とっとと中級者になれ!」


「はあ」

「アリーちゃんもがんばるよ!」

 カステルさんの、髭面に少しは慣れて来たようだ。


「あっ、ああ……」


     †


 館に帰った。

 夕食は、アリーと一緒に食べる。

 ローザも一緒に食べようと言っているのが、頑として私はメイドですからと取り合わない。


 1階の執務室に、ローザを呼びつける。


「ラルフェウス様」

「ああ、ローザ。冒険者ギルドで、収入が有った。資金に繰り入れてくれ」


 魔導鞄に手を突っ込み、袋を出す。


「はい。お預かり致します」

「25ミスト70スリングあるはずだ」


「えっ、そんなにですか? 失礼しました。確認致します」


 ローザが袋を開けて、硬貨を並べ始めた。

 数えてる。


「確かに。25ミスト70スリングあります。これまでの資金19ミスト68スリング77メニーと合わせて45ミスト38スリング77メニーです」


「ああ、一息吐いたな。近日、他の報償金も入る予定だ」

「それはようございました……では、お父様、お母様に何かお贈りするというのはいかがでしょう」


 うん。それは考えてなかった。


「そうだな。次の入金時に考えよう」

「あのう」

「何だ、ローザ?」


「大変失礼ではありますが、ラルフェウス様の所持金はいかほどで?」

 ん?

「ああ、多分7スリング位じゃないか?」


 ああと零すと、ローザは額に手を当てた。

「ほとんど、私にお預けではないですか!」

 なんか怒っている。


「ああ、あまり使うことがないし!」

「そうは参りません! しっかり貴族として必要な額をお持ち下さい!」


 必要な額ねえ……。


 今日は、よく人に呆れられる日だ。

皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2019/04/04 数値間違い 55ミスト38スリング→45ミスト38スリング ID1389231さん ありがとうございます。

2019/06/29 誤字訂正 (ID:496160さん ありがとうございます。)

2022/07/09 誤字訂正(ID:1346548さん ありがとうございます)

2025/05/03 誤字訂正 (ferouさん ありがとうございます)

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