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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
4章 青年期I 上京編
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50話 無双の始まり

誰にでも全盛期という時期があるそうです。そこで驕らないことが、その後の成長の大小を……。

ところで、私には記憶がないのだけど。これから来るのかな? 自覚がないだけ?

「あれ?」


 起きたら既に昼の11時過ぎだった。

 こんなことは、物心ついてから初めてだ。宵っ張りだし、睡眠時間短くても大丈夫な体質なのに。


 だが、よく眠れた気はする。

 それに。何時になくお腹が空いている。朝食には遅すぎ、昼食には早すぎるが、まあなんかあるだろう。


 取り敢えず着替えて部屋を出ると、吹き抜けの廊下を掃除しているローザと鉢合わせした。


「おはようございます」

「おはよう。余り早くないけど」

「そうですね。うふふふ。ああ、お昼はスープを温めれば、よろしいだけになって居りますが。召し上がれますか」


 見透かされているなあ。


「うん。食べる」

「では、少々お待ち下さい」


 ローザはモップとバケツを抱えると、サッサと階段を降りていった。

 いいなあ。あのメイド姿は、楚々としていてローザの美しさを引き立てているよなあ。ああ、衣装はローザ自身が決めた物だ。


 食堂に行くと奥の厨房で、ローザが動き回る気配がする。

 座ってから、ものの数分で、コップに水と大きめ皿にキッシュを持ってきてくれた。

 パイ生地の上にほうれん草、ベーコンそしてチーズなどを生クリームを加えた卵で綴じて、オーブンで焼いた物だ。円盤状の1/4が乗っている。

 湯気を立てていて、思いっきり良い匂いだ。

 お腹が珍しくぐうぐう鳴る。


「はい。おまちどうさまです」

 最後に温めたコンソメのスープが出てきた。


「ありがとう」

 一口食べる。

 おお、黄色く灼かれた卵には、クリームが入っていて滑らかだが、胡椒が効いている。


「美味い!」

「それは良かった……朝一応起こしに参りましたが、結構うなされていらっしゃったって」


 うっ!


「寝汗を掻かれていたので、拭って差し上げたら円満なお顔になって。またお休みになったので、無理には起こしませんでした」


「そう……なんだ。うん。久しぶりにぐっすり寝た気がするよ。ああ、そうだ。アリーは?」

「ええ。何でも、教会に行くとか。出掛けましたが」


 教会?

 よくわからないが。これは好都合だ。

「じゃあ。俺も出掛けることにする」


 食事を済ませて、一休みしてからセレナと一緒に出掛ける。


 今日はいつもの東門ではなく、西門から出る。

 東門前と同じように貧民街が広がっていたが、それも通り抜けた。5ダーデンも行くと人も、耕作地もない荒れ地が広がる。


 15分程前から街道を外れて獣道っぽいところを歩いている。

 土壌が茶褐色だったのが白っぽくなってきて、どんどん乾燥して細かくなってきている。


 立て札がある。

 この先、砂丘地。地中魔獣生息地。危険に付き引き返せと書いてある。

 もちろん俺とセレナは無視して前進だ。


 目的地はその砂丘だからな。

 そのまま歩き続けると、グッグッと鳴るように足を取られ始める。


 感知魔術の範囲を広げていくと、数ダーデンの範囲に、人間の反応はない。

 しかし、魔獣の反応は有る。

 地下だ!


 まずは挨拶代わり──


衝撃(エンペルス)!】


 轟音と筒状に砂地を抉る。

 少し遅れ盛大に砂が舞い上がり、300ヤーデンも貫いた。


 おお、これまでとのエンペルスとは、まるで違う魔術だ。


 【衝撃!】【衝撃!】


 地に何度も大溝が引かれ、地形を変えていく。恐るべき威力、下級魔術とは信じられない程の威力だ。


 その振動が気に障ったのだろう。

 前方が盛り上がり、大樽程の太さが地中から突き上がった。

 大砂虫(サンドワーム)だ!


 その顎門が、大きく開く。内壁は無数の歯、歯!

 俺など一呑みにできる。


閃光(ゼノン)!!】


 よく絞り込まれた蒼い光条が、何の抵抗もなく迸る。

 収束度は以前より圧倒的に高いのに、太さは数倍──


 その熱量は数十倍。

 砂虫を狙い違わず貫いたとき、光条の周りが刹那に昇華し、ワームの半身を吹き飛ばした。


 我ながら凄まじい。


 魔圧が一瞬に上がり、発動する。

 自分が自分でないような感覚に襲われる。

 魔力が減って行かない。魔術を撃つ度、減っては居るが、あっと言う間に補充されていく。無限に撃てるぞ!


 我知らず全能感と躁状態に襲われる。


 次々と地中から繰り出すワーム達を、間断なく魔術を放ち斃し続ける。


 風魔術を駆使し吹き飛ばし、千切り、粉砕を続けること10分。

 ぱったり攻撃がなくなった。


 それどころかヤツらの反応が遠ざかっていく。


 逃がさん!


劫火(イーグニス)!!】


 気が付くと、この間より魔力が籠もっていた。

 この後何が起こるか、忘れては居ない。しかし、もう慌てはしない。


光盾(スペクトラ)!!】


 俺とセレナを囲むように、無数色へ分光した障壁(ベイル)低級魔術を構築。

 熱風と砂を含む衝撃波を弾いた。


 数分が経ち、炎魔術の惨禍が収まった。

 地が大きく抉れ、以前あったのが砂なのかなんのか、分からない程に、ガラスのようにひとつとなり褐色に融けたままだ。


 周りにワームの反応はない。1ダーデン先に居るやつらもどんどん離れていく。


「ちと、やり過ぎたか」

「ワフ!」

 ああ、なんかセレナが怒っている。調子に乗って彼女に獲物を与えなかったからな。


「ごめん。ごめん。あとで魔力をやるからさあ」

「ワッフン!」

 機嫌が直らないな。


 同じ魔法を使っているはずなのに。王都(スパイラス)に来るまでの俺とは別人と思える。


 大体魔術の通り方もわかった。魔圧が上がる速度が半端ない。

 経験上だが、その速度に比例して威力が上がる気がする。

 なかでも中級魔術は、自分でも危険と思える程だ。しかも。まだ全力では撃っていないのだ。空恐ろしくもあるが、超獣を斃すには更なる研鑽が必要だろう。慢心している暇などない。


 呪文の中で気になっている部分がある。

 解読を進めて、特徴を抽出、他の魔術にも……。

 心は逸るばかりだ。


 そうとなったら……

「帰ろう! セレナ」

「ワフ!」


皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2018/05/01 魔術名が被ってました。【光壁(スペクトラ)!!】→【光盾(スペクトラ)!!】

2021/05/07 誤字訂正(ID:737891さん ありがとうございます)

2022/01/29 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

2022/02/13 誤字訂正(ID:1907347さん ありがとうございます)


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― 新着の感想 ―
[気になる点] いや、最後獲物探してあげなよ笑 理不尽な主人だよなぁ。
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