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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
15章 救済者期I 終末の兆し編
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364話 鉄壁の巨大超獣

そう。自分を阻む壁は自らが造っているんです!(どうした花粉症が悪化したか?>小生)

 おい!

 少し慌てて避けると、数瞬前に俺が居た空中を、古代神殿列柱並の太さ劫火が通り過ぎた。なかなかの火勢だ。


 炎の軌道が変わり、超獣の前半球を覆う。

 最初からしっかり狙えよな。

 巨大超獣が、強力な魔導障壁を持っていることぐらい知っているだろう。


 術者が見えた。

 マゥレッタ大使によれば、既に撃退作戦は終了しているという話だったが。誤報か、命令無視か。


 他人が上級魔術を放つのは、ミストリアで幾度か見ているが、その中でも威力はまあまあというところだ。

 行使しているのは上級(アーク)魔術師(ウィザード)で、両脇に2人は従者というところか。


 だが、これではな。斃せる見込みが感じられない。

 10秒も火焔が続いただろうか?

 濛々と水蒸気が吹き上がったが、魔術が途切れると上昇気流は消え失せ、局所豪雨、そして数秒後には(ひょう)に変わった。


 なんたる冷気。

 大した魔力投入量ではなかったが、仮にも上級魔術だ。

 それを一瞬でなかったことにするとは、恐るべき障壁と言わざるを得ない。


 そして局所的な天候激変が過ぎ去ると、白い巨体が見えた。丸い超獣は無傷だ。

 賢者会議に提出された資料通りか。


 巨大超獣には如何なる熱魔術も効かない──


「むっ!」

 超獣の内部で、何かが動いた。連動して魔界強度が跳ね上がる。

 白い超獣の体表面に、幾何学模様が現れた。

 魔導紋章? 魔術の発動だ。


 彼らも自らが狙われているのが分かったのだろう。

 3人が荒れ地を疾駆し始めた。

 この巨大超獣を敵に回す意気はよし、しかし無謀すぎる。

 そして、何より逃げ足が遅い!


 両腕を上方に突き出し念じる。

氷晶尖錘(クリオ・ランツァー)!】


 手の周りに霧が掛かり、見る間に塊を成す。少し魔力(エナ)を注ぐと、10ヤーデンを超す氷塊に膨れ上がる。


 フン!

 気合いと共に腕を振り下ろすと、轟く唸りを上げて落下して行った。

 良い弾道だ。


 直撃──

 刹那、白い巨体が七色に滲んだ。


 氷塊は砕け散った、超獣の僅か寸前で。

 物理無効か。


 もちろん、これしきで超獣を斃せるなどとは思っていない。

 狙いは……よし紋章は崩れている。


 集中!

送達(オーヴィエ)!】……【送達!】、えぇい動くな!……【送達!】


 ようやく3つの環が地表に居る人間の頭上を捕捉できると、自ら閉じた。

 その後に、術者達の姿はなかった。

 どこまで跳んでいったかは知らないが、死ぬよりはマシだ。勘弁して貰おう。


 さて。

 超獣の体表面に新たな紋章が浮かぶ。

 地響きが轟いた刹那、無数の岩石が空中に浮き上がった。弩よりも勢いよく、俺に殺到してくる。


 掌を超獣に翳す。

 飽和攻撃か。

 とにかく数で圧倒する気だ。

 空中の敵に物をぶつけるのは中々に難しい事を考えれば、悪くない戦術だ。

 だが、数千を超す岩石を以てしても当たらない。


 ほう。

 弾道を変えてきた。無数の礫と言うには大きい弾の帯が、右へ左へとうねる。ある程度の空間範囲で加速度を制御できるのか。

 すぐ横を数十リンチの塊が火花を上げながら通過、瞬く間に耳を劈くような金属音がいくつも掠めていく。


 そして、そのいくつかが俺の前で弾けた。

 危機を感じて強化した魔導障壁を紡錘状に変形して、弾道を逸らせていたのだが。偶々垂直に当たったか。


 まもなく岩石の嵐が止んだ。

 どうやら、こちらにも障壁があることに感づいたようだ。


 ふむ。

 やはりでかいだけではない。あの巨大な水滴のような(なり)でそこそこ知能があるらしい。


 要注意だな。


 半年前、賢者会議に提出されたセロアニアの賢者が書いた報告書。西方諸国に現れた数体の巨大超獣の情報をまとめたものだ。


 要約すれば2つ。

 物理攻撃無効に冷熱攻撃無効。


 確かに今の攻防を鑑みれば信じたくなる。この超獣が、報告書の対象となった超獣に匹敵するとすればだが。


 あの魔導障壁に加え、これだけの負の熱量を持って居れば、並の上級魔術程度では揺るがせられないだろう。


 やはりあれ(仮説)か。

 認めたくはないが、超獣は俺より優れた組成を持って居る。


 超電導──


 温度を極低温として体内の電気抵抗を0にし、虚数誘導魔界で魔導波の侵入を完全に弾く。

 仮説を立てた時、いつものように脳裏に浮かんだ言葉は、マイスナー効果だ。

 マイスナーが何かは知らないが、意味は分かる。遮断するのが魔導波ではなく電磁波の違いはあるが。

 

 しかし、具体的には何でできているのか、見当も付かない。見た目から言ってこいつの体内組成は液相のようだが。それでいて、ほとんど隔てる物がない構造。ざっくり言えば、スライムだ。


 巨大で極低温のスライム。何か引っ掛かるが……まあ。

 馬鹿馬鹿しく思えるが、耐魔術面では最強の楯の1つだろう。


 ところで、スライムなら核があるだろうが、こいつもそうなのか? 内部は全く見通せないので、分からないが……分かり様のない物を、あれこれ考えるだけ無駄だ。

 何かは分からずとも、やり様はある。


 右腕の先に、紫光の刃が突き出ると、瞬く間に100ヤーデン超の刃渡りとなる。


 ヤァァァアアアアア。

 急降下し、気合い諸共に超獣に斬り付ける!


 酷く耳障りな波動が響き渡り、光刃は弾かれた。

 だよな!


 残念ながら予想通り!

 しかしそのまま地面すれすれまで流れると、超獣の側面を回り込む。


 !


 超獣の表面が音もなく盛り上がり、眼にも止まらぬ速さで鋭利な棘が何条も突き出た。

 あれはまずい!

 はぁっ!

 加速減速、身を捩りつつつ、避ける躱す。


 魔束を完全に弾く超獣の身体、あの棘もそうに違いない。

 俺の障壁をぶち破る可能性が高い。


 が、当たらなければ、どうと言うことはない。


(ラーマ)!】

 左腕にも同様に刃を生成し、一瞬小旋回。

 再び加速し大回りの間に小旋回をさらに2回。そして再び大回りした。


 長い体感の数秒が経ち、俺は超獣を一周し終わった。


「待たせたな!」

 俺は大地に降り立つと、地面へ両掌底を衝いた。


並行励起(カンクゥレン)地極(エンデ)垓棘(シュターヘン)】×6】


 俺が飛行した軌跡、超獣を巡った環。

 その環通り地面に亀裂が走った。


 丹田が熱を持つと、腕から膨大な魔束が流出して行き、ゆっくりと地面が持ち上がった。

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


お断り

超電導は、超伝導の誤りではないかとのご指摘を戴きました。ありがとうございます。

どちらも、表記としてはありまして、まちがいではないと思います。

ただし、伝導としてしまうと、熱や様々な波動の内どれだ? と思われる場合もありますので、より直接的な超電導を使用致します。



訂正履歴

2021/04/03 誤字脱字訂正(ID:1374571さん ありがとうございます)

2022/01/31 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

2022/08/09 誤字訂正(ID:1346548さん ありがとうございます)

2022/09/24 誤字訂正(ID:288175さん ありがとうございます)


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